あらすじ
『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!3年連続、本屋大賞ノミネート!! 自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。 死を見つめることで、〝自分らしさ″と〝生″への葛藤と希望を力強く描き出した、著者渾身の感動作。
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素敵な本。今年、1番の本。
仕事のこと、家族のことで悩んでいた、心の中でもやもやしていることが、ことばになって載っていた。自分中心で考えていることを、違う視点からも考えてみようと思う気持ちになれた本。
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ここ最近、嫌な人が出てこない優しいお話ばかり読んでいたので、この本のあちらこちらに散りばめられている毒に「これこれ!」と喜びながら読みました。なんだろう、胸糞悪くなるのに、この後の展開が気になってどんどん読み進めてしまう快感…。
延々と胸糞話が続くのは辛いけど、連作短編の形になっていて、ひとつひとつのお話に何らかの希望が示されて終わるので、気持ち的にはしんどくなりすぎなくてちょうどいいダーク感。
嫌な人や哀しい出来事、単純に解決できない葛藤と対峙するからこそ、胸を痛める登場人物たちの幸せを願いたくなるし、彼らが見つけた希望のかけらが、私自身の希望になる。
「死を乗り越える」なんて、言葉にすると、強くてかっこよく見えるけど、現実にはそんなに美しいものではない。
涙でぐちゃぐちゃになって、自暴自棄にもなって、地面にうつ伏せて何もする気に起きないような喪失感がある。
でも、「それでいいんだよ」というメッセージが、この本から伝わってくる。
いつか必ず向き合わなければならない、大切な人を喪う恐怖に、この本の登場人物たちの言葉をお守りにして、向き合いたい。
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死と近い葬儀社が舞台の話。
ありがちな話かと途中まで思いながら読んでたけど、半分が過ぎた頃には、いや違う、これは大切な事が所々に出てくるぞと思い直し真剣に読み出した。
「豊かに生きたひとは、豊かに死ねる。
貧しく生きたひとは、死すらも貧しい。
豊かなひとは豊かに見送られ、貧しいひとは寂しく送られる。
死はすべての生きものに平等だというけれど、しかし死が纏う衣には、確実に格差があるのだ」
こういう考えの人は、この本を読んだ方がいい。
どうやら、それは違うから。
一回読んだだけでは、本質が理解できていない気がするのでまた時間が経って、何かの選択に迷うときにもう一度読もう。
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確かにそこに愛はあった。幸せもあった。
ただ自分が望んだ愛の形ではなくて、理想と違ってだから見逃した。
切ないけれど、各々の主人公が新たに偉んだ道程への決断に今度こそ幸せになってほしいと願わずにいられなくなりました。
楓子の旦那に関しては、本当にどこにでもいるやつでだからこそ厄介。
失いたくない相手なのであれば相手がNOと提示したことはしてはいけない。
自分だけを大切にすれば待ってるのはやはり別れしかない。
結婚は決してゴールじゃないことを理解してない人ほど道を誤る。
自分らしく生きていく決断した佐久間と楓子に心からの声援を送りたい。
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人はどれだけ他人を理解しているつもりでも知らない一面がある。
作中の母娘、パートナー同士のように、家族・恋人・親友に関係なく、どれだけ付き合いを重ねても、完全に他人を理解することはできない。
それでも、少しでも多く相手を理解して、差を埋めていくために、大切な相手に興味を持ち続けて話し合いを重ねていきたいと思う。
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とても考えされられる一冊だった。
『一緒に生きていくために大切なのは「しあわせな瞬間」だけではなくて、「相手のしあわせを考える時間」も大事』
心に留めておこう。
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家族葬儀屋 芥子実庵
読み終えた感想…色々な思いがあり、事情があり、普通に生活しててもわからないことって沢山ある…三章の「芥子の実」は須田くんの生い立ちが辛くてウルッときてしまいます。
芥子実庵の由来「けしのみはどこのいえにもない」
P211の須田の 「気持ち少しだけ救われた気がした。」に、私も救われた気がする。
結構登場人物が多く以外な繋がりがあったりで、後半は読み返し確認したり。相関図書いて納得したかな。
佐久間と純也続きがあってもいいな。
素敵な本だと思います。オススメ!
