【感想・ネタバレ】コンビニ兄弟4-テンダネス門司港こがね村店-(新潮文庫nex)のレビュー

あらすじ

百合は大好きだった夫と別れ傷心の一人暮らしを始めるが、門司港で妙に賑うコンビニを発見する。舞人はかつてヒーローになりたかった。自分を見失う彼の元に突如訪れた「テンダネス着ぐるみ」任務。その背後にはとあるコンビニ店員との過去から今に繋がる熱い友情があった。報われるばかりの人生でなくとも手にすることができる小さな幸せがここにある。温かなコンビニ物語第四弾。

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今回は志波家の人々の登場が少なく、ちと残念(._.)でも、どの話も大好き!(*^^*)店長は意外に強い?(^^;)

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2025年03月02日

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このシリーズ本当によい!
退屈なオンラインミーティングのおともに最適だった。

私もテンダネスのイートインコーナーにたまたま居合わせて、声かけてもらって(受け身)、仲間に入れてもらいたい!

ぜひ、映像化しないでほしい!

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2025年02月26日

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今回も温かいストーリーでした。特に2、3話が良くてうるっとした。一生の友達となる男の友情良い話だった。

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2025年02月23日

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シリーズ4作目!
「真面目なひとが報われますように」という帯文に惹かれた。本当に悪い人が出ない小説でいつも心がほかほかする。肩の力を抜いて読むことができるのがありがたいシリーズ。

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2025年02月23日

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ネタバレ

舞人くんの話は前後編かと思いきや、後半は回想録でしたね☺︎
とても読みやすかったです。
ヒーローってなりたくてなれるものではないかも知れないけど、気がつけば誰かにとってのヒーローになれているのかも。私の周りにも、私にとってのヒーローが何人もいて憧れます。本人達にそれを伝えても、「?」という感じです。そんなもんなんですよね。
ちょっと感想から脱線してしまいましたが、ふと読んでいて書き残しておきたくなりました。

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2025年02月23日

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ネタバレ

コンビニ兄弟4巻め。

胸を蝕む罪悪感。
ちゃんとしたフレンチのお店に行ったのに、
前菜も魚も肉もすっ飛ばしてデセールをいてだいてしまったような。

読もうと思っている本が列をなしていると言うのに、
すっ飛ばしてつい手に取ってしまった。
甘いもの好きだから。
期待通り、美味しかったですよ。
いや、面白かったですよ。

離婚して門司港にやってきた女性の話もあったが、
今回の主人公は真剣にヒーローになりたかった青年が、
テンダネスのキャラクター、アル・パカッションくんの中の人になる話がメインkだろう。
いや、メインはその青年と「ウクレレ」こと高木くんの友情物語か。
でも、もうちょっとコンビニ自体が、フェロモン店長自体が登場してほしい。

それにしても、人づてに「店長」にお守りのブレスレットを送ってくる、
煩悩だらけの志波家長男が、テンダネスに現れる日はあるのだろうか。

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2025年03月03日

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出た!遂に出た!一が!

いや4ですけど

テンダネス門司港こがね村店の面々及び関係者一同がみんな元気で嬉しい!
約一名取り憑かれてる人もいたけど(w)それはそれでいつも通りな気がしなくもないのでよしなのだ

今回の主役はアル・パカッションくんさんだ!くんまでが名前なのでアル・パカッションくんさんが正しいのだ!

アグネス・チャンさんとかなかやまきんに君さんとかと同様なのだ

そしてなんだか悩んでる人たちのそれなりに深刻な悩みがテンダネス門司港こがね村店の面々及び関係者一同のドタバタに巻き込まれてるうちにすっかりスッキリしているのにニヤニヤしてるうちに読み終えてしまったのだ!

アル・パカッションくんさんの活躍に今後も期待大なのだ!

