小川一水のレビュー一覧
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副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。
全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダ -
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良いですねー。社会科学的な観点も含めて、本寸法のハードSFですね。
「環境による意識の変容」を共通のテーマとした4篇を収録。といってもそれぞれの作品に繋がりはなく、テイストも様々で、同じ素材を様々な手法で調理したコース料理を味わった感覚です。なかなか贅沢。
あまりSFを読み慣れていない人が「SF」と聞いて想起するイメージをそのまま作品にしたような、無駄なく引き締まった端正なハードSF揃い。冒頭の「ギャルナフカの迷宮」はSFの「S」風味薄めですが、社会科学系SFと言えますし、普段SFを読まない人にもお勧めできる、文句なしの傑作。
明るい結末の話ばかり、ではありません。暗い未来が待ち受けている -
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29世紀。地球人の植民星メニー・メニー・シープの港町セナーセーの医師カドムは、親友アクリラの依頼で急速に町に広がる疫病を調査することに。その結果、感染源は甲皮に覆われた謎の生物イサリであると判明する。カドムは凶暴なイサリとなんとか意思疎通できるようになるが、星の支配者である領主ユレインからイサリを引き渡すよう命じられてしまう。メニー・メニー・シープの民たちは現領主による厳しすぎる配電制限で生活が立ち行かなくなりつつあり、各地で反乱の種が芽吹いていた。反骨精神旺盛な《海の一統》アウレーリア家の嫡男であるアクリラとイサリを失ったカドムも、電力を独占しようとする領主の陰謀を阻止するために動き始める。
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購入済み
初、小川一水読みでした!
作者さんの別作品を人に勧めてもらったものの、そちらは長編シリーズだったため、まずは短編集からと思い、こちらを読みました。
どのお話も素敵だったのですが、SFにあった固いイメージとは異なる読みやすい文章、思わず顔が綻んでしまう様な描写が魅力的な一冊でした!
別作品もこれから読むのですが、楽しみです! -
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新進気鋭の作家様によるSF中短編書き下ろしプラス創元SF短編賞受賞作アンソロジー
自分の裡に形成される「SF固定概念」を毎回アップデートしてくれる最先端を走るシリーズ
ティプトリーを読み涙していた頃、このような未来型が到来すると露ほども予測せず、また今後どのような作品が紡がれてゆくのか、想像するだけで萌えます
読みごたえあります!
『未明のシンビオシス』
南海トラフ大規模地殻変動が発生、列島の姿すら変わってしまった日本
荒廃した世界で生き延びる主人公たちの微かな希望を描いた近未来SF
『いつか明ける夜を』
光のない闇の世界が、夜と昼に別たれた
言い伝えの神馬と少女は、世界の救世主にな -
Posted by ブクログ
ネタバレついに終わった…!
長い長い旅路で、想像できる範囲をとうに越え読むのに時間がかかってしまったけど、終わりました…
ヒトもヒトでないものも、また生をつなぐことできたんだね…
このⅩ巻PART1~3は、月へと新天地を求める晩年の千茅から始まり、千茅へ励ましの手紙を送ろうとする青年の青葉で終わるというのが、なんて粋なことしてくれるんだ!と拍手喝采を送りたい。
そして全巻通して、人類の可能性と、宇宙という未知の世界と、そこに住む地球外生命体の営みとが目の前に提示されて、今まで自分の持っていた価値観がふっとんだ。大人になって行動範囲も物事の捉え方も随分広がったと思っていたけど、この物語の前では井の中の