町田そのこ先生の作品が好きなので新刊を楽しみにしていました。
葬儀社芥子実庵を中心に物語が描かれる短編集です。
語り手は作品ごとに違っていますが、最初と最後の物語は芥子実庵に務める同一の女性視点で語られます。彼女の考えや物事の捉え方の変化がこの本の面白さのひとつだと思いました。
どの物語にも死が描かれ、語り手はその死に向き合うことで自分らしく生きることに悩み前に進みます。
この本を読んで改めて人生は取捨選択の連続で失ったものの大きさを感じて苦しく思うことがありますが、自分の大切なものを大切にできるようになりたいと思いました。
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登場人物みんなの個性がリアルで、こんな人いるなぁと思いながら読んだ。
前に進むためにはたくさんの選択が必要で、その選択を自分の力で正解にしていくしかないんだと、先日朝井リョウさんの『武道館』を読んでも思ったが、この本でも同じことを思わされた。
この本の方が痛みを伴う選択が多かったが…
身近な人の不幸の時はこんな葬儀屋さんに頼みたいなと思うような素敵な場所が舞台で、優しく背中を押してくれるような話だった。
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折り合いをつけるってよく言うよね。人生って常に選択の連続だけど、スパっと白黒つけられないことの方が多いと思う。そんな時は先延ばしにしたり、うやむやにしたくなる。向き合いたくないからね。でも、いずれタイムアップの時がきて答えを出す時に、このフレーズ使う。ホントは折り合いも何も、答えには自然に導かれる。始終そんな感想を抱きながら読んでました。
Posted by ブクログ
2024.11.20
家族葬儀専門の葬儀社「芥子実庵」を中心に、死、家族、仕事、結婚の問題が絡んでいく。
重たい話なんだけどのめり込んでしまうほど面白かった。
女だから、男だから、葬儀屋だからという理由で偏見を持たれたくない。特に真奈の仕事ぶりを見ていると偏見を持つのがとても失礼に思える。
どちらかを選ばなきゃ行けない時、仕事を選んだ真奈はすごいな… でも私もきっと今やってる仕事が気に食わないから辞めて欲しいと言われるのは嫌だなぁ…
“一緒に生きていくために大切なのは「しあわせな瞬間」だけではなくて、「相手のしあわせを考える瞬間」も大事なんだよ”
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どうしようもなくやるせなくて、ページをめくることも辛かった。でも、人には譲れない信念があって、たとえ大切な人と離れることになっても守る想いがあるんだと、悩みながらもまっすぐに生きる登場人物それぞれの生き方に触れることができた。
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家族葬専門の葬儀社に勤める女性が主人公。章立てされてますが、長編と言うより連作短編。
泣かせます。ジェンダーや夫婦の在り方、死に対する姿勢など、ただ一方の意見では無く、対抗意見も取り上げて、しっかりと話を進めて行きます。また登場人物もペラペラの平面的では無く、別シーンで違う角度から見た姿を描いたりして立体感を感じさせます。さすがにうまいですね。直前に読んだ『博士の長靴』なんかとは全く違う深みや重さを感じさせる物語です。
でも、最後はしつこくなり過ぎたかなぁ。もうすこしサラリと、結論まで出さなくても良かったような気がします。
Posted by ブクログ
葬儀社である芥子実庵に関わっている人たちの物語。
それぞれの死生観についてが綴られている。
葬儀に関わる本を読むと、その文章のリアルさから自分の身近な人が亡くなったときのことを思い浮かべて涙が止まらなくなってしまう。
ただ今回出てきた、
「芥子の実は、どこの家にもない。」
という一文に納得した。
自分の身近な人が亡くなったら、生きていくことを諦めそうになるくらい辛いが、それは誰もが乗り越えなければならない行事と呼べるくらい当たり前のことである。
私たちは明日が来ることを当たり前のように感じているため、明日に任せすぎている。
そのため当たり前にやってくる行事に耐えられないと感じてしまうかもしれないが、大切な人を大切に想う気持ちをせめて本を読むたびに思い出したいと感じた。
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田舎では当たり前の地域がまだ多いだろう、男性優位、
男が家族を養う、妻は夫を支え、従う。
微妙なジェンダーの問題も絡めつつ、昔からの男尊女卑の問題が中心、
死体を扱う職業を忌むものとするのは、私の中にはなかったので「そうなんだあ」という感じだけれど、そういえば、それも昔からあったなあ。
普通によくある話に、女として自分の足で歩いて行こうとする素敵な女性が描かれたなあと思う。
Posted by ブクログ
テーマがテーマなだけに号泣してしまう部分があった。というか毎回葬儀の度に涙した。
死と向き合う職業。色々あるけど作中に出てくる葬儀屋の仕事とは一体どんな気持ちで働くのだろうなと思う。
自分ならきっと緊張と悲しみで心が疲弊してしまうので仕事にはできないな。慣れれるのかなとも思うが職業として到底自分には選択できないので心から尊敬に値します。
重いテーマだったけど日常ではなかなか見つけられない感情が生まれたので読んでよかった。
