町田そのこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ町田その子の初サスペンスらしい。どこからどこまでがサスペンスなのかはさておき、殺人事件を追う雑誌記者、事件自体と記者自身の緊張感をしっかりと描きつつ、登場人物の内面や人間ドラマもしっかり含有させていて、きちんと「町田その子」小説だったのが良かった。
とんでもないクズ男が1名出てきて、そいつのせいで人生狂わされる人々が不憫で仕方なかった。現実世界でもこういうヤツがまぁまぁの数潜んでいるんだろうな、繁華街の人混みの中に数十人はいたりするんだろうなと考えると、自分のことはともかくも、家族や知っている子供たちが全く知らない間にクズの毒牙にかかることまで連想して心が苦しくなる。「人は人で歪む」
序盤に出てくる、イヤみったらしいうどん屋のおっさん、あれでも十分人を不幸にしそうなんだから、本当に気をつけておかないと、人に人生狂わさられるし、人の人生を狂わせてしまうこともあり得る。
優しさと言うと大げさだが、基本親切であっても過度に人に立ち入りすぎない、人に立ち入らせすぎない、距離感と温かさの塩梅については敏感になっておきたいなぁと思った。 -
Posted by ブクログ
全5章の物語。
過疎化が進んで田舎の町の廃校になる小学校が共通の舞台。
そしてそこで昔から暮らすそれぞれの家族の物語。
同じ出来事もそれぞれの立場から見えていたもの、なんとなく違っていたり、事情があったり。
そして廃校が決まった町上げての最後の小学校のお祭り。
世代が代わって、この町で結婚して子育てをしている人。
町を出て行って、生活をしている人。
この年で読むからこそ、色んなことが分かって、それぞれの事情が分かって…
苦い嫌な思い出も良い思い出も全てがあったからこそ、今、ここに辿り着けている!!
そこに深く、深く共感しました。
そうそう今でも実家に帰ると季節に合わせてドヴォルザークの音楽が町内に流れたら、小学生は帰る時間だな。。。
と知らせてくれています。
そんな日本の風情を懐かしく思いました。 -
Posted by ブクログ
前巻のテーマを引き継ぎながら描かれるシリーズ4作目。両親の過干渉により大好きな夫と別れて新しい生活を始めた女性はテンダネスに迷い込み、店内で開かれているバーで思わぬ出会いを得る。
境遇の違う女性同士の出会いは3巻のテーマを受け継いでいるのかな。あちらのふたりのその後も気になるところ。
後半は新キャラクター・アルカパッションくんをめぐる「本気でヒーローになりたかった男」とウクレレくんの過去を巡るお話。
不器用な生き方しかできなくても、本当の夢には届かなくても、思いを持ち続ければ、形は違っていてもいつの間にか目指していた場所には届くことが出来るし、自分の努力や愛情に気づいてくれる人はいる。勇気と優しさとちょっとした行動によって人生を変えた人たちの姿が胸に響く一冊。
ミツ店長の除霊騒動は前後でさらっと触れられるのみでしたが、めちゃくちゃな志波きょうだいたちに「おまえら一体なんなんだよ」と呆れながらツッコミを入れる廣瀬くんがおかしい。 -
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ネタバレ最近町田そのこさんばっかり読んでいる自身ですが、これまた今回も胸が苦しく、けれど結局何もかも許すしかなく…救いのない人生をどうにか藻掻いて生きている人、けれど最後は最高に丸く収まる、一人の男を軸に様々な登場人物が絡み合いつつ関係性を描いている群像劇でした。
町田さん、老若男女を描くのがとにかくうまいと思います。まるで自分と違う立場の人物であっても感情移入できてしまう「ああ、あるよね」という人間の泥臭さ。あまりの感情の幅広さに感嘆してしまいます。
今回の物語は、血縁を下敷きに、人の人生を書いた作品だったと思いました。
変えられない生育環境、タイミング、後悔、選択……それでも人ってそう簡単に死ねるものでもなく、生きているかぎり生きてかないとだめなんだよなあという諦めを突き付けられたような気がします。
何十何万人、たくさんの「人間」がいる世の中で、皆「幸せ」で「思い通りの人生」を歩んでいるはずがなく…それでも生まれもった自分の味を携えて生きていくしかなくて、その中で出会った人と色々ありながらも進むしかないよな…と、考えさせられました。
なんとなく、悦子と平の関係は予測できたけれど、ラストに向けて繋がっていく感覚が病みつきになる。安珠と奏斗のこれからが気になるな -
Posted by ブクログ
夫婦、家族、思春期の少年少女の悩みときて、3巻目はモラトリアムな20代の悩みに焦点が当たる。
光莉の推しは自分らしさに、単身九州に引っ越してきた主婦はホームシックに、過去の恋愛を精算したばかりの「平凡な自分」に甘んじていた廣瀬くんは嵐のような突然の出会いに。そして今回出番が少なめのフェロ店長はいつもの親切が仇となっての悪霊に取り憑かれてしまった!?
SNSのTLを行き交うような軽妙な文体で描かれる悩みはごく身近に感じるものばかり。いくら思っていてもなかなかな言えないことをスパスパと切り込んでくれるところ、人の経験や人生からしか出てこない親身な寄り添いの答えをくれるところはAIには出来ない心の籠った温度感のある文体だなぁ。
あまりにも時事によりすぎでは? とも思えど、現代の文化を切り取るのも小説の役割なんだよな、きっと。
思いがけない出会いが人を動かす/他者に偶像を押し付けられるのは苦しい という共通テーマを繋ぎながら、物語は飄々と見えるツギの過去の苦い恋愛経験を巡る内面へ。
心からの優しさと、若さゆえの真っ直ぐな危うさを持っていたツギだからこそ、いまのどこか達観した仙人のような彼になったんだね。過去は過去、と割り切って前を向く優しさと、そんなツギと華に感化されたようすの廣瀬くんの今後はどうするどうなる?
除霊の旅に出ていたために留守だった店長はまだ霊に取り憑かれたまま次巻へと。これはまたもやピピエンヌ号の出番ですか?