【感想・ネタバレ】夏物語のレビュー

あらすじ

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。

※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

むっっちゃよかった!

すんごい、小説を読んだ…
本を読み続けて本当に良かった…!と思えるぐらい、素晴らしかった
川上未映子さん、初めて読んだ、今まで読んでこなかったことを後悔
600ページ超の作品で、ひたすら主人公の思考がつらつら〜と書かれているけれど、ぐんぐん引き込まれる。主人公の頭の中を丸々見せられているような文章が、良かった
重いテーマで、何が正解かわからないけど、正しく悩み考え切ること、が大切だと思いました

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

この本を読み始めたとき、『乳と卵』の作り直しかと思った。夏の、延々と続いている不快感のような暑さの中で繰り広げられる1人の女性の物語。乳と卵と重なるパートでは、主人公の女性よりも姪っ子の視点に立って読んでしまう。生まれてくる意味とは?人が自分で望んでこの世に存在するわけではない、という事実。生きる辛さや成長する際に突き当たる壁。考えさせられることが多い。
後半はどちらかというと親の視点。子供自身との関係性や、産んだ経緯が色々な人々。子育てと虐待。

様々な登場人物の喜怒哀楽の気持ち、思考回路、批判。人が生きる上で、自分が他者に与える影響をわかっているつもりでもわかっていないことがほとんどだ。自分の考えが形成されてきた家庭環境が、思考の型を作っていて、他人の思考の型と合わない部分が無限に存在する。それを受け入れられるときもあれば、正面からぶつかってしまう時もある。「まさに小説」という具合に、人間の生きている様子を、内面を、出来事をまざまざと見せつけられる、そんな描かれ方をしていて引き込まれてしまった。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

子どもを産むその行為は理屈では表せない。
価値観や倫理観がそれぞれ異なる中で、導く答えは誰にも否定されてはならないものだと感じた。
主人公が傷つきながらも出した答えはある人から見れば否定されるような一般的ではないのかもしれないが、それでいいしそれがいいんだと思う。
みんなちがってみんなよい。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

長かった〜、でも惹きつけられた〜
心象風景とか、感情の推移とか、複雑に入り組んだモノを丁寧に細かく描写するとこのくらいのボリュームになるんでしょうね。主人公とは何ひとつ共通する部分がないので共感はなかったけど、理解はできたのはこの丁寧な表現なんだろうな。書いてるうちによくわかんなくなっちゃったけど、とにかく出会えてよかった、読んでよかった一冊でした!

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2025年10月23日

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川上未映子さんの自然に肌に馴染むような文体と、くすりと笑ってしまうユーモラスな表現でするすると読めてしまった。視点がさすがすぎる。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

セリフが関西弁、地の文は標準語という自分が今まで読んだことのない文章で新鮮さがあった。
テンポのいい関西弁とそこにトーンを落とし重さを感じさせる標準語が混じり合った文章のおかげで、題材が重く600ページをこえる本作を飽きずダレることなく一気に読むことができた。

本作はパートナー不在で子供を欲する夏子、豊胸手術をしようとする夏子の姉である巻子など様々な女性が書かれている。
男である自分は物語内の彼女たちの姿を見て、今付き合っている彼女のこと、地元にいる母のことを以前より考えるようになった。それとかなり気持ち悪いと思うが将来彼女のお腹に宿るかもしれない架空の赤ん坊についても考えてしまった。けど男の自分は考えることはできても理解することはできない。

1番お気に入りのシーンは夏子が緑子に昔ぶどう狩りに行けなかったことを語るシーン。
巻子の優しさに自分もこうなりたいと胸が熱くなった。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

女性の性にまつわる純文学
芥川賞の「乳と卵」をリライトした第一部とその数年後を描いた第二部に分かれる

以下、公式のあらすじ
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大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。
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「乳と卵」だけを読んだときは、「私が共感できない方の芥川賞作品」と思ってたけど
続編まで読むとその印象がちょっと変わる

