町田そのこのレビュー一覧

  • わたしの知る花

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    携帯電話が普及する前の小説やドラマはすれ違う想いが多かったのを思い出した。
    携帯電話が当たり前の世代の人が昔の小説やドラマを観たらもどかし過ぎてイヤになる様な気がする。
    (そのモヤモヤがたまらなく良かった)

    私自身はこの小説には中途半端な年齢で
    (安珠と泰斗の親の年齢)で当てはまらないので共感は出来なかったが
    切ない想いで読み終えた。
    小説を読みながら切ない想いで涙したのは久しぶり。

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    2025年09月26日
  • わたしの知る花

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    優しすぎる男と自分で幸せになれる女
    大人の恋を知る前の、淡く淡く純粋な2人の思いが年月を超える
    なんとなくレ・ミゼラブルを連想した
    罪に問われずともかかえる罪悪感、罪は罪だとしても犯した人間が悪とは限らない
    花をモチーフに葛城平という男の人生が浮かび上がる

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    2025年09月24日
  • あなたはここにいなくとも

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    おつやのよるとくろいあな
    が好き。
    一般常識からかけ離れた恥ずかしい家族と距離を置いていた清陽。祖母の死をきっかけに家に戻った先に、恋人も駆けつけ、家族の正しい在り方を示されたような気がした。
    くろいあなは愛人が、正妻にが不倫相手づてにたのんだ栗の渋皮煮物を作っていたら穴あきの栗と出会い、その栗に悪意を込めて渡したのに、栗を通して奥さんの真意を見たような気がして、別れを決める話。

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    2025年09月23日
  • わたしの知る花

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    過去に犯罪を犯した老人はいつも絵を描いていた…思い通りにならない平の人生。幼くして無残な死を遂げた妹を思い、すれ違いを重ねた一番好きな女性を思い…一気に読み終える。読み易いのは町田そのこさんと相性が良いからかも知れない。安珠の若々しさと平の老成した渋さのコントラストが面白い。無下に扱うようで、実は心待ちしていたのも可愛らしい。生きて会わせたかったけどきっとこれが一番よいんだろう。

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    2025年09月22日
  • 星を掬う

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    誰かに抱く嫌な気持ちは自分自身が作り出している。それは相手を知らず、表面だけを見て作り出された想像から勝手に嫌な気持ちを抱いてしまっている自分自身の問題。親子だって、きょうだいだって知っているようで知らないことが多い。
    自分は素直になることが苦手。特に家族には。相手を知る努力をしてこなかったんだなと気付かされた。
    読んでよかった。

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    2025年09月21日
  • ドヴォルザークに染まるころ

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    連作短編集

    ドヴォルザークの「家路」=「新世界より」
    小学生の時、確かに校庭に流れていた記憶がある。
    日常の終わりに、日が沈み、家路を急ぐ。
    そこには暖かい家族が待っている・・・
    しかし、どんな家庭にも暗闇がある。
    そこから、新しい世界に飛び出せれば、と望む人もある。

    閉鎖的、男尊女卑、地方の小さな町にはよくある出来事を、5人の女性を主人公に、細かく描写している。

    力のある者が「鶴の一声」で、周りをまきこみ、
    何も言えない者は、ただ従うだけ、
    そんな息苦しい世界から飛び出すには、勇気がいる。

    田中先生の温かい言葉が、とても心に染みた。
    でも、なかなか口に出して言える人は少ない。

    玄が

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    2025年09月16日
  • 星を掬う

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    文庫化されたのをきっかけに購入。
    主人公とその母を中心に、さまざまな悩みや過去を抱えた人たちがシェアハウスで共に暮らす姿を描いています。登場人物それぞれに悲しい過去があり、それでも前を向こうとする姿が印象的でした。
    中でも、主人公の元夫の執着心には背筋がぞっとするような怖さがあり、物語を通してずっと緊張感が途切れませんでした。最初から最後までハラハラしっぱなしの一冊。

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    2025年09月15日
  • 宙ごはん

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    読んでよかった。
    様々な出来事を乗り越えて変化し続ける親子の関係性や、それぞれの心の成長、そして人との関わり合いの中で生まれる温かみ。
    それらを強く感じて感動が止まらなかった。