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2025年02月12日

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ヒーローになりたい話、いいです。
町田そのこさんのテンダネスは気軽に読めて、いいです。
こういうのたまには読みたいです。
単純で心が温まる。

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2025年02月09日

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ネタバレ

今回はいつもよりも数倍さらさらと読めました。
面白さパワーアップ。

なりたいものはずっと想っていれば叶う

それがよくわかりました。素敵な友情、ヒーローであり、新メンバー誕生ですね。お兄さんも出てきて今後も楽しみです。

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2025年02月04日

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今回も面白かった〜!高木くんと舞人くんの友情関係がアツくて涙が出るくらい感動しました。苦しい場面がありながらも優しい気持ちになれる全3話でした。相変わらず悩みにそっと寄り添ってくれる門司港の皆さん。人の温かさをじんわり感じることが出来ました。

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2025年02月03日

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よく知ってる門司港が舞台になってるから
コンビニ兄弟シリーズを読みながらた
あの辺のことかなぁと色々想像して
門司港の街並みを思い浮かべてる

最近門司港にゆっくり行けず
通りすぎるばかりだから
一日中門司港を堪能したいと思った

物凄く劇的なことは起こらないんだけど
日常をほのぼの描かれているのは
心が温かくなるし好き

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2025年02月02日

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あいかわらず心があったかくなるストーリー。
クスっと笑えたり、大笑いしたり、うるっときたり、物語に入り込んであっという間に読み終わってしまいました!

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2025年01月21日

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このコンビニ兄弟4を読み終えたら新しい物語が 
でるまで待たなきゃなぁ と思いながら読み
進めていきました。
しかし そんな寂しさも忘れてしまう
くらいの 霊能力者カモン お礼はいきなり
団子食べ放題 のプロローグ!
毎回 和歌さん マキオさんのやりとりが
大好きです!

色々とあった百合さんが大切な思い出の
大切さなお守りのような存在の
むさしとこじろうの絵?のお話は
微笑ましくて優しい気持ちをもらえました。

志波さんの最高傑作!
みてみたいなぁ
どこをどうみたら 宇宙人が踊ってるような絵?
になるんでしょう、、、謎です、、。

あと アル パカッションくんも優しいお話でした。
みんな真剣にオーディション受けて可愛いくて
特に 赤じいが落ちて哀しそうなところは
私も 元気出してね  と読みながら
赤じいに言ってました。身体は入るんか?の
疑問もありましたが、、。

この物語もこれまでと同様に凄く楽しくて
凄く優しくて 沢山元気をもらえるお話でした!


でも やっぱり エピローグのところは怖いです。
なんとか解決したから良かったですが

蛇が巻きついていて 長い髪の毛で排水溝が詰まり
毎晩カウントダウンされる!!!

三彦さん どうしてそんな感じでいられるの ⁉️


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2024年12月26日

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コンビニ兄弟が前面に出てくる話ではないが、テンダネスに関わる人が前向きな気持ちになれるのが良いと思う。

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2025年03月09日

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 北九州・門司港を舞台にした心温まるコンビニ物語第4弾。

 今回は、人生に行き詰った二人の男女それぞれが再生していくストーリーで、コンビニ兄弟を通して二つの温かい物語を味わうことができました。

 二つのエピソードを通して思うことは、人との出会いや考えに触れることはやはり大切だということでした。

 自分一人で抱えていたことが、ある人との出会いや考えに触れることによって、新たな方向へ少しずつ世界が広がっていくように感じました。

 その新しい方向に、自分の好きなことや得意なことがつながっていくようになれば、生きていくエネルギーも増えていくのだと思いました。

 この作品によって、新たな一歩を踏み出すエネルギーをもらえました。

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2025年03月08日

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今回の話、とっても良かった!
離婚して一人暮らしを始めた女性の話と、ヒーローになりたい男性とその友人の話。
どちらも挫けた状態から、前向きに未来を見れるようになる変化が、爽やかで元気をもらえた。
プロローグとエピローグで志波店長が悪霊に取り憑かれているのは、思わず笑ってしまったけど、取り憑かれている人と一緒に働くのは怖い!バイトの廣瀬くんに同情してしまう。

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2025年03月07日

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あなたは、町田そのこさんにどのような印象を持っているでしょうか?

