あらすじ
あのとき、ふたりが世界のすべてになった――。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。谷崎潤一郎賞受賞作。収録作:アイスクリーム熱/愛の夢とか/いちご畑が永遠につづいてゆくのだから/日曜日はどこへ/三月の毛糸/お花畑自身/十三月怪談
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短編集。短中編くらいのものもある。
どれもそれぞれ別の女性が主人公でそれぞれの人生なんだなと思うが、どこかお花のイメージが共通してある感じがした、
好きなもので作り上げた家を引き払うことになり、でも未練が残って戻ってきてしまい、特に思い入れが強かった庭に埋めてもらう「お花畑自身」や、心配性の妻が早くに亡くなってしまった仲睦まじい夫婦のその後(とその感覚)を描いた「十三月怪談」など、軽やかで飄々ともしているけれどテーマとして重みもあるものが印象的だった。
Posted by ブクログ
短編集。それぞれに心に響くポイントが異なる作品が並んでいる。
『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』
幻想的。文章構成の妙。表題を提示しそのあとに続く文章はまるで連作詞編をよんでいるよう。二人の関係性はいかに。個人的には30代前半の夫婦で子作りに関する話題で大ゲンカ。ブチぎれる妻と黙秘と苛立ちを醸し出す夫の一幕。
『日曜日はどこへ』
淡い青春への憧憬。大人になって日々を惰性で貪る感覚が高頻度で襲う私の人生。そうではないパラレルワールドを夢見みながら日常の平凡さに押しつぶされそう。
『三月の毛糸』
ファンタジーなラスト。テーマはわかり味が一番強い。
凄惨な世界に取り囲まれている生活の危うさ。一歩選択を間違えると奈落に落ちるという不安。そんなどうしよもなく救いのない世界に強制的に参加をさせるなんてどうしようもなく残酷な仕打ちではないか。そんな世界と一体となって溶け合い惑い個が持つ精神から解放された安らかな世界へ。そんな祈りのようなメッセージを受け取った。
表題作『愛の夢とか』をはじめ、その他作品も秀逸。川上作品の特徴は夜更けから夜、夜明けから曙光という世界の移ろいをロマンティックに切りとることろにある。魅力の一部ではあるけど、そういう物語の紡ぎ方にロマンティックがとまりません。
Posted by ブクログ
「お花畑自身」が特に好き。大切に手入れしてきた庭や自宅をいけすかない若い女に売らざるを得なくなった50代の女性の話。かつて自宅だった庭のバラを何度も見にいくの切ない。
「十三月怪談」は死んでしまった妻視点、生きている夫視点が混じるような不思議な視点。薄れていく意識なのか、記憶が本当のことなのか幻なのか…
自分は川上さんの文章はどういいのかいかに素敵なのかというのが説明しにくく、何を言っても無粋になる気がしますが、川上沼にズブズブです。一冊を読み終わりたくないんです。ずっと読み続けたい…といつも思ってしまう。
Posted by ブクログ
何気ない日常の中、光のような暗がりのような曖昧な部分を美しく表現した7つの物語
詩的でゆらりと漂う文章の中で、はっとさせられる言葉に度々出会う。付箋を貼り、全て読み終えて、もう一度同じ場所を辿るがその感動は変わらない。日曜日はどこへが特に好きでした。
Posted by ブクログ
とても好き。アイスクリーム熱にぎゅっとなって、1番好きな話だった。
痛いぐらいに伝わる繊細なお話。読み応えというよりもっと読みたいに変わりました。
Posted by ブクログ
アイスクリーム熱に出てくる
「うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ」
っていう言葉が一番好きで、それが映画にもつかわれていて嬉しかった。
わたしが個人的に好きな話は三月の毛糸。反出生主義てきな考え方がかかれていて好きだった。
でもお花畑自身もすき。。。十三月怪談も。
とってもわたしの好きが詰まっていた。
Posted by ブクログ
文章のリズムがよく心地よく読めた。7編の短編集で、どれもよかったけど特に十三月怪談が好きだった。ヴァージニアウルフのような詩的な文章で、ちょっと不思議な世界観が好き。現実と霊魂の間で少しずつ記憶やいろいろが失われて薄まっていくけど大切な気持ちだけ残って、そんな様子が一人称視点でつらつらと連なり、読点を多用しひらがなの割合が徐々に多くなっていく文体で表現されていて感覚的なものがよく伝わった。
