町田そのこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
そのこちゃん10周年記念作品とのことです!!
10年!!めでたい!!早い!!(うるさい
初恋と名のつく物語を読むとき、たいていはその終わりや、再熱や、あるいはそのはじまりにピントを合わせることが多いようにおもう(あくまでしおん統計による)
しかし、これは。
終わりではなく、初恋をしまう物語。
初恋をしまうんですよ(二回目
その辺に出しっぱなしにしていた納まりのきかなかった初恋を試行錯誤しながらしまうんですよ。
初恋をしまったことあります??
わたしは仕舞う前にたぶん紛失したので正しい住所に納めることなく大人になってしまったのですが、読後、恋をしまうのは恋を失うよりカロリーを消費するんだなとしみじみ。
失って、その辺に捨てて、気がつけばなくなっているほうがきっと楽で。
でも散らかった部屋になぜかいつまでたっても残っている役目を終えたカレンダーみたいに、そこにずっとあったら?
ゴミ箱に捨てられるものならいいけども、分別方法もわからないものならどうしたらいいんだろう。
その答えのひとつがここに詰まっていました。
碧生の愛の大きなことと言ったら、ラスト数ページでおまえの初恋の質量どんだけだよと天を仰ぎました。
こんな風に恋をしまえたら、その恋はたぶん腐ることはないんだろうなぁ。
茜も茜の形で恋をしまい、そして抱える方法を見つけられて、なんだか久しぶりにハートが震えました。
なくしたわけじゃなくて、しまっただけだから、またいつかそれぞれのタイミングで手にとってはあぁコレコレと思ったりして、ふたりは別の場所で生きて行くのでしょう。
ふたりの人生に、幸多からんことを。
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Posted by ブクログ
家族葬専門の葬儀社を舞台に、死と向き合う人々の葛藤や後悔、そして再生を描いた連作短編集。
「ぼくたちはあまりにも、明日に任せすぎている」
この言葉が強く心に残った。
人はいつか必ず別れを迎えると知りながら、明日も変わらず大切な人がそばにいると思ってしまう。
伝えたい言葉も、向き合うべきことも、つい先延ばしにする。
けれど、死はその当たり前を容赦なく断ち切る。
伝えられなかった言葉も、果たせなかった約束も、もう取り戻すことはできない。
だからこそ、この言葉には重みがあった。
もう一つ、心に残った言葉がある。
「その人が正しいと思ってやっていることを、私は私の感覚だけで否定したくない。」
人はそれぞれの価値観や正しさを持って生きている。
自分の常識だけで相手を判断するのではなく、その人と向き合い、話を聞き、理解しようとすること。
簡単なようで、決して容易ではない。
だからこそ、悩み抜いた末にその結論にたどり着いた主人公を、私は応援したいと思った。
死を描きながら、生きることを問いかける物語。
大切な人に伝えるべき言葉を、明日に任せすぎないこと。
そして、自分の正しさだけで他者を判断せず、目の前の人と誠実に向き合うこと。
限りある人生の中で、人とどう関わり、どう生きていくのか。
そんなことを改めて考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
出てくる年配の方、男性の描き方が生々しすぎて、頁をめくるのが億劫になってしまった。
それでも読後感は良い。町田先生のこの作品は出会えて良かった一冊。
何かの役割を他者が規定して、そのお眼鏡に敵わない者に対して、勝手に失望する。
私はこの過程が心底嫌いだ。
この言語化が出来たのはここ1年ほどで、子供ながらに、母親の勝手な決めつけによる"みんな"、"常識でしょ?"と言った口癖にやけに腹が立った理由が分かる。
地方都市を離れ、東京に行きたかったのもこの理由が大きい気がする。誰も勝手に流れている規範から外れることを望んでいなかった。そこから少し外れた方が楽だと思った自分に居場所はなかったように当時は感じた。
今となっては視野が狭かったかもしれないと思う。かつての知り合いは、久々に会うと自分の知らない表情を見せてくれる。
佐久間が姉、母に対してそうであったように、自分に都合の良い解釈で自分の中で勝手に物語化していただけなのかもしれないとも思う。
須賀と伊藤の締め方が好き。
伊藤の振る舞いには反吐が出るほど嫌悪感を抱いたし、実際あんなことを言われる須賀の立場だったら僕はあの程度の反応では無く明確な殺意を覚えたかもしれない。