2021年に「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞。その他にも、”葬儀社は年中無休、二十四時間営業”という天幸社を舞台に人の死を見つめる「ぎょらん」、”捨てた側”と”捨てられた側”それぞれの思いがぶつかり合う先に母と娘の繋がりを描く「星を掬う」など、町田そのこさんというと、社会問題を背景にした極めてシリアスな物語を描く作家さんだという印象があります。

シリアスに展開する物語は読み応えがあります。ニュースなどでも目にすることの多いリアル世界にも起こる社会問題がそこに扱われればさまざまな思いが募りもします。これが、町田そのこさんの何よりもの魅力に繋がっているのだと思います。しかし、人の気持ちはそれだけでは持ちません。人間、ほっと息をつける瞬間も必要だからです。では、そんな瞬間を町田そのこさんに期待してはいけないのでしょうか?町田そのこさんの作品には胃をキリキリさせられる他ないのでしょうか?

さてここに、「コンビニ兄弟4」というシリーズ作品があります。シリーズ累計35万部を売り上げるこの作品。作者の町田そのこさんゆかりの九州の街を舞台にするこの作品。そしてそれは、普段とは異なる町田そのこさんの一面を垣間見るコミカルに展開する物語です。

『ひとりでこんなに美味しいご飯を食べていいんだろうか』と、『下関市唐戸市場の隣にあるウッドデッキに座り』『市場で買ってきたばかりの海鮮丼を口に運』ぶのは主人公の日浦百合(ひうら ゆり)、三十四歳。『これからわたしはひとりで食べるし、ひとりで満喫できるのだ』と思う百合は食事を終え、『対岸の門司港に向かって』走る小船の姿を見て『行くか』と、『小さく呟』きます。『今日から、ひとりで生きていくと決めた』百合は、昨日、『市役所に離婚届を出して、独身の身とな』りました。『お互い、自由に生きよう』と、『夫の輝也から、一ヶ月前に突然申し渡された』百合でしたが、『結婚生活の六年間で蓄えた貯金すべて』を渡され、『家財の中で欲しいものがあれば持っていっていい』など『条件は、悪く』ありません。『住んでいる賃貸マンションは輝也が引き続き住む』こととなり、『門司港から車で十分ほど離れた高台』の『1LDKのマンション』に引っ越すことになった百合。『十二階建ての建物の十階が、これからの百合の部屋になる』と、引っ越してきた百合は、『わたしの、部屋かあ』と『じわじわと興奮してくる』気持ちを抑えられません。『ようし、頑張るぞ』と思い、『今日のところはコンビニご飯』と『車のキーを取っ』た百合。『マンションの近くには二つのコンビニがあったが』『九州にしか展開されていないコンビニチェーン、テンダネスに通うのが、今回の転居の理由のひとつ』という百合は『テンダネス』へと向かいます。そして、『五分ほどの距離にある門司港こがね村店』へとやって来た百合。『必要なものをカゴに入れ…』という先に『レジに向かおうとした百合は、ぴたりと足を止め』ます。『レジカウンターの中に、ピンクのアルパカがいた』という中に混乱していると、『人間店員』がやって来て『それ、脱げって言ったでしょうが!』と『アルパカの頭をすぱんと叩』きます。『酷いなあ、廣瀬くん。ぼくは、本部の指示通りオリジナルキャラクターの宣伝活動に勤しんでいただけなのに』と『頭部を脱いだ』先に『現れたのは、目を瞠るほどの顔立ちの整った男』でした。『申し訳ありません、お客様。こちらは、テンダネスが新しく打ち出したオリジナルキャラクターの「アル・パカッションくん」です…』と説明する男。一方で廣瀬は、『このひとは正真正銘、ただのコンビニ店長で…モデル等ではありません』とフォローします。その後もなんだか『胡散臭い』やり取りをする二人を見て、『こんなキャラ立ちしてるひとがいるなんて…』とお金を払い店を後にした百合。部屋に戻って食事を始めた百合ですが『スマホが震え』『「お母さん」と表示され』ます。『きた。でも、早くない?…だって、離婚したことはまだ言ってない』と戸惑う中『留守番電話に切り替わ』りました。『お父さんがね、また飲み会だって言ってお金持って行ったの…』という内容に『いつもの母の愚痴』だとほっとする百合でしたが、『二週間に一度は実家に顔を出さないと「どうしたの」と連絡が来る』、『早く言わないといけない。でも、怖い…』と『不安だけが忍び込んで』きます。そんな百合は『いつまでわたしはこうなんだろうと思』います。『いつまで、両親の顔色を窺って生きて行かなければいけないんだろう』と思う百合。『幼児のころ』は『両親のことが大好きだった』ものの、『その愛情は段々と、重たくなった』という百合。『気付いたときには、過保護や甘やかしというレベルではなくなっていた』という両親との関係性に悩む百合が、『これからはひとりで生きて行かなければならない』という一歩を歩み出した先の日常が描かれていきます…という最初の短編〈第一話 乾杯のリスタート〉。一人の女性が離婚した場面からスタートする物語に、『アルパカ』の『着ぐるみ』を被ってコンビニ店長・志波を登場させるというこのシリーズらしいコミカルな味わいに魅せられる好編でした。