第一部は夏子の視点で描かれているものの、焦点があたっているのは緑子の性に対する嫌悪感

自身の月経に対して、そして、母 巻子の豊胸への執着に対する違和感と嫌悪感
男に想像ができても実感はできない感覚なのだろうな

二部は夏子が子供に会ってみたいという欲について
独身だし、性交渉に対しても忌避感がある夏子
しかし、自分の子に会ってみたいという欲求が芽生える
となると、独身の夏子は日本で合法的に精子提供を受ける方法はなく、海外の機関や個人間の提供を考える
そんな最中に出会った逢沢
逢沢は精子提供で生まれ、本当の父を探しており、提供精子を用いた人工授精(AID)の問題点、課題の啓蒙活動に関わっていた
そして、逢沢の恋人の善百合子
善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だという
10人生まれた中で、不幸になる子が一人でもいるのであれば、人は子供を生むべきではないという主張
果たして、夏子の選択は……?


百合子の反出生主義の主張に対して、自分の価値観をぶん殴られた
いくらでも反論は可能だけれども、すべての生まれた子供が幸せになれる世の中はやってこない以上、その主義主張をする人が増えるといずれ人類は滅ぶ
まぁ、個々人は人類の存続のために生殖を行うわけではないけれども、生殖行為の否定は生物をしての否定だからな
ただ、現代の先進国においては少子化が進行していて、積極的な反出生主義ではないにしろ、消極的な反出生主義とも言える行動を取っている人が増えているのも事実
そんなわけで、このままではそのうち人類は滅ぶと思う


この主張を読んでて、吉野弘の詩「I was born」を思い出した
やはり英語だと I was born という受動態なんだよね
日本語の場合は違うけど、この世に生を受けるというのは子供の意思ではなく、生まれ落とされるものだろうなとも思う



自分の子が生まれる、親になるという恐怖はわからないでもない
親になってしまうという事実を受け入れられないというか、こんな自分がという気持ちからの罪悪感というか、不安感なんだよね

血を分けた子だとそう感じてしまうけど、血の繋がらない子だと、既にこの世に生まれてきているわけで
だとしたら、その子がよりよい人生を送れるように全面的に支援する気持ちになれる
結局は、自分の子供を産むというのはエゴであることは否定できないし
否定しなくてもいい事だと思うよ



そして、本屋大賞のノミネート作動詞の奇妙なテーマ繋がり
精子提供を受けて生まれた子のトレーサビリティに関しては「禁忌の子」でも語られているし
やはり、現代を描くとなると、どこかで課題はかぶってくるよなぁと思う

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

数年ぶりに小説を読み、読書好きの母に勧めた本。
何年か前に読んだので記憶が薄れて感想を書くことは難しいけど、今いちばん好きな作家、川上未映子の作品の中でも上位にはいる作品でした。
読み返して、感想をしたためたい。でも、当分そんな時間はとれないだろうな。
ページ数は多いのに、面白くてあっという間に読み終えました。
第一部は芥川賞を受賞した「乳と卵」のリライト版らしい。私が川上未映子を読み始めたきっかけが「乳と卵」なので感慨深い。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

正直中盤ごろまで主人公、夏子の心の語りの多さにうんざりしてしまう時もあった(彼女が小説家なので仕方ないのだが…)些細なエピソードや会話が案外最後で繋がったので、全部必要だったんだなと納得。卵子凍結は周りでもよく聞くけど精子提供は全然聞かないし、興味深い議題だと思った。夏子の彷徨ったり突っ走ったり爆発するのは何度かドン引きしたが不思議と最後は夏子の今後を応援したくなる、そんなスッキリな読後感が味わえた。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

650ページもあるし、一ページ一ページ、なんというかな、詩情に溢れる文章が連なっているので、それらを味わっているとなかなか読み進まなかった。
主人公には、まあ性別も違うし、味方にはなれなかったという感じだけれど、この先頑張って子育てしてくださいと素直に思えた。

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2025年12月06日

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ネタバレ

たしかに全ての生き物は生まれることを選べないのかもしれない、と思う。
「生まれたことを肯定したら、わたしはもう一日も、生きていけない」という善の言葉に、引き裂かれたような気持ちになった。

生きていくことととはなんなのか、間違うことはどこまで許されるのか、生まれてくることはなんなのか、全部分からないけれど、自分自身の人生をなぞらえながら考えを巡らさずにはいられない小説。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

