あらすじ
『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!3年連続、本屋大賞ノミネート!! 自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。 死を見つめることで、〝自分らしさ″と〝生″への葛藤と希望を力強く描き出した、著者渾身の感動作。
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Posted by ブクログ
葬儀屋の話。
同じ世界観の何人かが順番に語り手を務める。
本当にすごく良かった。
そもそも葬儀屋への感情みたいなものにも変化があったと思う。今までは特に何も思っていなかったが、死という誰もが通るイベントに立ち会うと言うだけでも素敵な仕事だなと思えた。それぞれの働く人が自分の役割に誇りを持っていてそれも素敵だった。また、自分が女ということもあって固定観念のまだ強い地域での話ということもあって共感ポイントも多かった。女は仕事よりも家庭を大事にしなければならない等々。でもやっぱり佐久間の話が1番面白かったかも(最初と最後の子。)。最初では自分の仕事に誇りを持って親友を見送った時の覚悟みたいなのがかっこよかった。最後には彼氏と別れるが彼氏もいいと思える、でも彼のために仕事を辞めたくはないという葛藤で仕事を選ぶ姿も自分のやりたいことをしっかりと見えている感じが尊敬した。私がそういう人に憧れを持ってるからかもだけど。
話の前半は結構暗くて重かったけど、後半になるにつれてみんなが1回落ちても上を向いて歩いていく感じがしてグイグイ読めた!
あと、千和子の話も良かった。最後に相手に申し訳ないことしたなってというシーンで芥川(アロハ社長)がそんなこと思わなくていいんじゃん、恋愛は二人でするものだから、、、的な発言をしていて結構心に残った。最終的に2人とも若かったよねっていう結論に至るのもさらに良かった。大人の対応でかっこいいなと。なんだかんだ娘さんが母が元夫の恋人の葬儀手伝ってるのを叱るのも良かった。なんだかんだ喧嘩してもいい親子関係が築けていてほっこりした。
須田の回は結構イラついて終わってしまったかも。いじめてきた相手が家族を持ったことで過去を精算させたいがために自己満で心にも思ってない謝罪をするシーン。最低だと思った。相手の傷のデカさも知らないで、自分のやってきたことの重さも知らないで自分だけ楽になろうなんて酷すぎる。逆にこんな話をかける町田そのこさんがやばすぎるという見方もある。森原壱が死亡した回は語り手だった人の大人さに尊敬。自分の非を認めるって私はプライドがあってなかなか難しいことだと思う。今まで自分が信じてきた像を打ち砕くのと同じだから。でも、そこそこの大人がその常識を(しかも年下からの影響で)壊して、新しく思えるって私もこんな大人になりたいとひしひしと思った。
本当に面白かった。また読むかも!
Posted by ブクログ
読んでる間、 ずっと悶々と『死』について考えさせられたけど、最後に圧倒的な『生』を浴びたような…
今の私の人生観を支えてくれる、大切な本になりそう
良くないと思っている偏見(男に頼る、女の幸せ)に他でもない自分自身が縛られている葛藤、あるよなぁ…
ある登場人物が「結婚か仕事か」で悩んでいて、選んだ道にちょっと驚いてしまった自分がいた
絶対に手を取ると思った
私も「あなたは先を行け」と言える生き方をしたい
Posted by ブクログ
なんて壮大なんだろう。町田そのこさん。
『コンビニ兄弟』で初めて出会った作家さん。いつも読み終えた後にものすごい重厚感に圧倒される。読み終えた後に、達成感のようなものが胸に広がる感じ。長編映画を見た後のような、一人の、どこかに存在する誰かの人生をなぞったかのような感覚。作品についての感想を言語化することで自分の中の感情がラベルをつけられて単調になってしまうような気がして、詳しく感想を書くのが憚られる。とにかくまた一冊、素敵な出会いをした。
個人的には、宙ごはんの舞台でもある樋野崎市の名前をこの本でも見られたことが嬉しかった。
Posted by ブクログ