    人間は間違うこともどうにかなってしまいそうなこともあるが、それでも大丈夫なんだと思わせてくれる作品だった。

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    2025年09月15日
  • 夜空に泳ぐチョコレートグラミー(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何回読んでも大好きな本。短編だけど全部繋がってて、私が大好きなタイプの一冊。
    チョコレートグラミーっていう魚の名前がまず可愛いけど、飼育は結構難しいらしい。熱帯魚って狭い水槽の中で泳いでて何考えてるかわからないけど、人がそれぞれ必死に生きてるように魚ももヒレ動かして生きようともがいてて、なんだか人も魚も愛おしくなった気がする。人の居場所と生き方って難しいと改めて思った、1人で生きてるわけじゃないから。
    他の作品で「死は恋を盛り上げる」的な文があってそれを思い出した。なんとなくサキコとリュウちゃんのお話は、おばあちゃんの死によってより一層生を際立たせているなと思った。啓太の誕生しかり。

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    2025年09月13日
  • コンビニ兄弟4-テンダネス門司港こがね村店-(新潮文庫nex)

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    読んで、笑って、なぜか元気がもらえるシリーズ。

    今回もプロローグは和歌とマキオ。たいして物語に重要ではなさそうだった二人ですが、今回は大きな役割を果たします(といっても、本編は出番ありませんが)。
    テンポ良い展開や突っ込まずにいられない言動に、思わずクスリ。読んでてニヤけちゃうので、怪しい人にならないように周りにはお気をつけください笑

    とは言っても、面白いだけでなく、人が前を向いて一歩を踏み出すお話でもあるところがこの本のおすすめポイント。今回は離婚し、親の言いなりだった女性がひとりで歩き出そうとする物語と、バイトの高木と彼のヒーロー(に憧れる)友人の物語。

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    2025年09月12日
  • 宙ごはん

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    「生きている人間はまちがう。わたしやあなたが、そうであるように。」
    寺地はるなさんの解説が、とてもしっくりきた。

    宙や花野さんが成長していく物語なんだけど、そこにリアルな人間らしさが感じられて、どれもこれもが当てはまるわけじゃないけど、きっとどこかは共感できる。
    一話ごとに成長していくから、とても読みやすい。
    次の話は何歳ぐらいかな?宙や花野ややっちゃんはどうなったかな?と読み進める手が止まらない。

    心があたたまったり、痛かったり、悲しかったり忙しいけど、読んで良かった。

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    2025年09月11日
  • コンビニ兄弟4-テンダネス門司港こがね村店-(新潮文庫nex)

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    物語の舞台になっている街の雰囲気と、ここに集まる人達の温かさや優しさがまた違う人に伝染していく感じが素敵だなと思う。輪の中心にいる志波兄弟の、人を惹きつける得体の知れないパワー(?)みたいなものも面白い。そのうち映像化もありそうな作品だけど、ツギさんは工さんのイメージ。
    かつてヒーローになりたかった青年のお話が好き。彼のような真面目で素直な人が報われますように、という願いを持たずにいられない。

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    2025年09月11日
  • 宙ごはん

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    宙がいい子すぎる…
    産んでくれたのは「お母さん」、育ててくれたのは「ママ」。
    それぞれに弱さや欠けているところもあるけど、
    どうしてそうなったのかにはちゃんと理由があって、それに気づかせてくれるのは宙や佐伯さんなんだよなあ…
    宙がぐれずに素直に育ってくれてよかった。私だったらぐれるかも。笑
    あたたかさと切なさが混ざった、心に残る一冊でした

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    2025年09月10日
  • ドヴォルザークに染まるころ

