【感想・ネタバレ】夏物語のレビュー

あらすじ

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。

※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

夏物語が出産シーンで終わるのは、夏目夏子の物語があそこで終わりを迎え、以降は一人の母の物語になるからだろうと思った。この作家さんの生々しく、いきなり畳み掛けるような表現が好きだ。それまでの文章がどれだけ長く感じても、胸が締め付けられ臨場感溢れその最中に自分がいるのだと錯覚する瞬間があるだけで、良い映画と出会った時のような感動を覚えてしまう。
善百合子という美しい名前が忘れられない。

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2026年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1人の女性の人生を追体験し、自分の持っていなかった価値観に触れることができた。
自分の人生もなかなかの人生だよな、と思うが、それでも、人生に対して希望を持つことができる自分がいる。それがただ、ありがたいな、と思った。今まで自分にもいろんなことがあったけど、「とは言えど、人生って捨てたもんじゃない」と思う。でも、
本当に、心の底から、人生を、自分を、肯定できない人もいるんだよな、と、頭の中ではわかってはいたけど、なんとなく曖昧にしていた部分がハッキリとなったと言うか、
世の中キレイゴトばかりでは厳しいということもあるという事実を、心の奥でそう思えたというか、「そういう人もいるんだよな」と静かに思った。
善さんみたいに、子供を産むことに対して、そんな見方をしたことがなかったし、それはとても、心が「うっ」となったけど、でも、そういう見方もあるんだということを知れてよかった。
確かに子供を産むことが「賭け」という見方もある。そういう見方もできる。
仮に本当にそうだったとしても、というか、これは子供を産むということ以外でも言えるけど、
「失敗」「間違ってる」とわかっていても、理性ではわかっていても、抑えられないこともあるよな、とも思うのだ。
人間は完璧ではない。エラーも起きる。
だけど、それが人間なんだよ。
でも、きっと、善さんは「みんなそうやって言うよね」と言うだろう。
どちらもが本当で、そもそも、「間違ってる」とかそんなものもなくて、
時と場合によることだってあるし、夏子さんみたいに、本当に全く全てが同じ条件で人生を経験したら、私だって同じような葛藤、絶望、孤独、焦燥感などがあったと思う。
「それでも間違いを選びたい」と思う気がする。
でも、それも本当に経験してないからわからない。だけど、そうだったかもしれない、みんな。
結果的に「逢沢さん」との子供を授かることができたけど、そうじゃない道を選んだとしても、
そして、現実にそれで苦しんでいる人がいても、
これは全部がそれぞれの立場じゃないと、本当にわからないことだよな、と思った。
あーだ、こうだ、と、正論を言うことは簡単なんだけど、
そんな簡単な答えを「正解」とすることはできない。
「答え」は出ないな。私には出せない。それは無責任とかそう言うものではなくて、
その時その時、自分が必死で考えて、答えを出して、行動して、生きて行くしかない。
でも、そうだとしても、色んな人の、本に出てきた人たちの人生を「知っておく」ことはとても意味のあることだと思った。
とてもとても、考えさせられる、素晴らしい本でした。

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読むの苦しいなあ
子どもを産むのは親のエゴというけれど、そのひと言で済ませられないものがある
女が女の体として女として生きるのはとても苦しい

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第一部は緑子の思春期特有のうまく伝えられない気持ちが繊細に描かれていてとても面白かったです。緑子が夏子と関わることによって様々なことに気がついていくのと同時に夏子も様々なことを感じていくという構成がよかったです。最後に緑子と巻子で卵を自分の頭にぶつけてお互いに伝え合うというのがシュールでしたがこの作品の中で最もインパクトのあるシーンであるのは間違いなく、非常に面白い体験をしました。第二部は夏子がAIDによって自分の子供と出会おうとする中で逢沢をはじめとした様々な人物と出会い、生命とはなにか、結婚とは何か、独りとはなにかを感じ取っていくというストーリーでした。登場人物それぞれが色々な感情や背景を抱えていてとても面白かったです。好きなキャラクターは遊佐です。男という生き物に対してはひとつの信頼も置いておらず世間を冷笑しているように感じられながらも娘のくらや夏子のこととなると真剣に考えて好きなように生きるように手助けするという性格がよかったです。また一番好きなシーンは夏子と善百合子が夜の公園で話すシーンです。善百合子の生まれたことこそが最大の不幸であり、母親たちのエゴで辛いことばかりが待っているこの世の中に子供を生み出しているという主張を聞き、一見支離滅裂に感じながらもハッとした気持ちになりました。他にも紺野や仙川といった魅力的なキャラクターが多く登場して夏子が迷いながらも成長するというのがよかったです。

