川上未映子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
コロナが蔓延し、生活が一変したあの春にまつわる物語を連ねた短編集。
全話に通じて対話が少なく主人公の心情を丁寧に描写していることと終始不穏な空気が漂っていることが印象的であった。
心理描写に関しては"不安"や"恐れ"などといった一言でも通じる感情を様々な比喩表現を用いてこれでもかというほど深掘りっているのが印象的だった。
心理描写ももちろんだか、傍から見た言動に関しても「この人はこういう感情なんだろうな」と読者が一目で分かるような表現が秀逸であった。
作品の空気感に関しては暗い話が多く、何かが起きる結末でないことが不穏な空気感を作り出していた。起き -
Posted by ブクログ
「あなたの鼻がもう少し高ければ」
実際、ギャラ飲みするための面接ってあるのかなと思った。ズタボロに言われた面接の後で生まれたトヨとマリリンの関わりが平和で、ずっとこのままの世界でいてくれと思った。
「ブルー・インク」
書いてしまうと残ってしまうから怖いという感覚はすごく共感した。私も日記が苦手で、自分の感情が文字として残って誰かに見られると思うと怖くて書けない。
「娘について」
表向きであからさまに攻撃するわけではなくて、悪気はないんだよっていえるくらいの範疇でコソコソ相手を裏切っているところにモヤモヤした。家庭環境が真逆で、ぬるま湯に浸かっているような野心のない友達に苛々するところはわか -
購入済み
女性なら一度は考えたことがあるであろう「子供を産むこと」について書かれた小説。乳と卵のその後的な位置付けとのことで購入しましたが、書かれていることはどこか他人事で、ネットでよく見る誰かのひとりごとをかき集めただけのもののような感じがしてしまいました。あまり新しい発見はなかった。乳と卵がとても感情的で作者のオリジナリティを感じた作品だっただけに、そのギャップが大きかったです。
-
Posted by ブクログ
女たちの、誰にも話すことはないだろうというような出来事や記憶や考えをフィルム越しで見ているような短編集だった。
古い海外の映画を見ているような……舞台は日本で、現代なのに不思議な感覚だった。
最初の短編が刺さりすぎてしまい、その後の物語に入り込みきることができないまま、
大きなシャンデリア、深い森の湖、藤の花と、見ている景色が移り変わっていく。
それでも、ふと集中力が途切れると、西日が当たる小さな部屋と少女の記憶まで巻き戻されてしまう。それくらい衝撃的だった。
美しい文章の裏側でこの物語は何を示しているんだろう、何を感じとることができれば私は納得してこの本を閉じることが出来るのかな、と考え