あらすじ
あのとき、ふたりが世界のすべてになった――。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。谷崎潤一郎賞受賞作。収録作:アイスクリーム熱/愛の夢とか/いちご畑が永遠につづいてゆくのだから/日曜日はどこへ/三月の毛糸/お花畑自身/十三月怪談
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Posted by ブクログ
やっぱり良い、川上未映子さんの文章は本当に良い。「正しい」とされる教科書のような日本語ではなくて、歌うような、言葉が流れるスピード感が素晴らしい。正しさに囚われていては決して辿り着けない、彼女の感性が織りなすオリジナリティがある。
「愛の夢とか」は7つのお話からなる短編集。ご近所さんのピアノの練習に付き合う表題作や、愛着のある自宅を手放さざるを得なかった女性とその家を購入した若い女性の話も面白かったのだけど、なんと言っても十三月怪談が素晴らしかった。
夜寝る前に読んだのが間違いで、泣きすぎて翌朝目が五重くらいに腫れていた。若くして亡くなってしまう女性、時子と、そして残された夫、潤一。時子の魂は夫を見守り、潤一は人生を立て直していく。ここにも「人は見たいものを見る」という人生観が表れていて、ちょっとひねりが効いているのも良かったな。時子の魂が一人称で語る部分があるのだけど、その胸が潰れそうな切なさの描写がリアルで、ボロボロに泣いてしまった。
川上未映子さんの本を読むと素敵な表現がたくさんあって線を引きまくってしまう。もっともっと彼女の言葉を聞きたい。
Posted by ブクログ
短編集。それぞれに心に響くポイントが異なる作品が並んでいる。
『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』
幻想的。文章構成の妙。表題を提示しそのあとに続く文章はまるで連作詞編をよんでいるよう。二人の関係性はいかに。個人的には30代前半の夫婦で子作りに関する話題で大ゲンカ。ブチぎれる妻と黙秘と苛立ちを醸し出す夫の一幕。
『日曜日はどこへ』
淡い青春への憧憬。大人になって日々を惰性で貪る感覚が高頻度で襲う私の人生。そうではないパラレルワールドを夢見みながら日常の平凡さに押しつぶされそう。
『三月の毛糸』
ファンタジーなラスト。テーマはわかり味が一番強い。
凄惨な世界に取り囲まれている生活の危うさ。一歩選択を間違えると奈落に落ちるという不安。そんなどうしよもなく救いのない世界に強制的に参加をさせるなんてどうしようもなく残酷な仕打ちではないか。そんな世界と一体となって溶け合い惑い個が持つ精神から解放された安らかな世界へ。そんな祈りのようなメッセージを受け取った。
表題作『愛の夢とか』をはじめ、その他作品も秀逸。川上作品の特徴は夜更けから夜、夜明けから曙光という世界の移ろいをロマンティックに切りとることろにある。魅力の一部ではあるけど、そういう物語の紡ぎ方にロマンティックがとまりません。
Posted by ブクログ
アイスクリーム熱に出てくる
「うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ」
っていう言葉が一番好きで、それが映画にもつかわれていて嬉しかった。
わたしが個人的に好きな話は三月の毛糸。反出生主義てきな考え方がかかれていて好きだった。
でもお花畑自身もすき。。。十三月怪談も。
とってもわたしの好きが詰まっていた。