小川一水のレビュー一覧

  • 天冥の標 II 救世群

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    ネタバレ

    舞台を800年前の現代に移し、致死率最強のウイルスが蔓延し、人間社会の混乱を描いた話である。

    また、このウイルスがやっかいなのは、感染者が奇跡的に回復してもウイルスは体内にとどまりつづけるため、感染者は被害者であると同時に他者に感染をもたらす加害者となる。

    このような極限状態の中、感染者への差別、暴力が容赦なく剥き出しに描かれる。

    読んでいてつらい気持ちになるが、かすかな希望の光もかいまみえる。

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    2020年09月01日
  • 天冥の標 II 救世群

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    2803年の植民星から舞台は一気に現代の地球まで遡る。文章のタッチも変わり、第1巻とはまるで別の作品のよう。前巻の謎を解くカギが幾つか登場してくるが、冥王斑の発端が描かれているので、この巻だけ独立した話としても成立。パンデミックものの傑作として、まさにコロナ禍の今を知るのにもちょうど良い。

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    2020年12月14日
  • 復活の地1

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    物語の初っ端から目を覆いたくなるような悲劇が続く。これは小説で良かった。映像だと刺激が強すぎるから。
    災害が続く昨今、大地震がいつ起きてもおかしくないし、この話の中のような状況もあり得るかもしれない。人はこんなふうに行動するのかもしれない。
    でも何より主人公が格好いいなぁと惚れ惚れしながら読みました。
    自分を使い潰すように働くのに報われず、思うように動いてくれない人々に苛立って、理不尽な不平不満や恨み言をぶつけられて、邪魔されて、利用されて。
    なんでこんな人間達を自分が救わないといけないんだなんて怒りながら、結局は汚れ役、憎まれ役を果たして献身する姿がもう本当に格好いい。
    願わくば、さらっと流

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    2020年08月20日
  • 天冥の標 III アウレーリア一統

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    アイザワの名前や、ソネ号、フェオドール、ダダー、ミスチフなど、1・2巻で描かれたものが少しずつ解かれてきた感じ。相変わらずアンチョークスの人達は血気盛んというか。セアキの先祖も出てきてここから付き合いが始まったのか…!という感動もあり。
    そもそもがダダーとミスチフの争い?に巻き込まれた太陽系ってのがまたw
    続き気になる。

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    2020年07月08日
  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

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    宇宙漁船百合。SFとしての設定とかは正直わからないけど、主人公2人の掛け合いの面白さで読ませる。「天冥」はもちろんすごいけど、こういう小品も面白い。とかいってたら続編があったりして。

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    2020年07月07日
  • 天冥の標 II 救世群

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    丁度コロナ禍の現在、感染症・パンデミックの話。タイムリー過ぎて、感染者への差別だとか政治・権力争いとか、そういうのがものすごく近く感じた。
    冥王斑の始まり・地球の話で「なるほど、メニーメニーシープのあの病気がコレか」となったけど、あれは水が感染経路だったような?後々何かしら明かされるのかな。
    まだまだ続く天命の標、楽しみ。

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    2020年07月04日
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART3

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    PART3ではカン類のアカネカ女王らカンム周辺に集結していた銀河団諸族らと、オンネキッツの進める超新星爆発を阻止しようと協力してゆくあたりから物語が再加速する。ノルとミスチフの最後。そしてダダーと化したアクリラの力もあり人類や諸族は爆発を生き延びた。…最後は地球に還り着いたMMS人類(カルミアンらも)と、地球で冷凍睡眠していた人々、そしてカン類らカンムから地球への帰還に同行した諸種族たちが、ともに助け合いながら緑豊かな惑星を再び築いたであろうことが想像できる。「青葉よ、豊かなれ」このサブタイが心に響く。
    ついに読み終えた。遅読の上いろいろと他の本にも寄り道して、1年4ヶ月。いつも心のなかにメニ

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    2020年06月23日
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART2

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    いよいよセレス中心部のドロテアへ北極と南極からMMS・救世群・2PAが総攻撃をかける。また別働隊のアクリラ・カドム・イサリたちがドロテアに潜むミヒルに迫る。次々に倒れていく仲間たち。自らの手によって妹ミヒルを討ち果たすイサリ。ミスチフにアポトーシス(プログラムされた細胞死)を命じられ意識を失ったアクリラも気になる。また超銀河団諸族とのコンタクトに臨んだラゴスらから、カドム・イサリに伝えられた知らせを聞いて「ここに来てそういう話に戻るの!?」と感じた読者も多いはず。いずれにせよ、ついに最後の一冊を残すのみ。

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    2020年06月23日
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART1

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    ついに最終巻へ。ここに来てチカヤと初期救世群のその後(アオバ!…)、ブレイド・ヴァンディの生き様と2PA艦隊の成り立ちなど。イサリやカドム、アクリラほか主要人物と、MMS人だと自覚したリリーたちカルミアンや、イサリとの会話でミスチフへの自分の気持ちに気付いたノルルスカイン…。ようやく全員が一つのテーブルに座った。過去の様々なヒトビトの想いへと立ち返りながらも「今」は容赦なく進む。いよいよブリッジレスとの戦いへと話が進むかと思いきや、カルミアンの「魅力的な種を生むこと」とは?