Posted by ブクログ
川上未映子さんはどの話しも独特な雰囲気とテンポがあり、そのリズムにはまると最後、沼におちます。
生活の中のまばゆい光も痛みの重さもどちらも存在し、白昼夢のような空気に包まれたかと思いきや、急に現実に戻されるような緩急のある短編集。「愛の夢とか」は物語自体が芸術に昇華されているように感じた。
「十三月怪談」が一番印象的。強い想いや願い、川上未映子さんの魂が宿った筆力に胸がいっぱいになりました。
Posted by ブクログ
絶対に女性にしか思い浮かばないような表現や言葉がすらすらと出てきて、それが抽象的な比喩なはずなのに生々しいとすら感じた。
まさに詩のような文章を書く人だなと改めて感じられる短編集だった。
初めて作家さんで気に入って買った本です
(1冊目は「すべて真夜中の恋人たち」でした)
最後の2篇は夢中になれたけど、その他は私にはあまり合わなかったのでマイナス1に。
Posted by ブクログ
Dear 川上未映子様,
時々貴女がわからなくなります。貴女は普段から曖昧模糊を基調とした表現をなされるのに、時折見せるその抽象から具体への鋭角な、鋭利な刃物を喉に突きつけられたかのような、まるでいつもの本当の自分を、ある特定の人物に本音を語らせるように物語の人物に己の側面を仮託するように鋭い指摘をする人物を用意されます。今回でいうと『お花畑自身』に出てくる家を買った女性や『ヘヴン』でいう百瀬のことを言っているのですよ。彼女ら彼らが言うことは、間違っていても決して全否定できない世の中みたいな核心があります。ガツンとくるものがあります。あえてスマブラで言わせてもらえるなら、普段カービィの貴女が時折見せる下Bのストーンに吹っ飛ばされてしまいます。貴女の本質は一体どちらなのでしょうか。混乱します。わからなくなくなるからこそ、もっと知りたいと思ってしまうのかもしれません。魅力的です。雲を掴むような貴女の表現を愛し、これからも読み続けていきたいと思う次第であります。
Posted by ブクログ
「ひとはつよくて、いきていくことをつづけてゆくだけのかろうじてのつよさがあれば、そのうちいきているひとがだれか、だれかがきっと、またちからをくれて、ちからをきっとくれるだろう、いきていれば、いきているだれかが」
Posted by ブクログ
川上未映子の作品を初めて読んだ。
あー、すごく好きだ。大好きだ。
特にアイスクリーム熱がたまらない。
よくわからないけど、どうしてもどうしても愛おしい人って、生きているうちに出会う。そして、その人はよくわからない人だから、さよならも言わずにどこか遠くへ行ってしまう。そんなことを私はよく知ってる。だからとても響いた。
それぞれの異なる愛の形が描かれた短編集だったと思う。愛のカタチって一つじゃないから。
表題作『愛の夢とか』で、お互いの名前を呼び合うところも本当に素敵で心に残った。
いい短編、いい作家さんに出会えてとても嬉しい。
また読みます。
Posted by ブクログ
限りなくリアルに近いファンタジー。面白かった。
やっぱりこの方の文章はすごく美しくて、大好きだなと思った。
十三月の怪談、時子視点の終盤でどんどん平仮名が多くなっていくのがおもしろかった。それだけ認知とか感覚とか意識が遠のいて、揺らいでいってたのかな。多分時子が死後見ていた世界は幻想で、それは潤一も同じなんだけど、たしかに2人はそこにいて、「本当」ってなんなんだろうってすごく思った。
「いまがいつだって、それにここがどこだっていいじゃない、いまふたりでここにいることはどちらにしたってほんとうのことなんだから」
Posted by ブクログ
難しい話もあったけど
やっぱり綺麗な表現をされる方で読み終わって世界が違って見えた。
また色の違う短編集で汲み取りきれない作品もあったけど2つの作品がすごく好きでそれについて言及したい。
「愛の夢とか」
なんだかんだで私にとって身近なピアノが題材。
何歳になってもどんな状況でも自分が決めてやり遂げたいって決めたことに向かって努力することって本当に美しいことなんだと客観的に思えた。
同時に、音楽はそれだけ人の心を動かす何かがあるんだとも感じた。
読み終わってすごくピアノが弾きたくなったな。
「十三月怪談」
この状況でこの作品に出会えたことは運命だったのかな。
年始の色々で今生きていられることに感謝しなきゃと思っていた私にさらにそのことを強く思わせてくれた。
死んでしまったら何もできない、でも生きていればなんだってできる。
いつか死ぬ恐怖に怯えるより生きていられる今に感謝してしたいことをたくさんしよう。
