町田そのこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
連作短編集
ドヴォルザークの「家路」=「新世界より」
小学生の時、確かに校庭に流れていた記憶がある。
日常の終わりに、日が沈み、家路を急ぐ。
そこには暖かい家族が待っている・・・
しかし、どんな家庭にも暗闇がある。
そこから、新しい世界に飛び出せれば、と望む人もある。
閉鎖的、男尊女卑、地方の小さな町にはよくある出来事を、5人の女性を主人公に、細かく描写している。
力のある者が「鶴の一声」で、周りをまきこみ、
何も言えない者は、ただ従うだけ、
そんな息苦しい世界から飛び出すには、勇気がいる。
田中先生の温かい言葉が、とても心に染みた。
でも、なかなか口に出して言える人は少ない。
玄が -
Posted by ブクログ
ネタバレ何回読んでも大好きな本。短編だけど全部繋がってて、私が大好きなタイプの一冊。
チョコレートグラミーっていう魚の名前がまず可愛いけど、飼育は結構難しいらしい。熱帯魚って狭い水槽の中で泳いでて何考えてるかわからないけど、人がそれぞれ必死に生きてるように魚ももヒレ動かして生きようともがいてて、なんだか人も魚も愛おしくなった気がする。人の居場所と生き方って難しいと改めて思った、1人で生きてるわけじゃないから。
他の作品で「死は恋を盛り上げる」的な文があってそれを思い出した。なんとなくサキコとリュウちゃんのお話は、おばあちゃんの死によってより一層生を際立たせているなと思った。啓太の誕生しかり。 -
Posted by ブクログ
読んで、笑って、なぜか元気がもらえるシリーズ。
今回もプロローグは和歌とマキオ。たいして物語に重要ではなさそうだった二人ですが、今回は大きな役割を果たします(といっても、本編は出番ありませんが)。
テンポ良い展開や突っ込まずにいられない言動に、思わずクスリ。読んでてニヤけちゃうので、怪しい人にならないように周りにはお気をつけください笑
とは言っても、面白いだけでなく、人が前を向いて一歩を踏み出すお話でもあるところがこの本のおすすめポイント。今回は離婚し、親の言いなりだった女性がひとりで歩き出そうとする物語と、バイトの高木と彼のヒーロー(に憧れる)友人の物語。 -
Posted by ブクログ
最初の一文がインパクト強かった。
面白かった!
群先生の印象が、最初と最後でガラリと変わるのがすごい。一人一人の立場になると、他の人からどう思われているのか、とかもリアルに分かってなるほどなーと思う。
私も他の人から見たらどう思われてるか分からないだなんて、怖いなと思った。
ドヴォルザークの檻より
類が見た、あの日の記憶と誘惑に負けそうな雰囲気。
いつかのあの子
産んでやれなかった子供が空想として現れてきて、私はあなたを産まなくてよかったと思いたいと思った女の話。
クロコンドルの集落で
結婚するということは、生涯その1人付き添わなくてはならないことではなく、自分自身の幸せのために生きていいんだ -
Posted by ブクログ
宙の人生譚を通して描かれる、読めば優しくなれる物語。
町田そのこさんはすごい。
人の琴線に触れる小説を書く天才。
第一話から泣かされました。
この物語、「ごはん」をタイトルに置きながら、食事が話のメインに据えられてないのもすごく良かった。食事はあくまで物語の添え物というか…
自分自身食べることは好きだけど、この本の魅力はそこではないと思うので。
52ヘルツ〜や星を掬うも大好きでしたが、一番良かったかも。今後も町田そのこさんの作品は読みたいと思いました。
特に共感したのは、宙の独白シーン。
p362多分、本の中に自分の探してる答えがあるかもしれないと思ってる、から。わたしが本を手にしている