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    2020年06月23日
  • 天冥の標 IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと

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    カドム&アクリラやイサリの働きにより、完全にとはいかないまでも、人類(MMS人類と太陽系人類)と救世群そしてカルミアンが手を結んだ。大きな、とてつもなく大きな敵に立ち向かうために。二惑星天体連合艦隊の助けがあったとは言え、割とあっさり救世群の本拠地が落とされてしまう。ミヒルやアシュムは一体何処へ行ったのか。それにしてもエフェーミアは300年の時を超えて、あの時助けられたヴァンディ家の想いを果たし、また自らが助けたメララの子孫と相まみえ、どんな気持ちを抱いているのだろうか。

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    2020年06月23日
  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

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    お気に入りは「〜ライク」。笑

    女の子っていいよね……私はきっとデコンパかな。
    ロックさんのお話も読んでみたいところ。


    ランナウェイしたーい!

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    2020年06月23日
  • 天冥の標 IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと

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    恋愛方面、そっちに行くんかい!
    イサリちゃんと、本人のいない間に共有する相談していたからそうなるんだろうとは思ったけど、イサリちゃんがいなくなった隙にはどうなんだろう。そして、BLはさすがに描写してくれなかった。異種間はあったのに。せっかくだから書いてくださっていいのよ。(台無し)

    あと1巻3冊で完結……。リアルタイムで追わなかったことは逆によかったかも。毎回読み返してからじゃないとわからん。

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    2020年05月28日
  • 天冥の標 VII 新世界ハーブC

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    1巻に完全に繋がった……。そもそも、そこで語られていたことがミスリードでもあったわけね。議会が「スカウト」である意味も。
    でも、まだ話は続く。

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    2020年05月24日
  • 天冥の標 II 救世群

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    たまたまコロナ禍の今、読んだ。パンデミックがリアルに感じられる。マスクの有効性についても触れられていた。1巻とはうってかわって現代。冥王斑という厄介な疫病が蔓延し、医師らが戦い、謎をさぐる。命が助かってもウイルスを持ち続けることがどういうことをもたらすのかが説得力があった。1巻とのストーリーのつながりも興味深いが、謎は謎のまま。次巻はどうなるのか。

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    2020年05月23日
  • 天冥の標 I メニー・メニー・シープ (上)

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    銀河英雄伝説を読んでSFの面白さを知り、銀英伝のような面白い作品を探して行き当たったのが本作品。ちょうど完結して話題になっていた。銀英伝とは全く違う作風で、登場するのは人間のような生物やアンドロイド、怪物といったものたち。こういう作品は敬遠していた。しかし評価が高いので読んでみたら、ページターナだった。先が気になる。何で面白いのか。分からないが、この混沌とした世界の原因は何なのか。どこへ行き着こうとしているのか。それを知りたくなる物語の展開なのだろう。キャラクターも魅力的だ。

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    2020年05月09日
  • 天冥の標 X 青葉よ、豊かなれ PART2

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    いよいよ決戦も本番を迎えてきたという感じ。
    七章は、Part1からの続きの部分なので、この作品ではここだけが異質の話という感じになっている。メニー・メニー・シープでの住民と救世群との戦いもなかなかこみ上げるものがあったのだが、今後の戦闘はスケールがかなり違うことが見て取れるので、犠牲も多く出るのではないかと感傷的になった。Part2で一旦落ち着くのかと思ったが、「Part3に続く」となっていたので「おお、まだ続くのか」とちょっと意表をつかれてしまった。
    この先、どんどんスケールの大きな話になって行きそうだが、それだけに目が離せない展開となるだろう。Part3はどうなるのか。

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    2020年05月03日
  • 老ヴォールの惑星

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    漂流する人は名作
    これほど応援したくなる主人公は滅多にいないと思います
    最後のカタルシスがすごかった

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    2020年05月01日
  • 天冥の標 II 救世群

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    〉これほどまでに異常な状況下では、自分たち個々の思考やモチベーションなど維持したいとも思わなかった。患者は何千人という数なのだ。その生死は疫学的推計によりすでに決まっているようなものだ。必要以上に努力したところで、回復率を1パーセントでも押し上げることはできはしない。──医師が1個の部品になることが必要なレベルの、これは途方もない事態であり、圭伍もそれを受け入れていた。


    謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子はミクロネシアのリゾートアイランドへ向かう。
    そこで目にしたのは、肌が赤くただれ目の周りに黒斑をもつリゾート客たちが、そこかしこに倒れ伏す惨状。
    冥王斑と名付けら

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    2020年04月18日
  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

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    >──303年前に、汎銀河往来圏から惑星ファット・ビーチ・ボールへと移住した人々は、まだ生きていた。
    >残存総人口は30万4900名である。


    今からだいたい6500年後くらいの、銀河辺境のガスジャイアント(木星型惑星)軌道上で、漁をして暮らす社会が舞台のバディ物百合ハードSF。

    生活するための資源を惑星大気を泳ぐ魚(のようなもの)を捕ることで補わなければいけないという社会設定で人がどのように暮らしているかという考察は、SF読んでる〜って感じでもう、楽しくて仕方ないです。

    「礎柱船の燃料でありエンジンであり、電池であり電線であるほかに、翼と耐圧装甲になるという素敵な材料」全質量可換粘土で

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    2020年03月29日
  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

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    ガス惑星ファット・ビーチ・ボールで、「昏魚」を獲る漁師SF。可塑性漁船「礎柱船」、氏族の因習、FBBの謎。ハイテンションパワープレイでぐいぐい読ませるし、アイデアやギミックが面白く、爽快なお話なんですが、その裏には生存のための模索と試行が積み重なっていて、それを思うとちょっとしんみり。百合SFアンソロでいちばん好みだったので、長編化は嬉しい。
    「百合SF」と銘打つことで広く売れたら商業的にはOKなのかもしれないけど、そうやってラベリングする……というか、枠組みをデコンプしてゆく力と勢いを感じたりもしました。(※デコンプ言いたかっただけ)

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    2020年03月29日