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2026年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私が今まで読んできた本とは違う。これが文学なのか。初めての体験というか衝撃。文章に人の心をこれほど揺さぶる力があるんだなと強く感じた。
最後は結局好きな人との子どもを授かった夏子。どういう結末を望んでいたのか自分でもわからないけど、なんとなく腑に落ちないというか結局そこに落ち着くのかと思ってしまった
他の作品も読んでみたい。

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2026年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性の人生についてふんわり思っていたことが、かなり細かく描かれていた。

反出生主義。私自身も、鬱になった時、
こんなに辛い思いをするなら、消えたい。これからも辛いまま生きなければならないことは明らかで、明るい未来が見えない。だけど、自死は嫌だ。家族を悲しませ、想像できない痛みに自ら向かって行く勇気もない。だから、そもそも生まれなかったら1番良かった。と思ったのだった。
同時に、不妊治療は本当にエゴでしかないという考えを持った。自然の摂理ならともかく、不自然な形を取ってまで、不要なお金や他人の労力をかけてまで、将来私みたいに苦しむかもしれない子供を産むなんて。今、実際、苦しんでいる子供がいるのに。巻子の言うようにそれは神の領域の話なのに、それを操作しようなんて驕った考えだと。
善百合子の言っていることは、その時私がひとりで考えていたことと同じだった。その時に読めたら良かった。

だから、善百合子に対して夏子が、
"私は間違ったことをする=あなたの元恋人の逢沢と子供を作る"
とわざわざ宣言しにいったのはエゴでしかない、と感じた。
結果的に善百合子の恋人を取り、しかも善さんのことを"可哀想で抱きしめたい"と同情心さえ持っている。善さんが言ったように、夏子も逢沢もベースに生まれてきて良かったという考えがあり、善さんに同情心を持っている。なるほど、逢沢と夏子は、考え方の芯が同じなんだな。
私や善さんとは考え方の芯が違うから、善さんの気持ちを全く分からずに、自分の欲望だけでこういうことをするのかな。

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だけど、私は世間の思想みたいなものに押されて、子供を産みたいと思うこともある。それも、自然妊娠ならOKと思っている。それは、私自身が生まれてきたことは不幸だ、と思ったことと矛盾しないか?
善さんが言っていた言葉にヒントがあるように思った。産んだ子が人生が楽しくないかもしれないという賭けは、私には影響しない。なぜなら、自分が産む子は、絶対に自分ではないから。
私にも子供を持ちたい気持ちがあって、でも生まれたことを不幸に思ったこともあって。芯が1本通っていないというか、都合がいいというか。ただ、私が子供を持っても、その子が生まれたことを不幸に思うのは私ではないという、安全な立場から見ているから、こうなのかも。つまるところ、自分の子であっても他人として、当事者意識が無くて、責任だけ神様(自然)や子供に押し付けている。

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女性同士でしか得られない、お互いへの理解、思いやりはやっぱりあるよね。そして特に、女性同士の血のつながり。母と娘のつながり。姉妹のつながり。女性であるわたしは、どうしても男性とは心の奥深くまで繋がれない気がしている。

幼い頃に戻りたいと思うよね。どうしても戻れないことが分かってしまっているから、キューっと切なく苦しくなる。地元に戻ったりして、昔と比べてたりしてね。

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大阪弁が読みやすい。大袈裟な感じや、冷たい感じにならずに、夏子の想いを受け取れる。日常感がある。

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2026年03月29日

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