町田そのこのレビュー一覧
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私はこの本を読むまで、葬式というものが何のためにあるのか、なぜ行うのかわかっていなかったし、わかろうともしていなかった。
形式的に伝統だからで続いているもののような気がしていたし、必要性を全く感じていなかったから、どんな人がどんな事情でそこで働いているのか考えたこともなかった。
それは私や私の周りの人が運良く生きていたからであるということをこの本を読んで知った。
もし親や友だちが亡くなったら?
私はちゃんとお別れを言えるだろうか。
そこで蓋をせずに、相手が座るイスを残して、先へ繋げていけるだろうか。
なかったことにしないだろうか。
そのための大切な時間がお葬式なのかもしれない。
もちろん死ぬことより前に人は頑張って日々を生きていて、相手のことを全部わかって生きている人はいないし、自分のことを全部受け入れてもらえることもない。
でも
できれば私は死んでから相手のことを知るのではなくて、生きているうちに、お互いのことを知れる関係を作っていきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ息苦しさを感じる田舎町の人間関係。
母親たちが語る短編連作。
誰かにとって、それしか生きる術がなかったという選択は、他の誰かの人生にどんな形で影響が出ていくのか。考えさせられた。
以下ネタバレ
・最初から先生と画家のシーンに衝撃を受けて面食らってしまう人も多いかと思う。
読んでいるうちにその行為が、懐かしくて美しい、なんだったらちょっと神秘的な情景という印象になってしまうんだけど、夏海がいった一言にハッとする。そう、子どもに見られたらそれはもう「虐待」なんだよ。
・個人的に好きな章は、「クロコンドルの集落で」
希望とはまた違うんだけど、、、人生のどのタイミングでだってターニングポイントって、自分が拾いに行こうとすれば隠れているのかもしれないと思わされた。この連作に共通するイメージである「夕焼け」が、クロコンドルの集落を燃しているように見える描写が印象的
・夏海のセリフに胸が熱くなった。夏海ちゃん、めちゃくちゃ気になる登場人物。ちょっとしか出てこなかったけど、別の作品で出てきてくれないかなあ??
「長い暗黒期があるし、黒歴史はめっちゃある。でも、なかったことにしたくはないよ。最悪なことといいことって繋がってたり、重なってたりするもん。たくさんの黒歴史が、いまあたしをまともな道に戻してくれてもいるわけで、簡単に切り離すことはできない」
「それに、年取って振り返ったときに、自分の人生にアンタッチャブルのブラックホールがあるのは嫌じゃない?あたしだけの人生なんだから、全部大事に残したいし、振り返りたい。」 -
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葬儀社で働き様々な死に関わりながら、自分の芯を見つめて進んでいく話。
死が訪れるのは皆平等でも、どう送られるかは格差あるし、生き様が映し出される。平等なのは、残された人が死を受け入れざるを得ないこと。
無理に受け入れたりすぐに昇華させる必要はなくて、亡くなった人と対話しながら…というのは共感できる。
『芥子の実』の話が1番グッときた。人生詰んだと諦めしかない、ここより底辺を見て嘲笑することでしか心が動かないと思ってた彼が、母との対話ができるようになるといいな。
生きてる相手に合わせて自分を押し殺しちゃうこと、よくあるけど、亡き人との対話では、自分がどう思って何をしたいのか、結局自分と向かい合うことにほかならない。
それぞれの死に向かいあって、残された人はどう生きる?と問われているような作品だった。
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「新潮文庫の100冊」は今年で50周年。
キャラクターはYonda?パンダ、キュンタを経て、
今年は「ヨムム」になった。
当時、パンダグッズをもらうために
裏表紙の応募マークを必死に集めまくっていた私としては、
なんだか感慨深い気持ちです。笑
(同じって人いる~??)
そして、そんな50周年という節目の年にぴったりの一冊が、
豪華すぎる作家さんたちが並ぶアンソロジー『プレゼント』。
50年前の小冊子デザインをモチーフにした
初回限定カバーは、
タイトルの箔押しが本当に美しすぎる……!!
