あらすじ
ルドガーが拓いたレーズスフェントは、開市特権状を得たことで躍進へ大きな一歩を進める。しかし英仏の戦争勃発を契機に、ハンザ同盟との対立が激化。加えて「泉の精霊」レーズの存在が、《北海の梟雄》デンマーク王ヴァルデマール四世の興味を引いてしまう。迫り来るデンマーク軍とレーズスフェントとの全面戦争。果たしてルドガーたちの未来は何処にあるのか? 俊英・小川一水が、十四世紀の神聖ローマ帝国辺境で、人知れず果たされたファーストコンタクトから始まった運命の変遷を描く長篇歴史SF。ついに完結!(解説・日下三蔵)
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Posted by ブクログ
中世+エイリアンと言えば、やはり思いつくのは「異星人の郷」だろう。
あちらは神父さん無双で、最終的にはエイリアンにもキリスト教を布教してしまうというキリストバンザイ的な作品だったが(少し嘘)、本作は比較的信心薄めの庄司さんが主役。
SF要素薄めなこともあって、「ドゥームズデイ」や言ってしまえば「大聖堂」のほうが近い気がする。
いろいろ困難ありながらも街の発展を見届ける年代記。
SFを期待して読むと肩透かしをくらうかもしれないけど、面白い小説であるのは間違いない。
正月から良い小説が読めた。
Posted by ブクログ
14世紀のドイツを舞台にした歴史小説だけど、そこは小川一水、しっかりとSFです。
中世ヨーロッパにおける理不尽な成り行きや閉塞感。そんな中で逆境をはねのけつつ町を作っていく人々を描いた作品。物語の土台となっている星間生物であるレーズの存在が、ともすればご都合主義的に見えてしまうところあるけれど、それも含めてSFとして成り立ってると思う。この町の未来をもっと見てみたい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
一気に読みました。満足。レーズもルドカーもいいけど、エルメントルーデとリュシアンの愛されっぷりはただ事じゃないです。しかし黒死病というのはヨーロッパにおける悲劇を代表するのか、作品に取り上げられることが多いですね。
あと、巻末の解説でマイケル・フリン「異星人の郷」を取り上げられててちょっと笑。作者も以前Twitterで言及してましたね。時代と場所が近いのだけれど、どっちも面白いのでぜひどっちも読んで欲しいところ。
Posted by ブクログ
当たり前かもしれないけれど、街づくりには多くの人の願いが込められているんだなと改めて感じた。
物語としては、色々と困難はあるのだけれど、意外とあっさりしていて、盛り上がりに少し欠けたかなと思う。
Posted by ブクログ
著者自身の解説にある「外へ出かける」から「故郷へ帰る」物語を志向したということは良く判った。良く判ったのだけれど、あえて反論すれば「外へ出かける」物語になるのは、SFだからしょうがないのでは?というのが私の意見。その意味で、この物語をSFにする意義が見いだせない。
そうはいえ、引っかかったのはそれくらい。お話は面白いし、読みやすいし、キャラはステキ。あと、政治や軍事ではなく経済を中心に据えたSFは、ワン&オンリーにしてトップ。