「死」は突然全てを変えてしまう。それは突然訪れるかもしれないしゆっくり訪れるかもしれない。「死」に関わった人の人生すらも変えてしまうかもしれない。
でも、それでも私は生きてる。あなたは生きてるでしょ、そう伝えられた気がした。
1時間もかからずに読める作品なのに読み終える頃には泣いてた。
不思議なお話なのに、なぜだか涙が止まらなかった。
Posted by ブクログ
フワフワとした話が多かった。「お花畑自身」がお気に入り。途中ドキドキした。
「十三月怪談」も印象的だった。☆印のついたところは、順一パートっていうことでいいのかな?時子目線のところもあるけど、順一が見た夢なのかなって思った。順一の愛が深くて、悲しい話だった
Posted by ブクログ
淡々と話が進んでいく中で、考えさせられるというか人の心の奥深くに存在している闇みたいなやつに気付かされる作品だった。
ただ、改行も少なく本当に淡々と話が進むため、ちょっと読みづらかった。
Posted by ブクログ
なかなか、何を言いたいのか理解するのが難しい話が多かった。
面白かったのはお花畑自身と十三月怪談。
十三月怪談は若い夫婦の話。妻が若くして亡くなるのだけど、その後の展開が結局どうなるの?と思いました。
夜寝る前に読んだのでちょっと怖かった。
死後の世界は多分あるんだろうなとか好きな人が不幸だと辛いなど色々考える話だった。
Posted by ブクログ
短編集だけど一つ一つのお話に入り込んで読めたので、すぐに次のお話に頭が切り替えられなくて3日かけて読んだ。特に表題作の「愛の夢とか」が好きで、実際に読みながら愛の夢を4回聴いた。繊細で神経質なところもある女性のいいところも悪いところも全部描写された1冊で、作者独特の文章のテンポ感が心地よかった。
Posted by ブクログ
表題作「愛の夢とか」は、わりと抒情性重視の作品なのかなと思った。薔薇の花びらに触れているみたいな手ざわりの文章。しっとりとしたベルベットみたいで、確かな厚みがあって。心地よい空気に酔ってしまった。
で、ほかの作品もそういう抒情性を全面に押し出した感じなのかと思いきや違ったテイストだなあと。
どちらかというと「乳と卵」みたいな系統で、文章のリズムで読ませる的な印象だと思った。
Posted by ブクログ
よく理解できない話しばかりなんだけど「十三月怪談」の死んでしまった時子が「生きている人を救うのは、救えるのは生きている人間。大事な人がいるなら生きていなければならないんだ」と言う言葉、本当にそうだと思う。
Posted by ブクログ
全てのストーリーに共通しているのが、夢と現実の間。夢は希望的な夢じゃなくて寝てる時の夢。
実際にそんな描写から始まる話もある。
タイトルの話とお花畑自身、十三月怪談が印象的。ひとつ分からすぎる話もあったした。
区切りがなく、だーーっとページに文字が並ぶ感じ。難しい言葉はあまりないが何度も読まないと読んでも、理解しづらい文章あり。
好みの分かれる本だけど、私は星3だけどこの人の本を読みたくなる。
最後の話はこれまでになく、感動的なラストで珍しく深い愛情の物語だった。死んだら、こんな風になのか?死んでから、こうやって会いたい人と会えたら幸せ。
Posted by ブクログ
全体的な感想として、怖かった。寂しくなった。
とくに最後の『十三怪談』は、時子の感情から漢字が少なくなって、ひらがなが多くなってくると寂しさが募ってきた。
そして、潤一のパートになり新たな寂しさが畳み掛けられた。
終わり方の好みはあるかと思うが、これはこれで良いのかな、いや好みではないか。
Posted by ブクログ
川上さんの短編集を初めて読んだ。どうしてこんなにいろいろな視点から物語を紡げるのだろう、不思議な読後感だった。個人的にお花畑自身と十三月怪談が好きだった。
Posted by ブクログ
はじめて読んだ、川上未映子の小説。7篇の物語の詰め合わせ。小説(短編集はとりわけ)は、読む前にまず目次を開き、その作家さんの言葉の選び方を見てしまうけれど、この本の短編タイトルはどれもドンピシャによかったな。「愛の夢とか」はもちろんだけど、「三月の毛糸」「お花畑自身」、「十三月怪談」は同じくらい好きだった。「日曜日はどこへ」もいい。私の日々の中にも確かにある、ちょっとした希望と絶望の両方を想いながら読んだ。
Posted by ブクログ
不思議な世界観なのに身近な感じがするのはなぜ
独特な文体で別世界に引き込まれるけど
ふと「ああなんかわかる」と妙に現実的
死んでしまった後の気持ちのぐるぐるするあたり
ちょっとふっと泣きそうになった