『プレゼント』アンソロジー
結論だけ言います。
もう、とんでもなくレベルが高いのだ。
本当に、すべての作品が。
それもそのはず。
こんなそうそうたるメンバーが揃うことなんて、
最初で最後なのでは?!と思うくらい豪華な執筆陣。
✧
◆伊坂幸太郎「ウッドペッカー荘事件」
正直、伊坂さんはいつもはそれほど得意な作家さんではない。
なのに、このラストの衝撃と、それと同時に訪れる切なさ。
このアンソロジーの中で、
いちばん度肝を抜かれた作品だった。
◆江國香織「二つの宇宙」
江國さんの紡ぐ文章は、本当に美しいと感じる。
大学一年生の夏の夕方。
甘酸っぱさと、戻ることのできない喪失感。
どこかノスタルジックな気持ちになる物語。
◆宮部みゆき「真実のトランク」
やはり宮部さんの筆力は圧倒的だった……
冒頭から没入感がすごい。
バーで働いていた20代の頃の記憶と現代が交錯する。
ほんのりSFチックな展開が、とてもとても好きだった。
◆町田そのこ「きっとあの日の光と同じ」
短編にもかかわらず、最初の数ページで心が引き込まれる。
親友にできた彼女と、あの頃のひと夏の思い出。
あぁ、いい話だ。
後半は思わず涙腺が緩んでしまった。
◆米澤穂信「無明」
このブラックさは、さすが米澤さん。すごく好きだ。
うだるような暑さの8月。
ある女性が突然、新宿駅で泣き続ける赤ん坊の首を絞めた。
あまりにも切ないミステリ。
◆梨木香歩「見越しのマツ」
松を中心に据えるところが、自然を大切にする梨木さんらしい。
松の木が生えた屋敷が取り壊されたところから始まる、
やさしく不思議な物語だった。
◆恩田陸「伝説の季節」
やはり恩田さん、好きだ……!
『六番目の小夜子』の前日譚。
都市伝説とノスタルジーがミックスされたような作風。
未読の方はぜひ『象と耳鳴り』も読んでほしい。
関根ファミリーがめちゃくちゃ魅力的に描かれているので。
「夏」をテーマにしたアンソロジー。
「新潮文庫の100冊」50周年にふさわしい一冊でした。 -
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同著者のサスペンス系「月とアマリリス」も気になってましたが、この可愛らしい装丁もいいなと思って、今回こちらを手に取りました。
章ごとに語り手が変わり、「また知らない人が出てきて覚えられないかも…( TДT)」と若干戸惑ってしまいましたが、最後で一章目の安珠に戻り、成長も垣間見れて、周囲の噂に流されずに人や物事に真っ直ぐ向き合う彼女の姿がとても温かく胸に残った。
『「…いいも悪いも、誰かが決めることじゃないんだ。仮に、いいと言わない奴らがいたとしても、気にしなくていい。そもそも他人が誰かの生き方を否定する方がおかしいんだ。否定した奴らは否定するだけで、お前の人生を保証してくれるわけじゃない。お前が、お前に素直に生きることだけが、正解だよ。」不思議な気持ちだった。自分の中にこんな考えがあるなんて知らなかった。ただ、頭のなかに平がいて、平を通して眺めようとしたら、ほろほろと、言葉が溢れたのだ。ああ、俺はあいつ越しだったら、世界をまっすぐに見られるのかもしれない。-三章 不器用なクレマチス-』
平さんとは別のおじいちゃんの場面だけど、世の中のみんながこれくらい俯瞰で物事を見られたら、もっと生きやすくなりそう。自分の人生に他人は責任を持ってくれないからこそ、自分の選択を信じることが大切なのだと教えられた。もともと気になっていた「月とアマリリス」をはじめ、町田そのこさんの他の物語にも触れてみたいと思いました!
2026.10 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大前提として私は「泣ける」と紹介された本で泣けた例がない。なんなら白けている。
その私が本読んで泣くなんて何年ぶりだ?
しかも大学辞めて彼氏を支えるなんて言い出したバカ娘の台詞で。娘、バカ親父過ぎて立ち止まったのは偉い。
いい娘で良かった。
そしてパートナー選びの難しさよ。
擦り合わせできる不一致と擦り合わせ出来ない違和感。それから譲ってはならないもの。
仕事を変えて欲しいという彼と結婚する前に断ち切れた強さに惚れ惚れする。
彼も彼女も無理しなくていい別のパートナーがきっと現れる。
ところで独身だからという理由で病気の事を伏せられていたが、そうか、そんな理由もあるかと思うが納得していない。
お金を工面してもらうならそこは家族の内側に入れるべきでは?
ウチは結婚して家を出た私の方が蚊帳の外で、独身で一人暮らしの妹の方が何かと頼りにされているが。
それにしても腹の立つ男性陣が何人も登場して、それがまたいちいち重なる誰かが居るもんだから嫌になる。でもお陰で楽しかった。
楓子の嫁ぎ先のヤバさは妙にリアルで実際にモデルがいるのでは?と思った。となるとかなりヤバい家族だが。見切りを付けていただけたようで何よりでした。
胸糞共はそれなりに制裁やら説教やらくらっていてすっとしました。
元いじめ加害者達は絶対に許さないけどな!