川上未映子のレビュー一覧

  • すべて真夜中の恋人たち

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    冬子は、社会の中でうまく人と関われず、あまり光の当たらない人生を送っている。そんな冬子がカルチャースクールで、見知らぬ人に自分から話しかける場面が印象に残った。

    「すいません」と声をかけるとき、男性の目ではなく「顎のあたりを見て言った」という描写がある。目を合わせることすらできない冬子の人との距離感が、この一文から伝わってくる感じがして、とても印象的だった。

    もう一つ印象に残ったのがお酒のシーン。家でお酒を飲めないのに無理して飲むうちに、次第にお酒にハマっていく。そして、ゴミを捨てるときには、自分が飲んだ缶や瓶でゴミ箱が埋め尽くされていたという描写がある。

    ここは自分も若い頃はかなりお酒が好きだったので、妙にリアルに感じた。

    「光」という言葉が作品の中で何度も出てくるけれど、描かれているのは、いわゆる華やかな人生や美男美女の恋愛だけではない。むしろ、普段はあまり光が当たらないような人の人生に光を当てている。

    いろいろな人に、それぞれの人生がある。そんなことを感じさせてくれる作品だった。

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    2026年09月18日
  • 黄色い家(下)

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    ネタバレ

    私の知らない世界だった

    お金のことを考えずにはいられないようになったのは、花のせいでは無い、じゃあ親のせいなのか、そうでもない。

    誰も悪くないのに、誰かは悪くなる。
    社会、私の見ている社会ではない社会が存在する

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    2026年09月14日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    何か事件が起きるわけじゃない。
    コロナ禍である事を除けば、ただの日常の一幕でしかない。
    それなのに妙に落ち着かない気持ちにさせられる。
    特に『娘について』を読んでいる時の居心地の悪さが凄い。
    どの話も静かで不穏、共感できる登場人物もいない。
    だけど何故か惹き込まれてしまう。

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    2026年09月13日
  • パイがふたつあったおはなし

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    ダッチェスちゃん、ねずみのパイが嫌いと言いながらいざ食べる(仔牛とハムのパイと思いながらねずみのパイを食べている)といっぱい食べちゃうのは“食べ物”ではなく“情報”を食べている感じね。

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    2026年09月13日
  • ヘヴン

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    ネタバレ

    読んだあとなんかめちゃくちゃ辛かった。。私は多分、ここまでしんどい描写を読んだらその分最後に、しんどさと対になるような救いがあると期待してよんでたんだなあと自覚した。それとも、怖いものみたさみたいな感覚だったんだろうか。どちらにしても、一気読みをしてしまう吸引力だった。

    心身共に余裕があるときでないと受け止めきれない気のする本で、私は今その余裕がなかったけど、考える題材をたくさん与えてくれる本な気がした。

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    2026年09月08日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    冒頭の文の美しさが好き。全体的に静かで落ち着いた話で、悪く言えば地味で何も起きないのだけど、その静けさが個人的には良かった。
    ただ、欲を言えば冬子の視点を通してもっと三束さんのメロいところを見せてほしかった。多分私も好き。三束さん。

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    2026年09月07日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    読んでいて苦しい。川上未映子さんの文章の、いきなり迫ってくる感覚が好きで、ひとつの流れで胸が焦燥感を急激に得る瞬間があると、それだけでその本は特別だと残ってしまう。今作はその点は最後に近い下りであったけれど、それまでに主人公を見ていて大変生々しくて見ていられないという苦しさに苛まれていたので、これまで読んできた他の作品ほどのものは感じられなかった。
    客観性の欠けた女性が緩慢ながら客観性を最終的に得るように見えたのでそれはとても良かった。あっさりとした、もしくは人によってはちょっとと思う終わりかもしれないけど、私にとってはこの終わりで良かった。
    設定的に入り込めなかったので評価は少し下がるが、たまにならこういうものを読んでもいいなと思いました。

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    2026年09月07日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    主人公にイライラする場面もあったけど孤独がそうさせているのかなとも思った。終わりには少し不完全燃焼感が否めない。
    感情の書き方が難しかったけど綺麗だった。