死と向き合う本を読むと本当に生きていることへの感謝の気持ちと大切な人との時間の大切さを毎回気付かさせてもらう。
Posted by ブクログ
4章まで読んだところで、時間切れ。
返却期限が。
続きはまた、いつか。
予約が100件近く入ってるから、あきらめようかな。
町田そのこさんのお話は、
ひとつひとつが、違うようで、繋がっているところが好き。
だけど、本を集中して読めなくなってきた。
年のせいかな。
私も、芥子実庵で、最期をゆっくり過ごしたい。
こんな素敵なところから旅立ちたい。
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町田そのこさんの言葉は刺さる
葬儀屋さんで働く主人公。
重い話なのかなと思って読み始め、もちろんいろいろ重くはあるけれど、でもがんばろうよと、元気をもらえる不思議な本だった。
この本で書かれている男性は、妻となる人にはこうであって欲しいっていう偏見が強すぎるし、自分の弱さに向き合えない男性が多過ぎる気もする……
親子間でもパートナー間でも、「こうであって欲しい」の押しつけほど嫌なものはない。
そう意味で主人公の母親が、自分の意見は違うし言うは言うけど、決めるのは主人公自身が決めなきゃいけない、周りの思いと違くても、ちゃんとこうと思ったらそうしろと、言葉にして言ってあげるスタンスはとてもよかった。
『共に生きるひとが大切にしているものを、共に守れなくてどうする』
この言葉に尽きるかな。
夜明けのはざま
自分がやりたいことと、相手にこうしてほしいのはざま
自分の弱さに向き合う怖さのはざま
相手の弱さに向き合う強さのはざま
時にそのはざまを相手に見せることが信頼関係構築に繋がることもある。
でも、『怖い。こればかりはしょうがない。』
「怖さ」を認め、「怖さ」を見せる、「怖い」っていう感情があることを周りの人に知ってもらうことの大事さ。
自分の弱さに向き合えて、周りの人の弱さに向き合ってあげられるひとは、男女関係なくかっこいい。
葬儀屋さんに勤める様々な人の物語
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家族葬専門の葬儀社、"芥子実庵"が舞台。関わる人達の群像劇。
自分らしさって他者と生きることと両立できないものなのか。
そもそもその前提が間違っているのだろうか。
人と生きるから自分らしさがある、自分らしさを失わないために人と別れる選択をする。
私は真奈のような選択は出来ないと思った。
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相手のことを想うのは、わりと難しい。自分が一番になってしまいがち。
でも、それでいいのか?いろいろと考えさせられた。本の中に理想を求めてしまう自分がいる。
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葬儀会社という普段知ることのない世界が新鮮だった。
内容は仕事と結婚、女性の生き方、よくある話といえなくもない…けど、その中でなつめの存在はやっぱり特別。
苦労した生い立ちから、若い頃に作家として成功して、でもその後は鳴かず飛ばずが続いて、親族とも絶縁、最期は親友に見送られる…
なんだか壮絶だけど、すごく惹かれるのは確か。
主人公は、悩みに悩んで出した結論が、結婚ではなく自分の生きること、誇りを持てる仕事だったことを嬉しく思った。相手の男は、悪い人ではないし真面目で誠実だと思うけど、どこかで必ず女性は、母親は、という価値観を押し付けるだろうことは簡単に想像できてしまった。別れて良かった。全ての働く女性が輝けますように。
Posted by ブクログ
夫婦、というか男女の話だと感じた。
モラ気味のクソ男、イニシエの価値観を持つ親世代、人を小馬鹿にして楽しむスタイルでしか笑えない人種、そして逆に夫に男らしさを求める妻であり母。
こんな人いる、こんな価値観の人いる、と思わず唸ってしまうのと同時に、30代女・妻・母である身としては、夫に甲斐性・決断力・男らしさ・父親の役割を強く求めてしまうことに、ハッとされられました。この人物たちほど顕著ではないにしろ、、、
芥川さんの死への恐怖、妻と幼い子を失ったイケメンの先輩も、葬儀屋での仕事を辞めてほしいという彼氏も、登場人物みんなに感情移入できてしまうところがあって、誰にでも持ちうる人の不幸というか心の裏というか心の闇を描くのが秀逸だなぁと感じました。
芥子実庵の由来になっている『芥子の実はどこの家にもない』という仏教の逸話も胸が苦しくなるほど良かったです。
Posted by ブクログ
最初読み始めて、あれ?これ読んだことある?と思ったけど、前回は結婚式の時点で腹立って脱落したことを思い出し。田舎だからという理由で一括りにするには女性に失礼な人たちが多すぎる。男女問わず、身内にも、職場にも、飲み屋にも。牟田さんは夫に男性らしさを求めすぎた反省を感じてるけど、他の女性軽視の登場人物はそのまま。いじめっ子のやつも大判焼き食べて泣いてたらいい奴なんか。モヤモヤが多い小説だった。須田くんはがんばれ!大学はいつでも入れるぞ!
Posted by ブクログ
重くて苦しい内容ながら一気読み
必ずやってくる別れの時がいつになるかは分からないからこそ、今を大事に生きよう…みたいなキレイ事ではなく
訳知り顔で意見したり見下されたら辛いしムカつくし、自分の人生自分で決めるわって思いながら読んだ
辛い時に海を眺めるのは…けっこういいしホッとする事あるし、実際何度もやった