町田そのこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
町田そのこさんらしい、とても奥深い作品だった。
日々のニュースでは事件の概要と加害者、被害者くらいがざっと紹介されるだけでそれに何か思ったこともない。
ただ、今回読んでみてフィクションとはいえ一つの事件には様々な要素が関わってくる事を改めて思い知らされた。
加害者にも被害者にもそしてそれを取材する記者にもそれぞれの人生がある、心がある
テレビやSNSで事件が流れ、誰かを悪者にして批判しがちだけど、事件に関係ない者がそれをするのはどうなのだろう、と考えさせられる内容だった。
そして自分も気づかないところで人を傷つけていることがある、自分には何気ない一言がその人の人生を変えてしまう事もある事を肝に -
Posted by ブクログ
ファンタジー、恋愛、ミステリーといろんなジャンルてんこ盛りなのに、全然とっ散らかっていないどころかきれいにまとまってる!
面白くて続きが気になるうえに読みやすいので一気に読み終わりました。
私はファンタジーが好きなので読み始めたけれど、各ジャンル好きな人が楽しめる作品だと思う。
上巻は謎がいくつも残って少しずつ少しずつ真相に迫っていくところで終わったので、下巻で全部回収できるの?という若干の不安と大きな期待で読むのが楽しみです。
町田そのこさんといえば生きづらさ、孤独感、家族間の問題などをテーマにされている印象が強く、個人的にはあまり興味のあるジャンルではないため今作が初読みでしたが、大人気の -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく面白かったです。
どの章も、1文目からめちゃくちゃ引き込まれる…!
一気に読みました。泣きました。
章ごとに繋がりがあるのも「お、!」となるポイント。
登場人物にとって辛いことも、悲しいこともたくさん描写されていたけど、何より自分が辛い時に寄り添ってくれる人、同じ悩みを持つ同志としての、恋愛が入り交じりつつも若干違う異性間のやりとりがとても羨ましく感じました。こんな人間関係、形成してみたい。
【印象に残った台詞たち】
「そしておばあちゃんは、私は晴子のチョコレートグラミーになってあげるからねって言ったの」
「この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだよね。水槽どころか、池も川 -
Posted by ブクログ
人ならざる力はかつてハヤディール国を建国した神妃と同じ力であり、その力を持つ巫女も神の妃となることが決まった。しかし、巫女は騎士団長と恋に落ちていた。
そのような中事件が起こり巫女が攫われる。
物語は時系列では進行せず、事件前の甘い恋愛パートと事件後の巫女の捜索パートが交互に語られる。それは、必死に巫女を捜索する騎士団長が思い出をかみしめているようにも思える。
それらの合間に騎士団長を取り巻く人間模様が描かれる。
また、もう一人騎士団長に思いを寄せる女性が登場する。この女性もとても重要な役回りだと、物語を読み進めるとわかってくる。
そのような中、最後に新たな事件が発生し上巻が終わる。
事件の背 -
Posted by ブクログ
町田その子さんの初ミステリー。どんなミステリーなのか、とても楽しみに読んだ。
ある山で白骨死体が発見され、その事件に関わっているであろう「みちる」という同名の記者が主人公。
次から次へ新事実が出てきて、ページをめくる手が止まらなくなる。
事件の真相がわかってくるたび、主犯格は本当に人間のクズとして描きつつも、親子の「愛着」が原因の社会不適合者となってしまった背景があり、事実が明らかになるにつれて読むのが苦しくなってくる。
でも、その主犯格に利用されてしまった人たちの重すぎる描写は、物語ではなく、現実社会の片隅に存在していると思わせて、目に浮かぶようだった。
一言で言うと「濃い」と思いながら読 -
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ネタバレ薄っぺらい言葉かもしれないが、感じたことを書く。
『カメルーンの青い魚』
一緒には生きられない。離れた時間で変わってしまうものもある。ただ、お互いの一番深い部分は変わらない。
大切なものを胸の奥底に生きる。信じてる。お互いを思い合っている。
あまりにも残酷で優しい。
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
作中にもあるが、孵化という言葉でこの作品は表すのがぴったりだ。
自分の弱さ、逆境、を知り、苦しい思いをし、必死に生きる人は強い。強くならなければ生きていけない。
自分も強くなってしまった。自分にも孵化するタイミングがあったのだと思う。
『波間に浮かぶイエロー』
切なくも優しい話だ。それぞれ -
Posted by ブクログ
葬儀屋で働く主人公や周囲の人々にまつわる差別や価値観の押し付けに向き合っていく話。
いつもながらの町田そのこだなあと思いつつ読みましたが、各章ごとに話の区切りがあり、それぞれに理不尽なことへの憤りと、そこからの気づき、一つの解のようなものが提示されてゆく、それらがなんというかよい着地で、ざわざわしながらも少しホッとさせてくれるのでした(3章だけはちょっと違く感じたけど)。
この方のほかの作品もそうですが、差別や抑圧に不満や辛さを持ちながら、いつか自身も内面に差別を抱えていることを自覚させられてゆく、という合わせ鏡のような構造をわかりやすく見せるために、登場人物の内心の描写がとてもシンプルか