でも彼の過去に囚われるなは、その後の大判焼きのシーンで別の視点を与える。
人間には多面的な一面があり、一つの発言にも複雑な背景があることを思い出させてくる。
芥子の実の話が好きだな。
仏教は諦観が根底に流れていて、僕の奥底に、ある悩みを掬ってくれる時がある。 -
Posted by ブクログ
恋って本当に難しくてどこまでも綺麗で
時には傷を癒す薬になって、時には心を引き裂く刃になって
大きく人生を振り回す
恋愛に興味のない人もいるだろうけど、
自分にとっては恋ってそういうものだと思う。
物語では
鮮やかで美しい、けどどうしようもない力と悲劇の前に引き裂かれる”初恋”が登場するけど
それを主人公の2人ともが心の拠り所としていて、
辛い過去を背負いながら、抱えて隠しながら、
なんとか生きていく。
その姿にとても苦しくなるのだけど、新たな出会いやたくさんの優しさを感じて、読んでると大丈夫な気がしてくる。
けど本人たちは消えることない痛みと、1番近い家族(初恋を引き裂いた張本人でもあるが、、)と向き合わず逃げていることに罪悪感をいつも感じている。
優しすぎる2人だからこそ自分の「逃げている」行いを許せない。
家族と向き合うには、そして大切に閉じ込めていた初恋と向き合うには
13年という月日を経て再会した2人がもがきながら必死に向き合う方法を探す。
2人がたどり着いた答えには思わず泣いてしまった。
どんな関係であれ自分の気持ちを大切に一歩を踏み出すことってすごく勇気のいることだと思う。
その勇気は相手を大切に思う気持ちに比例していて、家族や恋人だからこそ勇気を持てずにたくさん悩む。
その悩む時間もすごく尊くて美しいけど、人生はとても短いものだと自分は思うから、普段から大切な人にはちゃんと伝えたいことを伝えたいなーと思った。
自分にも忘れられない恋があるけど、
その人と共に歩むことはなくても、
鮮やかに輝く記憶の中のその人との時間と、
その人への想いを大切に抱えながら
生きていくこともできるんだなぁと気づくことができた。
この本に出会えて本当に良かったと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2026/24
下巻は一気読みしました。
ビターエンド大好き人間なので、めちゃくちゃ良かったな〜という気持ち。
本当の本当に結ばれない愛、大好き。
数百年後に、レルファンとエスタの恋が手記(カルヴァの)から見つかる。その頃には、王国も滅亡。
町田さんらしい余韻溢れる終わり方も好みでした。
ただ、賛否あるのも分かる。
まず登場人物が多く、時系列も入り乱れ、丁寧に読まないと置いていかれそうになる。
最終的な犯人(キース)が、わずかな回想シーンの中で死んだはずの人物だったのが少し残念。
謎解きしようがなかった。
最後の戦闘シーンも分かりづらかった。レルファンここまで死に物狂いだったくせに、キースに隙なんて見せないでほしかった(?)
エスタは、ほぼ出番なく感情移入しにくい。一方リルは応援したくなるものの、セリフも挙動もラノベすぎて「うっ…」と胃もたれした。街に指輪買いに行くシーンとかちょっと読んでてキツかった。
ミステリパートは好きでした。リルの過去も胸糞悪いけど、よく練られてるなと思った。
あと、カルヴァとハインツはとても良かった。
レルファンが最後、たった一人の従者を連れて二度と戻らなかった。とあるけれど、二人は永遠に主従関係のままだったのか。それとも関係が変化したのか。
エスタを死ぬまで愛していてほしいけど、生き残ったのだから、レルファンには幸せでいてほしい。
知りたいような、知りたくない気持ちです。
〜追記〜
読み終わって2時間経過して、余韻から抜け出せない。理屈は抜きして、自分が思っているより、この作品が好きになっていたんだと実感しました。
ここからは妄想なんだけど
レルファンは、いつかリルと結ばれてもいいとは思っちゃう。生きている間は、リルの存在に癒されて、幸せに過ごしてほしい。
けれど、エスタを忘れてほしいわけではない。ふとした瞬間に心が帰っていく場所は、いつまでもエスタであってほしい。リルもそれを理解した上で、喜びと寂しさを抱えながら隣にいてくれると思う。
そして、いつかレルファンが人生を終えるとき、目を閉じるまでは隣にいるリルにたくさん感謝と愛情を伝えて、目を閉じたその先では、ただエスタだけを想っていてほしい。ようやく会える、みたいに。
結ばれなかったからこそ、最後には死によって完成する愛。
そんなこと妄想してたら2時間経ってました(?)