小川一水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ物語の初っ端から目を覆いたくなるような悲劇が続く。これは小説で良かった。映像だと刺激が強すぎるから。
災害が続く昨今、大地震がいつ起きてもおかしくないし、この話の中のような状況もあり得るかもしれない。人はこんなふうに行動するのかもしれない。
でも何より主人公が格好いいなぁと惚れ惚れしながら読みました。
自分を使い潰すように働くのに報われず、思うように動いてくれない人々に苛立って、理不尽な不平不満や恨み言をぶつけられて、邪魔されて、利用されて。
なんでこんな人間達を自分が救わないといけないんだなんて怒りながら、結局は汚れ役、憎まれ役を果たして献身する姿がもう本当に格好いい。
願わくば、さらっと流されてしまった多くの登場人物達のエピソードを丁寧に膨らませていったら、もっと血の通った物語になったんじゃないかな。
とはいえ、非常に面白かったです。読めたことに感謝! -
Posted by ブクログ
ネタバレPART3ではカン類のアカネカ女王らカンム周辺に集結していた銀河団諸族らと、オンネキッツの進める超新星爆発を阻止しようと協力してゆくあたりから物語が再加速する。ノルとミスチフの最後。そしてダダーと化したアクリラの力もあり人類や諸族は爆発を生き延びた。…最後は地球に還り着いたMMS人類(カルミアンらも)と、地球で冷凍睡眠していた人々、そしてカン類らカンムから地球への帰還に同行した諸種族たちが、ともに助け合いながら緑豊かな惑星を再び築いたであろうことが想像できる。「青葉よ、豊かなれ」このサブタイが心に響く。
ついに読み終えた。遅読の上いろいろと他の本にも寄り道して、1年4ヶ月。いつも心のなかにメニー・メニー・シープがあった。現代の東京に話が戻ってきたシーン。青葉が一度捨てかけた手紙は、確かに千茅に届いていたんだな。標ってそれだったのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
いよいよ決戦も本番を迎えてきたという感じ。
七章は、Part1からの続きの部分なので、この作品ではここだけが異質の話という感じになっている。メニー・メニー・シープでの住民と救世群との戦いもなかなかこみ上げるものがあったのだが、今後の戦闘はスケールがかなり違うことが見て取れるので、犠牲も多く出るのではないかと感傷的になった。Part2で一旦落ち着くのかと思ったが、「Part3に続く」となっていたので「おお、まだ続くのか」とちょっと意表をつかれてしまった。
この先、どんどんスケールの大きな話になって行きそうだが、それだけに目が離せない展開となるだろう。Part3はどうなるのか。 -
Posted by ブクログ
〉これほどまでに異常な状況下では、自分たち個々の思考やモチベーションなど維持したいとも思わなかった。患者は何千人という数なのだ。その生死は疫学的推計によりすでに決まっているようなものだ。必要以上に努力したところで、回復率を1パーセントでも押し上げることはできはしない。──医師が1個の部品になることが必要なレベルの、これは途方もない事態であり、圭伍もそれを受け入れていた。
謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子はミクロネシアのリゾートアイランドへ向かう。
そこで目にしたのは、肌が赤くただれ目の周りに黒斑をもつリゾート客たちが、そこかしこに倒れ伏す惨状。
冥王斑と名付けられることになるその病気は、致死率95%、空気感染し、回復後も感染能を保持する──つまり一度感染したら死ぬまで隔離が必要となるという恐ろしい物だった。
やがてパンデミックへ拡大していくなかで、人類は防疫という武器をもって必死の戦いを続ける…という話。
私のオールタイムベスト作品のひとつ。今こそ全世界の人に読んでほしい、パンデミック物の金字塔、天冥の標Ⅱ救世群です。
世界中で次々に起こるアウトブレイクに立ち向かう人々の姿が緊張感あふれる筆致で語られます。人類が英知を結集するような熱い展開が好きなんです。
そして並行して、感染後に生き残った「回復者」たちの続く隔離生活と、彼らの受ける苛烈な差別が描かれます。
「どうか、人間を恨むことのないように」
「無理です」
このやりとりが今後800年に及ぶ恨みの物語への端緒に…。
今こそ読んでほしいので今こそ再読。
現実世界でのCOVID-19に関連した差別は、なんと医療関係者に向けられているという報道もありますが…。防疫とは、パンデミックとは、ウイルスと戦うとはどういうことか。今の世界を理解する手掛かりになる小説です。
書店では特別全面帯で「防疫は、差別ではない」と黒地白文字のインパクト大で展開されています。大長編の第2話なのですが大丈夫。独立した一冊ですので気軽に手に取ってください。 -
Posted by ブクログ
>──303年前に、汎銀河往来圏から惑星ファット・ビーチ・ボールへと移住した人々は、まだ生きていた。
>残存総人口は30万4900名である。
今からだいたい6500年後くらいの、銀河辺境のガスジャイアント(木星型惑星)軌道上で、漁をして暮らす社会が舞台のバディ物百合ハードSF。
生活するための資源を惑星大気を泳ぐ魚(のようなもの)を捕ることで補わなければいけないという社会設定で人がどのように暮らしているかという考察は、SF読んでる〜って感じでもう、楽しくて仕方ないです。
「礎柱船の燃料でありエンジンであり、電池であり電線であるほかに、翼と耐圧装甲になるという素敵な材料」全質量可換粘土で造られた船で、船の形を変幻自在に変えながら大気に潜って漁をする…楽しい…。
で、広がりの少ない宇宙船で300年も暮らして、はじめ50万人いたのが30万人になってたり、24あった氏族が16に減ってたりしてたら、男女の役割ががっちり決められて船は男女の夫婦で動かすもの、氏族によっては女は三歩下がって影踏まずみたいなことになっていると。
そういうところで、独創的すぎる創船で男にモテない巨女テラと、男側の役割である操縦士をやりたい超絶技巧パイロット家出娘ダイがバディになって、今まで誰もできなかったようなことをやってのけまくる爽快SFなわけです。
核心のお話的には、ダイがじりじりとテラを落とそうとするラブコメでございます。お互い探り探り距離を縮めていく感じ好きですよ。
デッキドレス
漁に臨む正装である「船用盛装」が、「白金色で軽快な三十五世紀シリウス宮廷妖精風テンプルガードル姿」とか「ヴィクトリアン型ロングドレス」とか「銀と黒のスキンスーツ型」で、これはイラストで見たい!!
クアングアンファン
超光速航法の「光貫環」が、「星と星との等重力ポテンシャルを結んだトンネル」で、これは導きの星の慣性系同調航法ですねえ。こういうのファン大喜び。
あー面白かった。