“百合は大好きだった夫と別れ傷心の一人暮らしを始めるが、門司港で妙に賑うコンビニを発見する。舞人はかつてヒーローになりたかった。自分を見失う彼の元に突如訪れた「テンダネス着ぐるみ」任務。その背後にはとあるコンビニ店員との過去から今に繋がる熱い友情があった。報われるばかりの人生でなくとも、手にすることができる小さな幸せがここにある。北九州・門司港発温かなコンビニ物語第四弾”と内容紹介にうたわれるこの作品。町田そのこさんというと代表作「52ヘルツのクジラたち」をはじめとする社会問題をテーマにしたシリアスな作品群が思い浮かびます。一方で、まるで正反対に振り子が振れるようにコミカルな展開を見せる作品も存在します。それこそが、町田そのこさん唯一のシリーズ作でもある”コンビニ兄弟”です。2020年7月にシリーズ第1作が刊行され、順調に続編が出される中、2024年11月28日に発表されたのが、シリーズ第4作となるこの作品です。シリーズ共通のなんとも雰囲気感のある表紙も素敵なこの作品。では、そんなこの作品の舞台から見ていきましょう。

町田そのこさんというと福岡県京都(みやこ)郡にお住まいでこの作品の舞台となる『門司港』の街に親和性をお持ちの方でもいらっしゃいます。そんな町田そのこさんが描かれる『門司港』の街は基本的にはリアル世界に準拠しているようです。この作品の冒頭には『〜「コンビニ兄弟」の舞台〜』という地図が掲載されています。前作まで特に意識していなかったのですが、今回、Google Mapと並べて比較してみました。これがビックリ!、リアル世界の地図とピッタリ一致します。数多の小説にはさまざまな街が登場し、リアル世界を描いたものも多々ありますが、この町田そのこさんの作品が面白いと思うのはリアル世界を描く中に、『テンダネス門司港こがね村店』という架空の存在が埋め込まれているところです。作品に掲載された地図には、店舗の場所が記されていますが、リアル世界のGoogle Map上ではそこは駐車場のようです。せっかくならここにコンビニを作ったら”聖地巡礼”で人気を博すかも?そんなことも思ってしまいました。一方で、この作品には舞台の『門司港』を描写する表現も登場します。

