小川一水のレビュー一覧
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ネタバレ完結篇が始まった……大スケールの宇宙戦争は想像が追い付かないです。
二惑星天体連合軍艦隊(2PA)とエンルエンラの戦闘凄かった(「煙羅煙羅」って変換出てきたけどこれ煙々羅なのかぁ妖怪の。地獄の業火説あるので硫黄の竜なのかも??)。
エンルエンラやらが属してるおとめ座超銀河団諸族。おとめ座超銀河団ならこういうのも居そう、というリアリティがあって良いです。
セレスが太陽系を離れてからの300年間、太陽系では何が起こってたかの「第三章 黄昏の眠り」。そんな……息子ジョージのことを思うと父ブレイド・ヴァンディ切ない。
ヨーゼンハイムがルッツだったなんて…いやフルネーム出てたと思うけど覚えられない。槍 -
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第40回SF大賞を受賞した小川一水の天冥の標シリーズも九割がた集まって来ているので、近いうちに一気に読み始めることができるだろう。どちらかというと正統派SF作家のイメージが強い小川一水から本作品である百合SFが四年前に刊行された。しかも最近では第3巻が出版され、もしかしたら天冥の標と同じくらいの長寿シリーズになるのだろうか。同じ百合SF系の宮澤伊織の裏世界ピクニック(2024年6月時点での最新刊は第9巻、コミックは第12巻)を意識、いや対抗しているのかもしれない。
コミック第1巻は小説第1巻の約1/4の内容をカバーしている。コミックの出版ペースが今後どれ位になるかは不明だが、希望としては早め -
ネタバレ
センスに満ちた時間SF
面白い! 時間軸を泳ぐ生物の体が現在の日本と200年後の木星で引っかかるってもうなんかややこしい感じがするんだけど、実際に読んでみると超分かりやすくて凄いしセンスに満ちている。台詞のセンスも良くて、特に「毎日」の概念が無いってのがさらっと出しつつも上手過ぎる。いい本だった
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ネタバレ「収拾?そんなこと、元々できるわけがないじゃない。走り続けるだけのことよ。みんなが走り抜くまで、ね」
どれが正解かなんて後になってみなきゃわからないから、その時の最適解だと思うやり方で走り抜くしかないんだな。人生。
とうとう、メニー・メニー・シープ人と救世群と太陽系人類が同盟を結んだ。言いたいことはあるけど棚上げにして…というやり方ができるんだな。お互い様ということも少しだけあるのかも。
ここまで長くかかって失うものもたくさんあったけれど、取り返しのつかないことはないんだと思い知りました。
エフェーミアが生き延びてくれていてよかった。メララのことも覚えてるんだな。シュタンドーレ総督の心は受け -
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ネタバレ「行きましょう、アイン。今はもう、ここが世界よ」
「宿怨」の世界を逃げ延びた人類の生き残り50000人を、ほとんど成人が居ないので17歳くらいの少年少女たちが何とかして生き延びさせようとする。読み終わってみると7巻がこれまでで1番重かった。
地下世界でなんとかして生き延びようと、統率したり居住区を広げたりしてて…重機や作業をするロボットや兵器があるとはいえ、全てを取りまとめているのは、何もかも初めてなアイネイアやミゲラ、ジョージたちスカウト。
こういうとき大人ほど脆いのかもしれない…という出来事があるし、戦闘や疫病によって一時は20000人を切ったけど、それからかなりイザコザして、
1巻に続 -
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ネタバレ「全太陽系応答なし」、第6巻全3冊最終巻の終章題名が重く静かに響き渡ります。
第2巻で描かれる地球でのパンデミックから冥王斑が太陽系を覆い尽くすここまで約500年、つぶさに見てきたわけだけれど……これは重い。
よく、歴史のifやたらればなど話題になることがあるけど、「天冥の標」を読むと「回避する事柄や修正したらいいかもな地点なんてない」ことを痛感させられました。フィクションでも無理となるので、ましてややり直しの効かない現実なんて。。
だから、対話が必要なんだな。ブレイド・ヴァンディとシュタンドーレ総督のように。このふたりの友情は貴かった…憎み合っててもこうなれる道はあるのだ、という救いでした。 -
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ネタバレ・ギャルナフカの迷宮
・老ヴォールの惑星
・幸せになる箱庭
・漂った男
の4編からなる短編集
いい意味でも悪い意味でも、
隔絶された世界でどう生きるのか
ということを描いた作品群と感じた。
『ギャルナフカの迷宮』
地下迷宮に幽閉された人々、1人1つの地図を渡され、食糧と水のありかが書かれている。他の人と地図を奪い合うのか、それとも手を取り合って生きていくのか。
『老ヴォールの惑星』
とある惑星に棲む宇宙人が、近い将来隕石が衝突し惑星が滅亡することが判明する。他の惑星に生命体がいることを信じて、発信を続けていく。
『幸せになる箱庭』
宇宙のプロフェッショナルの数名の人類が、とある惑星へ向 -
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全三巻を通して、作りこまれた世界観や設定と、その中での人々の行動に考えさせられ、そして熱くなる作品でした!
舞台となるのははるか未来、人類が宇宙間の国家で暮らす星間国家の時代。未曽有の震災に襲われた惑星レンカを描きます。
読んでいて、相当な作りこみが感じられます。大震災により混乱する民衆や行政の姿が、個人それぞれの視点、そしてよりマクロな視点からも詳細に描かれます。
人々それぞれの行動、起こる事件が一つ一つリアルで、SFという設定を忘れさせるほど。
震災直後の描写が落ち着いたと思ったら、そこから新たな内閣の誕生、軍部の暗躍、権力闘争やクーデターといった国内の争い、一方でレンカをめぐって -
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ネタバレ自分を自分たらしめるものは何か?十万年の戦争に耐え抜き、任務を達成させるような強いものとは何か?オーヴィルにとっては愛であるーーサヤカとの儚い夢のような。あらゆるものが時の風に吹かれ、時の砂に埋もれ、遥か遠くの時間枝に別れてしまっても、胸に残る愛の残像。これらが本作の根底に流れており、知性体としてのオーヴィルをぶれることなく描いている。
叙情的な描写の繊細さもさながら、時間遡行と歴史改変をテーマにしたSFとしても秀逸である。未来からの援軍が来ないので、この時間枝が滅びることが分かってしまう辛さ。カッティ・サークの冷徹なまでの理屈は分かるのだが、どうしても情緒の部分で受け容れることのできないもど -
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ネタバレこれは面白い。極限状況におかれた孤独な者が、他者とのつながりを見いだして懸命に生きようとする、そんなシチュエーションの短編集4編。
「ギャルナフカの迷宮」:政治犯として捕まった主人公が地下迷宮に放り込まれる。わずかな食糧と水、迷宮の地図の一部だけを頼りに脱出を試みるが、迷宮の中には「生肉喰い」がいて...
極限状況での孤独なサバイバルのはずが、少しずつ様相が変わっていくところにグイグイ引き込まれる。
「老ヴォールの惑星」:超臨海水の海面が支配する世界のお話。天変地異をきっかけに惑星外交信を夢見るが...
感動的な展開が待っている。
「漂った男」:8億平方キロの海原しかない惑星パラーザに遭