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    2026年09月06日
  • ヘヴン

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    百瀬とのやりとりに、心底腹が立つしこの人話通じないなって感じなんだけど、道徳的な面からみるとそう思うのだあって、言ってること自体は間違ってないのが余計に腹立たしい。 二ノ宮にも同じくらいムカつくけど。
    全体的にいじめ描写が多くて読んでて相当辛くなる。でもやっぱ未映子好きだなーって思う。

    僕とコジマの関係性っていうのは、お互いいじめられた者同士、仲間だ支え合っていこうみたいな感じ。手紙のやり取りやお出かけとかを重ねて辛いながらも強くなっていく様はいいんだけど、だんだん2人の認識にもズレが生じて…
    コジマは、そうした状況を受け入れるしか無いみたいな感じで百瀬に近いのかな?いじめる側と同じ考えになってどうすんだよとも思ってしまう。僕は、百瀬に立ち向かって見たり、そこでのやり取りを経て少しずつ抵抗していく勇気をもち始める。私はやっぱり僕の方を応援したくなるな。コジマの行動は、一時的にはいじめっ子を怯ませることができるけど、長期的に見れば「あんなことしちゃうバカなやつ」みたいに結局は周りを変えることなんかできないんじゃないかって思う。

    僕にとっては、最終的に救いや希望のある話でよかったなって思う!

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    2026年09月05日
  • きみは赤ちゃん

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    2026.09.04

    自分の妊娠出産子育てと重ねながら読み、共感し、たくさん心の中で頷きながら読み終えた。
    目の前の今しかない子どもたちとの時間を1日1日大切にしっかり向き合って一緒に過ごしていきたいなと、改めて思えた。
    川上未映子さんありがとうございます。

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    2026年09月04日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    あまりにも自分を取り巻く世界に敏感な登場人物達。その敏感さが丁寧に丁寧に表現されている作品だと感じた。
    この敏感さを持ったまま生きるのは、多分すごく難しい。手放した方が、生きるのはずっと楽なんじゃないかな…。(自分も手放した人間の1人)
    読んでいて今はもう共感はできないけれど、どこか懐かしさを感じる気がするのはきっとそんな理由。

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    2026年09月02日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    難しくてよくわからなかったけど、ブルー・インクが好きだった。頭の中での葛藤と自分との対話。わたしもよくするから分かる。

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    2026年09月01日
  • すべて真夜中の恋人たち

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    ネタバレ

    読み終わったら出る一言目は「うーん」だった
    それは良い意味でも悪い意味でもない

    恋をしている人の感情を大胆に書かれていて
    恋を忘れてしまった私からするとなんだか久しぶりの感覚を教えてくれる教科書みたいでよかった

    三束さんは何を考えていたのだろう、
    私も冬子みたいに考えたけれど何も分からなかった
    三束さんはずっと大人な人だと思っていたけれど、
    ちゃんと人間らしいところもあって
    それは年齢が「愛」においては関係ないことを表しているみたいだった

    誰かを愛するということ、こんなにも辛いのだな
    辛くて、だから苦しくて、それでも朝の光かいつもより輝くように見える
    そんな情景まで思い出せるような な本だった

    私が愛を忘れてしまった時、また読みたいと思う
    愛とは、きっと苦しくて悲しくて涙が止まらない
    それでも、何気ない日々が色濃く見える

    冬の薄暗い、でも心地の良い風と
    春になっていく気持ちのいい晴れた日を想像した

    美しい本だった

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    2026年08月31日
  • 乳と卵

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    毛の処理や生理だとか中学生の時に感じてた身体に関する嫌悪感を思い出した。
    当時読んでたらまた感覚が違う気がするけど、文章が読みにくいので、きっと挫折してた。 
    男性側の感想が気になる。

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    2026年08月31日
  • 黄色い家(上)

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    本当にこういう人生があるんだろうなというリアルさ。主人公は何だかんだ逞しくて見ていて好ましい。
    楽しく暮らして良い思い出もあったのに冒頭で蘭ちゃんに黒歴史みたいに言われてるのは少し悲しい。