葬儀社『芥子実庵』に勤める方たちの、お話。
葬儀屋さんってこんなに偏見持たれてるんだっけ?と疑問もありつつ、人の感情を本人以外が動かすのって、そりゃ難しいことだなぁと。。
真奈の、仕事に対する姿勢や向き合い方が凄いと思った。そこを認められず『結婚のために葬儀に関する仕事をやめて欲しい』を貫いた純也を残念に思ったなぁ。
人の死に関するお話なので仕方ないけど、1冊読み終えるまでにたくさんの『死』が出てくる。葬儀屋さんのお仕事、大変だ。。
Posted by ブクログ
家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」を舞台に、仕事、夫婦、過去のいじめなどを社員を通して様々な切り口で読めた。
どれも秀逸だったけど、特に、芥子の実が胸に響いた。いじめの原因として、母親をテーマにしているだけで、とても切なく腹立たしい思いもしたけれど、さらっと芥子の実の話でまとめられたことで救われた。
Posted by ブクログ
読んだきっかけ
友達に勧められて。また最近職場の身近な人が亡くなり、今読むべき本な気がしたから。
読んで思ったこと
自分の人生を生きるって覚悟がいるし、勇気もいる。成功してても苦しんでいても、その姿はカッコよくて私はずーっとそんな生き方に憧れてもう7年くらい経とうとしてる。。
私は学生時代はろくに悩みもなくすんごく幸せ者だったんだな。最近も悩みを無視するように生きてきたけどさすがに限界だし、自分の人生やキャリアをしっかり考えることが私の幸せにつながるんだと気づいた。逃げずに考えないと。
心に残った登場人物
①なつめ
死んでしまったのは悲しいけど、ものすごく強烈な印象とかっこよさを残して散って行った
下記、なつめがいかに真剣に人生を生き切ったかがわかる部分。
☀︎ 『思いつく限りの試行錯誤をしました。じゅうぶん、もがけたかなと思います』 遺書より
☀︎戦死
☀︎ まあ、禿げるくらい悩みたまえよ。サクマはまだ、髪がふさふさすぎんよ。
大人になるって、どうしても叶わないことやどうしても分かり合えないこと、どうしようもない痛みを知ることなのか、と楓子がいうシーンがあるけど、つまり、ナツメがもう一度本で成功することはもう無理だったのかな。
②須田
入学金が払えなかったシーン、読み進められないほど辛かった。しかもその後に再会する旧友も自分のことしか結局考えてなくて、謝れば許されると思ってるあたりが都合良すぎる。
葬儀屋で素敵な仲間に出会えたことで、須田の人生が変わるのかもしれないけど、これまでの辛い人生を思ったらそんなことで救済されるのか。。
でも人生はここからのほうが長いはず。須田のその後が見たかった。
須田が伊藤を殴った時、「庇えなくてすまなかった」ってすぐに言える井原がかっこよすぎる。
③まな、楓子
痛みを人生の早い段階でしった上の2人とは対照的に、まさに今痛みや悩みを経験している2人。まなの行き着いた答えで、どうにかみんなの痛みが救われているといい。
一生懸命自分の人生を生きれば何かが手のひらに残る。それは、自分の人生や他の人の人生の次の幸せにつながるはず
ラスト、2人とも誇りを持って得意な仕事をしている姿が本当にかっこよかった!
死生観
☀︎残される人に対して死は平等
☀︎人生はろうそく
☀︎椅子を残しておく
その他
☀︎私の心はイギリス領になった
☀︎都合のいいフィルターで相手を追い込む
☀︎それくらいって言わないで
Posted by ブクログ
主人公が葬儀屋勤務の結婚に悩む女性なので、死について向き合うお仕事物語と、結婚について悩むけど結局結婚するみたいなよくある話かなと最初は読み進めていたが全然違った。
良い意味で裏切られました。
まず死の物語ではなく、生の物語でした。
遺された人の受け止め方がどれも素敵で、こうやって自分も受け入れていけたらと思いました。
そして主人公が最後に仕事を選ぶというのも、とてもよかった。女性にとっての幸せは結婚だけじゃない。自分を大事にする事って大切だなと肯定された気分で爽快でした。
自分が弱い部分苦手な部分は誰かに繋いで、補って、助けて貰えばいいんだ。
それが生きるということなんだと。
終盤はそんなことを言ってもらえた気がします。