アーサー・コナン・ドイルのレビュー一覧
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「見たまえ、ワトスン、カンバーバッチ氏が結婚すると新聞の私事広告欄に出ているよ」
「ああ、君の役をやった俳優さんだね」
「僕は新聞広告欄はすべて見ているからね。しかしこの『事件簿』には電話が登場するんだよ。日ごろ役に立たないと言っているホームズ全集の注釈だがね、今回はなかなか役に立ったね。ロンドンに最初に電話が敷かれたのは1876年のことだそうだ」
「すると君と出会う前からロンドンにはもう電話はあったわけだ」
「ドイル氏が自分の便箋に電話番号を入れたのが1908年のことだそうだから、電話が一般にどれだけ普及したかということとはギャップがあるのだろうがね」
「僕らの場合、遠距離の連絡はもっぱら電 -
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人気ドラマだったら、映画版が3本作られ、テレビ・シリーズが3シーズン。それでいったん途切れて、ときどきスペシャル番組が単発で放映されたのをまとめたのが本書というところ。その間に4つめの映画版、すなわち『恐怖の谷』が製作されているわけだが。
ほぼ毎月連載された『冒険』『回想』『帰還』所収の短編と違って、本書の短編は趣向が凝らされているといっていいだろう。「ウィステリア荘」「ブルース−パティントン設計図」はもっとも長い短編に属する。
これまでホームズはワトスンを置いて捜査に行ってしまい、夜遅くに帰ってきても何も言わず、推理が組み立てられてから披露するといった展開が多かったが、ここでは捜査の過 -
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英語は「リターン」だから『シャーロック・ホームズの帰還』でいいのだが、死にかかったんじゃないかというと『生還』と言って喜びたいし、いやいったんは完全に殺されてしまったんだから『復活』というのもむべなるかな。ウルトラマン派なら『帰ってきたシャーロック・ホームズ』、ゴジラ派なら『シャーロック・ホームズの逆襲』、なんとでも訳すべし。
たといホームズがモリアーティ教授とともにライヘンバッハの滝に落ちようとも、その場を目撃する者とてなく、死体も確認されていないとあっては「復活」、いやさ「帰還」させるのは簡単と「空き家の冒険」。かくて、ドイルのシャーロック・ホームズ謀殺の嫌疑は晴れたが、そのかわりに彼 -
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「ねえ、ワトスン、ここがどこかわかるかい」
「いや、どこなんだ」
「極東の一小国のようだよ」
「極東といったら、支那かね」
「支那を小国とは言わないだろう。大国としてのふるまいをいまだ知らないようではあるがね。ほら、ぼくらの喋っているのは日本語だろう。日本語が公用語なのは、日本国しかないよ。しかもぼくらの時代から100年以上も先だ」
「100年だって。それはどういうことなんだ」
「ここはネットのサイトだからね。ネットというものができるのは100年もあとなんだ」
「何のことかよくわからないが」
「君は常々、ぼくの捜査記録を発表してくれているじゃないか。そのおかげで、たくさんのパスティッシュが生ま -
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コナン・ドイルは自身の本領を歴史小説とみて、ホームズ譚が受けるのを嫌がったというのは有名な話だ。『緋色の習作』も『四つのサイン』も犯人が復讐を誓う動機となった昔話が長々と語られるが、それが歴史小説家の矜恃なのであろう。しかしシャーロック・ホームズというキャラクターが生きるのはもっと直截なストーリーテリングなのであって、2つの長編のあと、ドイルがホームズもの短編を連載したのが、ホームズ人気に火をつけたのは当然のことと言える。
そうしてまとめられたのが『シャーロック・ホームズの冒険』である。「ボヘミアの醜聞」「赤毛連盟」「まだらの紐」「ぶな屋敷」など名高い作品が並ぶ1ダース。日本語の「冒険」は -
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『四つのサイン』? 『四つの署名』でしょうといいたくなるが、これも字の書けない3人が署名代わりに×印という記号を書いているという両義性をとって、サインとカタカナにしたという。
無聊をかこち、コカインを注射して過ごす探偵(当時は合法麻薬だった)。そこに現れる美しい依頼者。依頼者の開陳する謎めいた話。そして殺人事件が起こる。現場を検分して早々にほぼ全貌がわかったと述べる探偵。
名探偵の情景がもうこの第2作目で広がっている。
他方、ワトスンがホームズの緻密な捜査を見て、この才能を法律を守るためでなく、破るために使ったらと考えるという場面がもうすでに出てくるが、この時点でモリアーティ教授の登 -
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読み終わりました。実はホームズの長編は初めてでした。
言わずとしれたホームズ初登場の作品です。
21年に及ぶ復讐劇。そしてその背景は成立してまだ60年ほどのモルモン教。
前半で事件解決までを描き。後半で事件の背景となるモルモン教の一夫多妻制にまつわる悲劇が語られます。そして、最後にホームズによる種明かしという章だて。事件の背景の長い物語が後半に語られるという構成は『砂の器』なんかに影響を与えているかも知れません。
21年も恨みを晴らすためだけに生きてきた男って凄まじいですね。
それにしても、ホームズもワトソンも悪く言えばフリーター。当時のイギリスにはそんな人が一杯いたんかね?暇でしょうがなかっ -
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「白銀号事件」
キングス・パイランドの名馬がいなくなり、その調教師が荒地で死んでいた。事件の解決に向かったホームズが見破った事件の真相はーー?
足を引きずる羊、死んだ調教師が持っていた華奢なナイフ、事件前夜に訪れた怪しい男。
「ボール箱」
クロインドンのクロス街に住むミス・スーザン・クッシングの元に、粗塩と二つの耳が入った小包が届いた。スーザンは全く心当たりがないという。ホームズは小包の結び目が特殊なことに気づき、また、スーザンには二人の妹がいることを知ったーー。
「黄色い顔」
ホームズの元に、とある男が妻が怪しいと依頼を持ってきた。どうやら引っ越してきたばかりの隣人と妻が関係があるらしい -
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「空家の冒険」
「ノーウッドの建築士」
ワトソンがベイカー街に戻ってきた。小さな医院を高値で買い取ってくれた若い医師ーー実は金を払ったのはホームズだったらしい。ホームズ……orz
「孤独な自転車乗り」
ヴァイオレット・スミス嬢がピアノの家庭教師をしている家から最寄駅まで自転車で走っていると、後から一定区間を自転車でついてくる男がいる。その正体を突き止めてくれという依頼。
「踊る人形」
「プライオリ学校」
閣僚の息子が寄宿学校から姿を消した。同時にドイツ人教師も自転車ごと姿を消した。寄宿学校の校長に依頼され、ホームズは調査を始める。
だが、閣僚とその秘書はあまり乗り気ではなかった。
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映画「ダークナイト」。その面白さがココにはあります。
1917年にイギリスで書かれた小説に、これだけ面白いと思えるのは、読書の快楽そのものですね。
シャーロック・ホームズ・シリーズは、僕が読んでいる光文社の新訳シリーズに則って言いますと。
①緋色の研究(長編)-1887
②四つの署名(長編)-1890
③シャーロック・ホームズの冒険(短編集)-1892
④シャーロック・ホームズの回想(短編集)-1894
⑤パスカヴィル家の犬(長編)-1902
⑥シャーロック・ホームズの生還(短編集)-1905
⑦恐怖の谷(長編)-1915
⑧シャーロック・ホームズ最後の挨拶(短編集)-1917
⑨シャーロ -
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