小川一水のレビュー一覧
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シリーズ3作目は2310年が舞台。アンチ・オックス(酸素いらず)たちが主人公。
主人公のアダムスと彼らが乗る船エスレルがめちゃくちゃゴージャスだし、内容はスペースオペラっぽいしとにかくワクワクする一冊。
1.2巻のキャラも出るよー!
途中少し途切れたんだけど、続きを読めばそこからはぐいぐい引き込まれて気がつけば最後の1行だったという恐ろしいまでのリーダビリティの高さよ……そういえば2巻も止まらんかったし、1巻も下巻後半は一気読みだったわ……小川一水氏恐るべし……。
私の好きキャラはセアキ。大好き。潤滑油→
あと、おじさん好きとしては外せないのが癖強めの船大工(?)のウルヴァーノ。こういう変態キャラがいるお話は大好き。
そして差し込まれる〈断章〉という項目。2巻にもあったんだけど、おそらくシリーズ通じて描かれるチラリズムだと思われる(言い方)次の話も楽しみがすぎるわこれは笑
以下読書中ツイート
天冥、なぜ同性愛がタブーじゃないかの世界観説明が入ってめちゃくちゃ読みやすくなった!!!
そうか、私は(恋愛関連に関して)意味がわからん設定が入るとノイズを感じるのか……?
よくわからぬが、グイグイ引き込まれていて楽しい……!セアキありがとう……!作中でお前がいると息がしやすい!
まぁ、私が今読んでいるのSFなんですけどね。宇宙大戦争みたいなバトル系の。このお話、アニメ化したら映えそう〜!!エスレルはアニメ絵で見たい。あとアダムスは絶対映える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこんなに面白い小説を読んだのはいつぶりだろう。
読みながら、読み終わってから、ずっと考えていた。
小説を読む人がうっすら目をそらしてることがある。
それは「本当に面白いと思っているのか?」ってこと。自分はミステリとホラーを読むけれど、
心のどこかにある「これはいつもの展開だな」「見た記憶あるな」。心が動くのは新規性がある時だけ。
グルメがゲテモノにたどり着く感覚も、本読みという観点では多少わかる気がする。
じゃあ、なんでTCRはこんなに面白いんだと、俺は切れそうだった。
よくあるガール・ミーツ・ガールの展開にSFを加えただけ。それなのに、こんなに面白い。
小さい頃に何度も読みふけった冒険小説と同じ感覚を、歳を重ねて沢山の本を読んで来た今の自分が味わえることに感動すら覚えている。
「本を読んで心が震えた」なんてやっすい言葉を、文字通り使いたくなるほどの面白さだった。おそらく小説でこのレベルに感動したのは「星を継ぐもの」ぐらいしかない。
まず地の文も会話も、テラとダイオードがいる世界に即した書かれ方をしていることに驚く。
小説の会話はある意味記号と同じで「こういう台詞を言った」という情報でしかない。
でもTCRでは「んっ」とか「んお」とか「あは」とか、彼女たちから出た声をそのまま書き起こしているように感じる。読み手と登場人物に垣根がない。
地の文は基本、第三者風テラ視点で描かれていて、その説明の仕方や比喩表現から彼女の枠にとらわれない発想力が伝わってくる。気がつけば読み手はテラの考え方や性格が手に取るようにわかる。身体にコンプレックスがあり、他人を気遣う優しさがあっても、本性の自由な気質が抑えられない。そして失敗しては自省する。それが初登場のテラだ。そこへテラを上回る規格外のダイオードが現れて、彼女の心は救われながらも、次第にダイオードを振り回していく。この関係性がまさに「ツインスター・サイクロン」だと思う。
