川上未映子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「あなたの鼻がもう少し高ければ」
実際、ギャラ飲みするための面接ってあるのかなと思った。ズタボロに言われた面接の後で生まれたトヨとマリリンの関わりが平和で、ずっとこのままの世界でいてくれと思った。
「ブルー・インク」
書いてしまうと残ってしまうから怖いという感覚はすごく共感した。私も日記が苦手で、自分の感情が文字として残って誰かに見られると思うと怖くて書けない。
「娘について」
表向きであからさまに攻撃するわけではなくて、悪気はないんだよっていえるくらいの範疇でコソコソ相手を裏切っているところにモヤモヤした。家庭環境が真逆で、ぬるま湯に浸かっているような野心のない友達に苛々するところはわか -
Posted by ブクログ
母と子、そして生殖を巡る物語でした。
幼い頃に母と祖母を続けて亡くした主人公の夏子は、姉と助け合って大阪で暮らしてきた。その後、東京で一人暮らしをしながら作家をしているのだが、37歳になって自分の子どもに「出会いたい」と思うようになる。しかし、夏子はセックスが苦痛で以前の恋人と別れており、恋人や配偶者を得ることには諦めがある。そんな中、AIDのことを知りAIDで子どもを産めないかと考えるようになる。
独身子なし、シングルマザー、AIDで産まれた人、反出生主義…夏子は様々な人たちの思いを聞き、どうして自分は子どもが欲しいのかと考える…。
親のエゴではない命はない…というのは、その通りで。AIDで -
Posted by ブクログ
正直に言うと、文体には少し読みにくさを感じた。読点で文章を繋ぎすぎている印象があり、思考や感情が途切れないまま流れ込んでくるため、読む側としては息継ぎがしにくい。その点は意図的なのだろうが、個人的には合わない部分でもあった。
また、物語は母と娘の関係の拗れを、妹であり叔母という立場の主人公の視点から描いている。さらにその主人公自身が感情の起伏をあまり表に出さず、物事を冷静に分析するタイプであるため、読者は二重三重に俯瞰した位置から物語を見ることになる。その構造が、感情移入のしづらさに繋がっているように感じた。
それでも、巻子と緑子の親子関係において、夫であり父親の存在が不在であること、そし -
Posted by ブクログ
ネタバレ斜視の主人公と小汚いヒロイン。どちらも虐められていて、弱みを共通点に持っている。
ヒロインの母親は、貧乏で小汚い旦那を哀れんで結婚し、その後借金に耐えられなくなったも無抵抗な旦那に一方的な癇癪を起こす自分に限界を自覚して離婚し、最終的に金持ちの男と結婚した。ヒロインはそれに対して「最後まで憐れむべきだった」といい静かな怒りを見せる。またいじめに対して「分からないものが不安だから自分の価値観にねじ込もうと力で屈服させようとしている臆病者」「私たちは受け入れている」とのべる。
つまり、弱者が強者の「普通」の価値観に合わせることは敗北であり、何も言わず受け入れることが忍耐強さと強者が怖がる「不明」 -
Posted by ブクログ
小説だけどエッセイのような取り留めのなさのある本。
脅威の652ページ。
ページ数は多かったけどそこまで苦痛に感じませんでした。
物語は2部方式になっており、1部は主人公である夏子の姉の巻子と、その娘の緑子が夏子のもとに滞在しにやってくる話。
2部はこの話の本筋とも言える内容で、夏子が自分の子供を欲するように考えてAID(第三者からの精子提供を受けて行う人工授精)を検討する話。
テーマ自体は重い話でしたが、私個人としてはテーマとは異なる本質的な話(ちょこちょこ出てくる)が好きで、川上未映子さんの他の著書を読んでみたくなりました。
以下、気に入った文章。
3.おっぱいは誰のもの
p77きれい -
購入済み
女性なら一度は考えたことがあるであろう「子供を産むこと」について書かれた小説。高評価を得ているとのことで購入しましたが、書かれていることはどこか他人事で、何処かの記事を引っ張ってきただけのもののような感じがしてしまいました。乳と卵がとても感情的な作品だっただけに、その続編とのギャップが大きかったです。
-
Posted by ブクログ
何のために人は生むのか。生みたいと思う女性の本能は、自分勝手なわがままではないのか。男の 3秒の快感のために、60年の苦労を背負わせていいのか? などと考え始めると、ほどなく人類滅亡なので、とりあえず何も考えずに性的欲求、母性本能のおもむくままに種を存続させていただきたい今日このごろではあるのだが、AID (Artificial Insemination with Donor's Semen; 夫以外の第三者から提供された精子を用いる非配偶者間人工授精)の問題を絡めつつ、38歳という出産を考えると微妙な年齢の女性の想いを「乳と卵」のあの濃密な筆致で描く。前半はその「乳と卵」の焼き直