途中の比喩表現やら情景描写やらが複雑でぽかーんでしたが、同じ女性として、なるほど、と思うところも多かったので★4つ。

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2025年11月01日

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題材とかメッセージ性とかストリートがどうとかの前に、文章がいいんです。
的なことを、編集者が主人公に言っている場面がある。

そうなんだよな。
文章が好きでその作家さんを読むんだよ。
正直、ストーリー、メッセージ性は別の話。
読んでいると、なんだか落ち着く、でもワクワクする文章に出会えると嬉しくなる

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2025年10月30日

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「世界が絶賛する最高傑作! 米TIME誌 ベスト10」の帯が目に入り、じゃあ、読んでみるか…それくらいの気持ちで手に取ったのだけれど、こんな内容だったなんて‼︎ 全く思いもしなかった‼︎
個人的にいろいろと思うことはあったけれども、一番気になるのは、この本、男性が読んだらどんな感想をもつのかしら?

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2025年10月03日

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5年くらい前から気になっていてようやく読んだ。
やっぱり本にもタイミングってあるんだと思う、今読めて良かった。
私は子どもを持たないって気持ちが、ほとんどはっきり固まってることに気づいた。
産むも産まないも正解はないんだよな。

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2025年10月01日

Posted by ブクログ

川上未映子の顔が美しくて、ずっと憧れている。
黒ラベルのcmに出演されているのをみて2年くらい積読していたのを思い出し、読みはじめた。
コロナで自宅待機になったことも重なり、1週間くらいでするする読めた。
終盤、自分の育ったまちへ訪れているときに好きなひとから電話があったシーンが一番うれしかった。わたしもしたことがあって、それは田園に死すという映画をみたあとに幼少期住んでいたまちへ訪れてみたこと。自傷ともとれるような行為だとおもう、さみしくて、なつかしくて、ひとりぼっちで涙が出そうだった。そんなときに好きなひとから会おうって連絡があったら、本当に嬉しいだろうなと思った。そしてそのひととの子どもを持つことになるのだけど、夏子が一人で産み、育てたいという決断をしたのが私は分からなかった。わたしなら、寄りかかりたいと思うだろうなと、思う。でも、川上未映子が自分自身で考え、考え尽くすことが大切だと言っていたのを思い出した。それが未来の自分を支える要素になるということ。私が子どもを持つかどうかはまだ分からないけど、この本を経て考えたことや感じたことが多少なりとも未来に作用すると感じる。
夏子がいろんな女性と話したり、食事をするシーンが好きだった。わたしもそういう出会いが欲しい

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

乳と卵を読んだので、夏物語も読んでみたくなり、読んだ。

電車に乗って、知らない街を見た時にここに立つことはないんだろうなと自分も結構思うことあるなーとか、夏子の感情に共感できることがたくさんあったから、確かにと思いながら読んだ。

大人のエゴでなんとなく子供を作り、家庭を作り、幸せですみたいなのって結構あるなぁ〜と思った。子供は親を選べないし、子供ができたからにはそれ相応の覚悟が必要だよなと思った。僕の周りにも親のエゴで子供を作って親が子供を振り回しているみたいな構図の家は一定数いて、誰も産んでくれなんて頼んでないし、産まれなかったらよかったと思う人ってこの世の中にたくさんいるんだろうなと思った。だけど、巻子とか夏子•巻子の母親のように貧乏だけど、子供のことを考える親もたくさんいる。
ページ数が多いので、少し疲れたけど、とても勉強になった。

好きだったのは逢沢さんの父の言葉で、ボイジャーの話だ。
ボイジャーにはゴールデンレコードで地球にあるあらゆる音から何まで、入っている。地球も人間もいつかは消えてなくなる。今ももこうして生きているのに誰かの思い出の中で生きている奇妙な感覚になるというところ。
人類が生きたことは便箋みたいにどこかの宇宙人に届けることができるのかなと思って、少し元気出た。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