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    最初の一文がインパクト強かった。
    面白かった!
    群先生の印象が、最初と最後でガラリと変わるのがすごい。一人一人の立場になると、他の人からどう思われているのか、とかもリアルに分かってなるほどなーと思う。
    私も他の人から見たらどう思われてるか分からないだなんて、怖いなと思った。
    ドヴォルザークの檻より
    類が見た、あの日の記憶と誘惑に負けそうな雰囲気。
    いつかのあの子
    産んでやれなかった子供が空想として現れてきて、私はあなたを産まなくてよかったと思いたいと思った女の話。
    クロコンドルの集落で
    結婚するということは、生涯その1人付き添わなくてはならないことではなく、自分自身の幸せのために生きていいんだ

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    2025年09月10日
  • コンビニ兄弟4-テンダネス門司港こがね村店-(新潮文庫nex)

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    3話構成の後半は前後編で、今まで影の薄かったウクレレ君絡みのお話。
    若い頃から続く友情って良いよね。
    ウクレレ君もキャラが立った。
    このシリーズ、まだ続きそう。
    楽しみ。

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    2025年09月09日
  • 宙ごはん

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    宙の人生譚を通して描かれる、読めば優しくなれる物語。

    町田そのこさんはすごい。
    人の琴線に触れる小説を書く天才。
    第一話から泣かされました。

    この物語、「ごはん」をタイトルに置きながら、食事が話のメインに据えられてないのもすごく良かった。食事はあくまで物語の添え物というか…
    自分自身食べることは好きだけど、この本の魅力はそこではないと思うので。
    52ヘルツ〜や星を掬うも大好きでしたが、一番良かったかも。今後も町田そのこさんの作品は読みたいと思いました。

    特に共感したのは、宙の独白シーン。
    p362多分、本の中に自分の探してる答えがあるかもしれないと思ってる、から。わたしが本を手にしている

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    2025年09月07日
  • 宙ごはん

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    悲しい出来事もたくさんありましたが、読み終わりはあたたかい気持ちになりました。

    宙と花野親子の関係性が、少しずつしっくり合っていく様子が、読んでいて心地よかったです。
    途中で喧嘩もありましたが、その度に本音が聞けて、お互いに成長しているのが伝わります。

    やっちゃん素敵すぎます。町田その子さんの小説で出てきた人物で、一番好き。

    そして、各章で出てくる料理のシーンも良かった。
    食べることを大事にすることで、人は元気になると改めて感じました。

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    2025年09月07日
  • あなたはここにいなくとも

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    別れが、テーマとなっていて物理的だったり死別だったり、と色んな形の別れが描かれている。別れというと悲しいもののような気もするが、別れることで残していくもの、守られるものもあるのだというメッセージが伝わってきて胸が暖かくなった。
    特に長く付き合っていた彼氏と別れたのは勇気のいることだとも思うがそれは決して悪いことではないのだと教えられた。
    人との繋がりに迷うこの頃、出会えて良かった1冊でした。

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    2025年09月05日
  • うつくしが丘の不幸の家

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    短編小説でさらっと読めるのに、家庭における現代社会の課題が巧みに盛り込まれている。
    この家に住む人たちの物語は、まるで家族という単位における現代社会の縮図のようだ。

    不妊治療や夫婦仲など、他人にはなかなか話せない家族の問題は、大小の差こそあれど、きっとどの家族にも存在している。当たり前のことなのに、自分自身に置き換えるとなかなかそうは思えない。
    この小説に登場する家族の中には、誰しもがどこかしら共感できる話があるのではないだろうか。

    読後は、まるで誰かに悩みを包み隠さず打ち明けて、スッキリしたあとのような爽快感があった。

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    2025年09月05日
  • 星を掬う

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    アドラー心理学に通じるのかな。
    辛い時、苦しい時、どうしてもその原因を辿ってしまう。
    原因こそが不幸の元だと。
    対象がなければ痛みの行場がないから。
    まともに自分でそれを受け止めてしまうと潰れてしまうから。
    千鶴たちは偉いよ。それを認めて受け入れたのだから。
    聖子さんの生き方も、ある意味憧れる。
    どういう最後になるとしても、あるがままに生きられたら、それが一番理想的じゃないだろうか。
    そのために犠牲になるものがあったとしても。
    ありのままを認める、認められる。受け入れる、受け入れられる。最高に幸せなことではなかろうか。

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    2025年09月03日