テラとダイオードの会話から伝わってくる。気遣いはしても遠慮はしないというスタンス。初期のテラからは考えられない、まさに「ウマが合う」状態。お互いに「そういう関係」を望みながらも叶わないと思っていたからこその、とても近いのに最後の最後で壁があるような、ある意味究極のバディにも見える。それがもどかしくもあるし、だからこその良いとも言える。
「あなたの船を飛ばしてもいいですか」
「いいですよ好きなだけモフらせてやります嗅がせてやりますから、こっちに来てもいいって言え!」
「むしろおっきくて柔らかそうなのって……」
クールな反面むっつりなダイオード。ぽやぽやしたお姉さんなのに、ちゃんと大人としての知識も、邪な視線にも敏感なテラ。作中にもある「私が何にも知らないと思って寄せてきましたよね」に全てが詰まっている。アピールに気づいていながらも、気づかないフリをしていたのはテラで、アピールを明確にしなかったのは、星の外に一緒に行ってくれるか、拒否されたらどうしようという恐怖で動けなかったダイオード。その二人が、もう死ぬかも知れないという最後の最後で本音をさらけ出す。
「来てくださいな、ごほうびあげます」
これに全てが詰まっている。この下りを読んだ時の衝撃はとんでもなかった。
二人と一緒に旅してきたAMC粘土の俺が成仏しそうになった。
そして全てが終わって帰る時の会話では、もうテラはダイオードのものになると覚悟を決めた強さが宿っている。個人的には「小さな火竜みたいに強い抱擁だった」って表現が、ダイオードがムガーっ!って抱きついてる様を表現していてすごく好き。
FBBの深部が実は生物で、エダが落ちた時に拾われて魚の知識を与えたことで、ベッシュという形で少しづつ脱出を測っていたという壮大なスケールも良かった。
そうだ。一つだけ。
深部から脱出する時の「外部ログは4038気圧を計測していた」という一文。
そしてエダの「全てを等価で変換できる粘土が世界を作ったらそれは夢か?」という問い。
さらにダイオードの「二人手も繋げずに、バラバラに底に落ちた」という言葉。
自分はこれを読んで、二人はあの時一度死んで、エダによってAMC粘土で全く同じ存在として作られたのでは?……って思ったんだけど、皆はどう思う?
最後に。
この作品は確かに女女のクソデカ感情が交錯する百合SFなのは間違いない。
しかし軽い文体の根底にあるのは、テラとダイオードの中にある「自分らしく生きたい」という欲求に従った結果、女女として鍵がハマるように巡り合った二人の物語だと思っています。
ここ十年でも間違いなくトップに入る小説でした。
おいおいおい。これが後3冊もあるの……。嬉しくておかしくなりそう。 -
Posted by ブクログ
SF特集!国内SF作家さんの短編集をこれでもか、と楽しめる一冊。
個人的にツボ短編は
⭐︎長い別れ 天沢時生
⭐︎光路 宮西建礼
⭐︎星間戦艦ゴフルキルA8の完勝 小川一水
の三作品。
SF読んでる〜って言う感覚が最高→
「にじみ」「数と泥」「踊れ生徒会長」は設定や物語はめちゃくちゃ楽しかったんだけど、オチが個人的にイマイチ。
「鳥なき島」は文章は好きなんだけど少しわかりづらい&それをパワーで押し込めない感じが。
あ、ときときチャンネルはめちゃくちゃ読みやすい。私の中で短編の括りに入れるか悩む→
んだけど、キャラもノリも大好き。個人サイト時代にこういうサイト見つけたら日参してBBSに書き込みしてるわ(笑)
英米SF史概観は読み応えたっぷりだったし、巻末の本紹介も楽しかったー!!
大満足な一冊でした。買って良かった!! -
Posted by ブクログ
ミクロネシアの島国で発生した謎の疫病と、そこから始まるパンデミック。
コロナ後の世界で読むと、まさにコロナ禍。コロナ前にこの描写を描く小川一水氏……すげぇよ……ってなりながら一気読み。止まらなかった……彼らには逞しく生きてほしい→
1巻の冒頭で描かれていた“冥王斑”の始まりが描かれる。でも、1巻ではイサリの血液由来だったのに……??となりつつ、ページを捲る手が止まらねぇぇぇ!!