文庫版、乳と卵を読んですぐ読み始めたから、最初???となった。第一部はあとにして、第二部から読んだ。
子供をもつ、生命を誕生させる、ということを考えさせられる。特に夏子と善百合子との会話が衝撃的。子供を産むというのは一方的で暴力的な行為、誰の何のための賭けなのか、そういう考え方もあるか…。確かに生まれてきたくて生まれてくる命はないのかもしれない。でもそんなこと言ったら人類絶滅しちゃうよな。善は生立ちが壮絶だからな…ただ、そういう酷い目にあっている子供は現実にも世の中にはいるわけで。なんだか胸が締め付けられる。
遊佐のくらがただいるだけで幸せな感じ、こっちはよくわかる。ただ自分が愛情だと思っているものが子供にとっては苦しみではないか、子供は自分の一部ではなく一人の人間、当たり前なんだけど時として忘れてしまいそうなこと、そこは忘れずに、でも、子供に対して、幸せであるように、生まれてきたことを楽しめるように、出来る限りのことはしたいなぁと思う。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

半年ほど前に購入して読み始め、主人公の姪緑子ちゃんの日記がはさまれたり姉の描写があったりと視点が定まらないような感覚がして物語に入っていけず、序盤で飽きてしまい、数か月間放置していた。
久しぶりに電車で通う場所への連勤があったので、そのお供に手に取った。相変わらず序盤部分は入っていけなかったけれど、物語後半、逢沢が登場したあたりからぐぐっと引き込まれ、最後は夜中に目覚めてしまった日に読み、最後まで集中して読み終えた。
自分が産んだ子に「会いたい」と願った主人公。私は妊娠前には「会う」ということまで考えていただろうか。妊娠がわかってから「会いたい」という気持ちになったことは覚えている。
妊娠方法の選択、育児方法の選択、選択肢があるからこそ迷うし、迷うことができるし、選ぶことができる。

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

人と生きること、子をもうけることについて、深く深く探る物語。

知らない誰かを探し続ける夏子と逢沢さんの想いがページを超えてリンクする所は、良い意味でぞくっとするというか、生きることに対する人の根源的な想いに気付かされるというか…とにかく印象的だった。私的ハイライト。

けれど全体的に仄暗い雰囲気が漂っており、孤独と、老いと、失われていくものと、もう得られないものに対する絶望的な気持ち、どうしようもない焦りの気持ちを噛み締める、そんな追体験をした。読みながら、涙がぽろっと溢れていた。それだけ共鳴する、小さくとも強く悲痛な想い。全て拾い上げ、一つひとつ余す所無く丁寧に描く作者の力量に圧倒される。

関西弁が生み出す(?)funnyな雰囲気や特に前半の豊胸話が、良いバランスになっているなと。結局それも全て繋がっていて、伏線になっているのですが。
親子関係の難しさ、トラウマも扱っており、複雑な思いが積み重なっていく。緑子の心の内と、夏子の父への恐怖感、母・祖母・姉への深い愛情……人と生きることが、怖い。でもやっぱり、誰かを何かを探し求めて、人へと向かっていく。というより、人へと向かっていく「性」に気付かされる。

確かに大きな動きはなく冗長ではあり、読み進めるのはやや時間が掛かったけれども、言葉を重ねに重ねて生まれるこの重みが、この小説のポイントだと思うのです。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

それぞれの思いをさらけ出しているが
最後にはそれぞれ自分なりの答えを声に出して
みんなが救われたと思われる。
恩田からの最後までの所が好きです。
恩田のキモさは同性としてあるけど
彼と出会うことによってそれぞれが動き出した感がある。
そして何よりも夏子の考えのブレが凄く人間性を表していて
凄く感情が伝わってくる!
また読みたいと思います。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今のわたしにとっては、目を逸らしたくなるけど、逸らすことが出来ない、不思議な本だった。

p163
「人ってさ、ずうっと自分やろ。生まれてからずっと自分やんか。そのことがしんどくなって、みんな酔うんかもしれんな」
「生きてたらいろんなことがあって、そやけど死ぬまでは生きていくしかないやろ、生きているあいだはずっと人生がつづくから、いったん避難しなもうもたへん、みたいなときがあるんかもな」

p228「たとえば、言葉って通じますよね。でも、話が通じることってじつはなかなかないんです。言葉は通じても、話が通じない。だいたいの問題はこれだと思います。わたしたち、言葉は通じても話が通じない世界に生きているんです、みんな。」

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

◯ 目から入ったもんは、どっからでていくのでしょうか。どうやってでるの、言葉になって、涙になってか。(146p)

◯ あなたはどうして、子どもを生もうと思うの(519p)