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    2026年08月30日
  • 黄色い家(上)

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    ネタバレ

    罪を犯す人の、どうしてもそうするしか仕方なかった理由が刻々と書かれている。
    黄美子さんのこと、「そういうところあるだろ」って言われて、彼女がお金のこととか将来をうまく考えられないことに花が気づいて、帰って黄美子さんがいつもどおりずっと家の壁を磨いてるのが切なかった。後半母が騙されまくって売上200万渡すのも。

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    2026年08月30日
  • 黄色い家(下)

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    黄美子さんとは何だったのだろう。主人公はどこで踏み止まったらここまで堕ちなかったのだろう。読後はそればかり考えてしまった。

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    2026年08月25日
  • ヘヴン

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    いじめはダメだやっぱり。百瀬の理論は、理論的には正しいし同意。たまたまなんだ全部。ただ、規模を大きくしただけでそこまで機械的に動けない人間の要素を除外してるし、それぞれの解釈を集合させないといけない時に倫理観が試されると思う。つまり、机上の空論で都合が良すぎる。もっと人と人、人と集合はままならない世界観に放り込まれていると感じた。コジマの耐えるべきが正しいはどこか「夜と霧」を思い出した。2人が手紙を交わし合いながらお互いが関係性を深めていく過程で、痛みの象徴を共有し合い、残すことに、痛みに価値を据えている有様は自分にもよくわかる。ラストシーンのコジマの自己を削った狂ったような美しさ、主人公の斜視を直したことによる世界の美しさに気づくシーンは、痛みを駆動力にして生まれる美しさか、痛みを取り除いて生まれる美しさの対比が描かれていた。個人的には、主人公の美しさの気づくシーンは過剰でそこにトラウマやしがらみの解放も見て取れたけど、どちらかというとそう思い込もうとして、感動することで痛みを必死に遠ざけてるように見えた。コジマが、いじめの原因だと思っていた要素が取り除かれた世界でどう生きていくのか、想像させられる終わり方だった。

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    2026年08月23日
  • ヘヴン

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    いじめの描写が過酷だけれど、現在もきっとどこかでいじめは起こっているから、目を背けてはいけない事実であると思った。たまたまいじめたいという欲求があって、たまたま標的がいた、そんな理不尽な理由で人の精神をえぐるようなことは、絶対にあってはならないと思う。

    いじめ被害者のコジマと僕が、加害者もきっと弱い部分がある、彼らもきっと自分のしていることの意味がいつかわかるときがある、と言い聞かせ、なんとか強く過ごそうとしている姿は、見ていてやるせなかった。彼らが幸せにいきてほしい。

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    2026年08月23日
  • 春のこわいもの(新潮文庫)

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    『娘について』の短編が、終始じっとりと怖い感じがした。
    人間のこころの中で起こる怖い部分をじっくり炙り出されている感じがした。

    昔自分が人にしたひどいことを、あとから思い起こさせられる怖さ。
    母親のコンプレックスの捌け口として過干渉された娘。
    世間知らずな友達がどう考えてもヤバイ男に引っかっているのに、その友達は優越感すら覚えていることを話聞きながら感じること(友達の低い自己肯定感が原因で、才能を認められた云々の甘い言葉でコロっと落ちているアホさにドン引きしながらも、聞き役に徹しないといけない状況)。
    努力している自分が夢を叶えられないのに、隣で遊んでばっかりの友達が夢を叶えそうな現実に耐えられなくて、最悪の手段で邪魔をしていく自分。

    若い頃は特に何の実績がなくても自分のことを非凡な存在だと思っている。
    なのに何者でもない凡庸な人間になってしまったことへのコンプレックスがずっとどこかにあって、それが拭えないから自分の娘に昔の自分の夢を託したい気持ちと、それすらも邪魔したい気持ち などなど。

    見砂も、ネコさんも、よしえも全員こわい。
    友達に昔ひどいことをした罪悪感に駆られて、最後に起こす行動もえええ、、こわ、、ってなった。

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    2026年08月22日