【感想・ネタバレ】愛の夢とかのレビュー

あらすじ

あのとき、ふたりが世界のすべてになった――。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。谷崎潤一郎賞受賞作。収録作:アイスクリーム熱/愛の夢とか/いちご畑が永遠につづいてゆくのだから/日曜日はどこへ/三月の毛糸/お花畑自身/十三月怪談

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Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集。それぞれに心に響くポイントが異なる作品が並んでいる。

『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』
幻想的。文章構成の妙。表題を提示しそのあとに続く文章はまるで連作詞編をよんでいるよう。二人の関係性はいかに。個人的には30代前半の夫婦で子作りに関する話題で大ゲンカ。ブチぎれる妻と黙秘と苛立ちを醸し出す夫の一幕。

『日曜日はどこへ』
淡い青春への憧憬。大人になって日々を惰性で貪る感覚が高頻度で襲う私の人生。そうではないパラレルワールドを夢見みながら日常の平凡さに押しつぶされそう。

『三月の毛糸』
ファンタジーなラスト。テーマはわかり味が一番強い。
凄惨な世界に取り囲まれている生活の危うさ。一歩選択を間違えると奈落に落ちるという不安。そんなどうしよもなく救いのない世界に強制的に参加をさせるなんてどうしようもなく残酷な仕打ちではないか。そんな世界と一体となって溶け合い惑い個が持つ精神から解放された安らかな世界へ。そんな祈りのようなメッセージを受け取った。

表題作『愛の夢とか』をはじめ、その他作品も秀逸。川上作品の特徴は夜更けから夜、夜明けから曙光という世界の移ろいをロマンティックに切りとることろにある。魅力の一部ではあるけど、そういう物語の紡ぎ方にロマンティックがとまりません。

0
2025年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どれも好きな話だった。
特に印象に残ったのは、アイスクリーム熱、お花畑自身、十三月怪談。
十三月階段はボロボロ泣いた。

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2023年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイスクリーム熱に出てくる
「うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ」
っていう言葉が一番好きで、それが映画にもつかわれていて嬉しかった。

わたしが個人的に好きな話は三月の毛糸。反出生主義てきな考え方がかかれていて好きだった。

でもお花畑自身もすき。。。十三月怪談も。

とってもわたしの好きが詰まっていた。

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2023年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

限りなくリアルに近いファンタジー。面白かった。
やっぱりこの方の文章はすごく美しくて、大好きだなと思った。

十三月の怪談、時子視点の終盤でどんどん平仮名が多くなっていくのがおもしろかった。それだけ認知とか感覚とか意識が遠のいて、揺らいでいってたのかな。多分時子が死後見ていた世界は幻想で、それは潤一も同じなんだけど、たしかに2人はそこにいて、「本当」ってなんなんだろうってすごく思った。

「いまがいつだって、それにここがどこだっていいじゃない、いまふたりでここにいることはどちらにしたってほんとうのことなんだから」

0
2024年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

吉岡里帆主演の「アイスクリームフィバー」がことのほか良かったので原作も読んでみたくなった、すると余りにも短い短編だったので驚いた、映画をここまで引き伸ばしたのは脚本家なのか監督なのかは知らないが、話の内容は後6編あるどの話にも関わりがなかった、ほとんどシュチュエーションを借りただけの映画創作であったようだ、ただ本作が悪い訳ではなく、愛の儚さを感じさせるなかなかの文学作品ではあった、“とか”がよく効いている。

0
2023年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

川上さんの短編集は初めてで、すごく、よい意味で、みぞみぞした気持ちになった。
あと、アイスクリーム熱から始まり、十三月怪談に終わる短編の並び方がよかった。
(一番好きだったのは十三月怪談。)
 
アイスクリーム熱の始まりが、とてもすき。
まず冷たいこと、それから甘いこと。

日曜日はどこへ、は、冷静と情熱のあいだを思わず連想したけど、やはり川上さん、現実味があるね。胸がぎゅっとなった。
いちご畑、お花畑自身は、わたしの中ではなんというか、ホラーに近い感覚なんやけど、なんと表現したらよいかわからないホラーで、今の私の語彙力だと、うまく、言葉が選べない。ほんとうに、読み終わったらみぞみぞするかんじ。

十三月怪談もパラレルワールドで、そわそわとするんやけど、最後の最後で、それでも行き着く先があたたかくてよかった…って思ってほっとする。

_φ(・_・
◆アイスクリーム熱
少し意地が悪そうな彼の一重まぶたの目が好きで、でもそのよさをどうやって表現すればそれをちゃんと言い終わったことになるのかがわからない。
うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。

そのまましばらく動かない何秒かがあったけれど、それはそのまま死んでしまって、、

◆いちご畑は永遠に続いてゆくのだから
よくよく見ると、何って字はわたしの顔にそっくりなのだ。
油っぽい壁みたいなつばきを見ると、いつも無理矢理って言葉がうかんだ。
わたしは女の人をみるたびに、かならずその人がどれくらい不幸かどうかを想像してみる癖がある。

◆日曜日はどこへ
終わりは終わりの顔をしてわたしたちを訪れるようなことはこれまでだってなかったし、これからだって決してない。何かとよく似た顔をしてやってきて、通り過ぎたうんとあとにあれが最後だったと気づくだけ。
わたしはどうしていつも自分で自分を置き去りにして、すぐにそれを迎えにゆくような恥ずかしい真似を飽きもせずにこうしてくりかえすことができるのだろう。

◆三月の毛糸
なぜ、いつも、しんどさは楽しさをうわまわるのかってことなのよね。

◆十三月怪談
死ぬことは見えなくなること
生きてるひとをすくうのは、すくえるのは、どうやったって生きてる人間でしかないんだった
だいじな人がいるなら生きていなければならないんだな。

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2023年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイスクリーム熱
ふとした時に思い出しそうな恋ってこれだな

十三月怪談
生きている人を励ますのは生きている人にしかできない、死んでしまった人は無力
そう思うと確かにその通りで死んでしまった人たちはもしかしたら生きているひとたちを見ることができているかもしれないけど生きている側は見えてないわけだから、生きている者同士で支え合っていかなきゃいけない取り残されるほうはかなり辛いんだよね

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2024年06月15日

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