◯ 彼女だけだったのだ。(562p)

★第一部と第二部でテイストが随分違う。第一部は姉の巻子との会話が多く、くだけた関西弁がリズムを作っている。時々混ざる体言止め。ほんで、文章がめっちゃ詩的。これは第二部も含めて。そりゃ川上先生は詩人でもあるから。第一部は乳と卵と同じエピソードだ。読んだの20年近く前だからすっかり忘れてたけど、台所のシーンは強烈な印象があった。

★第二部は夏子のモノローグが多い。会話する相手も標準語を話す人が多い。生まれてきた苦しみ、生きる苦しみ、命の根源のなぜに向き合う。ほんでモンスターみたいな強烈なキャラ出てきた笑。

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

長い長い小説。
退屈では決してなく、毎日毎日とにかく読んでいたけれど、どういう感情で夏子の想いや日々と向き合って読めばいいのか分からないまま、外からお話を傍観しているような感覚があった。

はずなのに、残り1/3くらいになってから急に物語が自分事になってきて、巻ちゃんが「いつでも、姉ちゃんやで。」と言ってくれる場面でぼろぼろ泣いてしまった。一体どこからこんなに感情移入したのか読み終わってみても分からないけれど、気づけば私は夏子の目線で世界を見て、一緒に悩んで、悲しんで、うちのめされていたんだなと思った。

物語のほとんどは東京で進んでいくのに、文字でここまで表現できるのかというリアルな大阪弁の応酬に感動していたためかどうしても大阪の印象が強い本。
わたしが40歳くらいになった時また再読したい。その時わたしが一人でいるのか、二人でいるのか、はたまたそれ以上なのか分からないけど、きっとまた違う感じ方をするだろうなと思う。、

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

むむむ まず、読者の好き嫌いがはっきり分かれそうです。
改行があまりなく、ひたすら独白が続くので興味を持ち続けられるかどうかに依ると思います。
しかし、綴られる独白からの感情や、ノスタルジーをそそられる言葉の数々、巻子、夏子、緑子の関係性などなど、ピンポイントで泣かせてきます。私は第一章を読んだ後しばらく続きが読めませんでした。
第二章の、特に中盤を過ぎるとグッと面白くなってきて、どうなるだろうか、と期待するのですが、個人的にはラストは「あー、そっちかぁ…」となってしまいました。
女であること。
子供を作れる体であること。
でもそれが、未婚であり恋人がいないという理由だけでできないこと。
そういうことに対する理不尽さや無念さなどが描かれていて、女性なら誰でも一度はこういうことを考えたり感じたりするのでは、と思うのです。
子供を産める体ではあるけれども、それをしないという選択肢、あるいはパートナーがいなくても子供を持てる選択がないと、「子供を産める体」を持つ意義はないのかもしれない、と感じたんですね。
つまり、「自分の意思」だけで決めることができない…自分の体なのに。
対局の位置にいる善さんは、私の中に永遠に残っています。
「子どもには生まれたいという自由意志はないかもしれない」し、「すべての子供が祝福されるべき」なんてこともない。
とても難しい問題だと思います。

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

エレナフェッランテ推薦の女性作家小説リストにあったことがきっかけで読んだ。貧困やジェンダー、作家として作品を書くこと、出産に関する選択など、色んな要素のある長編作。久々の日本の小説なので長くても読みやすかった。
彼女ほどの貧困も葛藤もなく好きな人と結婚、妊娠、という人生を歩んできたので、違いを見つめるような気持ちで読み進めた。存在しないほうがよかった、そんなことを思わせる社会ではいけないよな。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

3.3
河合優実さんがおすすめしていたので。
わたしは善百合子サイドの人間なので、子どもを持つことを全肯定出来ないでいる。産む事はエゴで、産まれた側は無条件に愛さなきゃいけない、みたいな呪い。読んでいてすごく苦しくなった。けど目を背けてはいけないなとも思った。また時間をおいて読んだら変わるのかな…。
川上未映子さんの文体や比喩表現は美しかった。

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

小説だけどエッセイのような取り留めのなさのある本。
脅威の652ページ。
ページ数は多かったけどそこまで苦痛に感じませんでした。
物語は2部方式になっており、1部は主人公である夏子の姉の巻子と、その娘の緑子が夏子のもとに滞在しにやってくる話。
2部はこの話の本筋とも言える内容で、夏子が自分の子供を欲するように考えてAID(第三者からの精子提供を受けて行う人工授精)を検討する話。