あと、児玉と矢来のペアが好きすぎる……この子達が後のカドムという認識で良いのか……?いやもう、ほんま頑張って生きてほしい。→
千茅もだしジョプもだし主要メンバーが好きすぎて続きが読みたい。でもまぁ、3巻は時代が変わっちゃうので、彼らの純粋な「その後」はおそらくもう読めないんだよね……子孫は出てくるんだろうけど(というか、3巻の前半で出てくる)それは悲しいが、彼らの意志がどう生きるのかを見届けたい。 -
購入済み
リグ・ライトとろーどそうるずが特に好きです。誰かのために働きながら、社会や同族とフィードバックを重ねて積み上げていく機械にとても生き物を感じました。この世界の今後は、機械同士の連携に庇護される人間の世界になるのかなとか、主導権を人間に戻そうとするカウンターが出るのかなとかぼんやり想像する楽しみもありました。
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ネタバレ互いが互いを思い合っているからこそのすれ違いとまでは発展しない感情。そんな気持ちを簡単に晴れやかにさせてくれない現状も相まって、なかなか心苦しい。彼女たちの体が粘土であれ、人在たらしめるのは精神であり、彼女たちは十分に人在だ。
彼女たちが彼女たちの真実に触れるたび、私はその事実が導き出す結論を否定している。それでも現実への介入をやめない二人は強い。現実から目を背けて、ただただ大丈夫だと信じる私と、現実を打ち返し、二人の世界をなんとしてでも手に入れようとする二人とでは大きな差がある。
最高の物語だった。
二人が抱えてきた大きな問題も、二人の前に立ちはだかる大きな壁も、その全てを乗り越えた先にあるのは、いつも通りの逃走劇。彼女達はそれで全てを成してきた。今回もまた、二人だけの逃避行で、エダとマギリが残した昏魚の卵を捕え続ける。
本当に良かった。周回者から、防軍からしたら、大きな仕事を果たすギリギリでとんずらこいた女二人という扱いになるかもしれないけど、私達読者からすればそんな事はどうでもよくて、二人が幸せになってくれればそれで良い。そう思わせるのは、テラとダイオードが何者をも犠牲にしてまで自らの幸せを確約する人達でないからであって、彼女達ははっきりと「よく寝られるために何かを助ける」と言ってるからこそ、助けられる側の私達も彼女達の世界に邪魔者が入って来ないように願うことができる。
ここから先のテラとダイオードが紡ぐ世界は、私は見ることができない。そしてそれは私が死んでしまった後も、歩みを止めない。これから巻き込まれる事件や、引き起こす事件。更には彼女達が産み出す愛の結晶の行方など、知りたい事は山ほどあるが、それらは想像するだけに留めておきたい。テラとダイオードはいつまでも自由に飛び回る。毎日が愛に包まれて。 -
Posted by ブクログ
ついに始まった二人だけのランデヴー。彼女たちの素性から考えれば、うまくいくことばかりではないため、当然のように苦労を重ねていく。全く知らない世界に飛び出して、互いのことを一番に思い合い、小さな仕事を引き受けて、時には人助け———
再読。
とても面白い。今まではテラとダイの二人が知っている世界で漁をして旅をしていたけれど、本書からは読者である私は当然ながら、二人も知らない世界を旅していくため、より彼女たちに感情移入できて深い感動を覚えた。彼女たちと同じ景色を見ているなんておこがましいことはいえないが、擬似的に同じ感動や衝撃を味わえて楽しかった。
読み終わってというか、読んでいる途中で気付いたのだけれど、私は4巻を読んでいないかもしれない。私の記憶の中にある本シリーズのラストが本書のラストと一致していて、この後に続く物語が頭に思い浮かべることができない(そう言えるほど終わり方がよかったと思う。しかし確かに、いかにも続きがありそうな終わり方ではあった)。初読か再読かわからないけど、こんなに本シリーズを最後まで楽しめることができるのだから、再読してよかったと心から思う。 -
Posted by ブクログ
26/07/07 再々読(再読記録に感想有)
本書発売当時の初読以来の再読。
当時は私自身の読解力が、ほとんどないと言っても良いほどであったため、本作品の魅力を最大限理解できていなかったと思う。それでも当時から面白く好きな作品であったため、ほんの少しだけ成長した今の自分が読めばより好きになるのは間違いなかった。愛も変わらず素晴らしい作品だった。
テラとダイオード。二人の女性の間にあるのは、互いを思う信念、互いの為に自らを捧げる覚悟、そして愛情。彼女らの行動一つ一つから感じ取れるそれらの感情は、美しい。向かい風の世の中に立ち向かい、自らの存在を証明していく様には勇気をもらう。ただ本書の魅力はそこだけで無い。単純に設定が、世界観が面白い。ベッシュを獲るために、捕獲船を自らの思い通りの形へと変形させるデコンパと、その船を操縦してみせるツイスタ。そんな二人の共同作業で、人々の生活を賄っている。こういった設定があるからこそ、世界に彩りが与えられ、テラとダイオードの関係の美しさもまた、浮き彫りにさせている。