テーマ自体は重い話でしたが、私個人としてはテーマとは異なる本質的な話(ちょこちょこ出てくる)が好きで、川上未映子さんの他の著書を読んでみたくなりました。
以下、気に入った文章。

3.おっぱいは誰のもの
p77きれいさとは、良さ。良さとは、幸せにつながるもの。幸せにはさまざまな定義があるだろうけれど、生きている人間はみんな、意識的にせよ無意識にせよ、自分にとっての、何かしらの幸せを求めている。
ー中略ー
幸せとはそれ以上を分けて考えることのできない、人間の最小にして最大の動機にして答えなのだから、「幸せになりたい」という気持ちそのものが理由なのだと思う。
【所感】
『幸せ』についての言語化って、解釈さまざまで難しいと思いますが、これは一つの答えかなって思いました。

6.世界でいちばん安全な場所
p162緑子に〈なんで大人って、お酒のむん?〉と尋ねられた夏子が答えるシーン。
「もしかしたら、酔ってるあいだは、自分じゃなくなるような感じがするんかもしれん。人ってさ、ずうっと自分やろ。生まれてからずっと自分やんか。そのことがしんどくなって、みんな酔うんかもしれんな。生きてたらいろんなことがあって、そやけど死ぬまでは生きていくしかないやろ、生きてるあいだはずっと人生がつづくから、いったん避難しなもうもたへんみたいなときがあるんかもな。
ー中略ー
避難ていうのは、自分からかな。自分の中にあるーー時間とか、思い出もひっくるめたもんから、避難するんかもしれん。なかには避難じゃ足りひん、もう戻ってきたくないって人もおって、自分で死んでしまう人もおるな。でも死なれへん人が大半やな。だからお酒飲んで、避難をくりかえすしかないんかもな。お酒だけじゃないよな、いろんなことに避難して、何でこんなことしてるんやろって思いながら、もういややって思いながら、でもどうしようもないときあるな。でもずっとそれやるわけにはいかへんよな。体も悪くなるし。いつまでそんなんするん、早よ気づきやゆうて、まわりの人も心配してやきもきして、いろんなこと言う。みんな正しいことをゆうてくれる。でももっと、しんどなる。」
【所感】
やってられない時に飲むお酒って避難の意味合いあるんですよね。
ため息もそうかもって思いました。一般的に幸せが逃げるだとか、周りの気分を盛り下げるのであんまし推奨されないことに思いますが、自分の息が詰まるときにはため息して、一息つくのって大事かなと思います。まあ、いつもため息ついたり、酒浸りなのはどうかと思いますが笑

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2025年12月14日

cnm

購入済み

女性なら一度は考えたことがあるであろう「子供を産むこと」について書かれた小説。高評価を得ているとのことで購入しましたが、書かれていることはどこか他人事で、何処かの記事を引っ張ってきただけのもののような感じがしてしまいました。乳と卵がとても感情的な作品だっただけに、その続編とのギャップが大きかったです

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

何のために人は生むのか。生みたいと思う女性の本能は、自分勝手なわがままではないのか。男の 3秒の快感のために、60年の苦労を背負わせていいのか? などと考え始めると、ほどなく人類滅亡なので、とりあえず何も考えずに性的欲求、母性本能のおもむくままに種を存続させていただきたい今日このごろではあるのだが、AID (Artificial Insemination with Donor's Semen; 夫以外の第三者から提供された精子を用いる非配偶者間人工授精)の問題を絡めつつ、38歳という出産を考えると微妙な年齢の女性の想いを「乳と卵」のあの濃密な筆致で描く。前半はその「乳と卵」の焼き直しなのだが、完成度で言うと原作の方が上か。第二部だけで(「乳と卵」の続編として)刊行した方が良かったんじゃないかなぁ。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

乳と卵より性的多様性に振り切ってた。緑子は相変わらず可愛いしこういう子が地味な男に心酔するのには現実でもよく見る。性的にノーマルだからか共感は出来なかったけど理解はできた。

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2025年11月06日

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