 ・『イワシ雲が青空を心地よさそうに泳いでいる。視線を下げると、対岸の門司港に向かって小船が走っていく姿があった』。

 ・『日曜日の勝山公園で日課のランニングを終えた舞人は、呼吸を整えながら空を仰いだ』。

 ・『小倉城の方に目を向ける。紅葉には、さすがにまだ早いか』。

登場人物たちのさりげない一瞬に、『門司港』の風景が落とし込まれています。これ見よがしに『門司港』を描写するのではなく、あっさりと、それでいて舞台の『門司港』を垣間見せていく描き方はとても好印象です。一方でそんな物語にシリーズ共通で登場するのがコンビニ店『テンダネス』です。

 『九州にしか展開されていないコンビニチェーン』

そんな風にレア感をもって紹介される『コンビニ』は、もちろんリアル世界に実在するわけではなくあくまで架空の存在ではあります。しかし、前作では、”テンダネスの新商品のバナナフローズンシェイク”が紹介されるなど、コンビニを舞台にした物語を盛り上げるための演出が入るのもこの作品の楽しみのひとつです。そんなこの第4作で作品を盛り上げるのが『テンダネスが新しく打ち出したオリジナルキャラクターの「アル・パカッションくん」』です。『これからグッズも大展開していく予定』という『アルパカ』の着ぐるみを、いきなり、店長が被った姿でレジに立つというシュールな始まりを見せてくれます。初めて訪れた『コンビニ』で、これは恐怖でしかありません。しかし、そんな『アルパカ』の登場はこの場のみの小道具で終わることはありません。続く本編で感動的に再登場してもいくのです。このあたりの構成の上手さは流石の町田さんです。

さて、そんなこの作品ではシリーズ共通で永久不滅の存在であり、キャラクターの濃さでは誰にも負けないであろう店長の志波の存在を欠かすわけにはいきません。

 ● 志波三彦(しば みつひこ)って誰?
  ・『テンダネス門司港こがね村店の名物店長』

  ・『あてらずにはいられない魔性のフェロモンの持ち主』

  ・『志波三彦公式ファンクラブが存在している』

シリーズ第1作を初めて読んだ時にはこの志波三彦の存在が全くもって意味不明でした。そもそも『ただのコンビニ店長』を描くとどうしてこのような話になるんだという違和感もありました。しかし、第4作まで読んできた私にとって、もう志波三彦はこれしかありません。このキョーレツな雰囲気感を纏ってこそのこの作品の『コンビニ店長』だと思います。では、今作の中でそんな志波三彦に初めて接した人たちの驚きを表す描写を見てみましょう。

 『店を出ようとすると数人の若い女性が入ってきた。レジカウンターの中にいる志波を見ると、彼女たちは「志波さ ーー ん!」と華やいだ声を上げた。 「今日もお疲れさまでした。志波さんに会うために今日も頑張って仕事して来たんですぅ!」』

相変わらずキョーレツです。これは何なのでしょうか?あくまで志波三彦は『コンビニ店長』に過ぎないにも関わらずです。もうワンシーンを見てみましょう。

 『耳心地のいい声で言い、ふわりと微笑んでくる。かぐわしい香りの風が吹き寄せてきた気がして、舞人は思わずのけぞった。目の前にいる人間は、ほんとうに人間なのか?おれと同じ肉体構造なのか?』

こちらは、男性が感じた志波三彦の印象です。『ほんとうに人間なのか?』と客に感じさせる『コンビニ店長』ってそもそも何?という気もしますがとにかくこの存在感がすごいです。一方でこのシリーズ共通のお約束ごとがあります。それこそが、この志波三彦に視点が移動しないことです。志波三彦はシリーズのすべての短編に登場しますが、あくまでそれは物語の背景の一部としての登場です。主人公であってもいいはずなのにあくまで脇役の一人という志波三彦。柚木麻子さんの”アッコさんシリーズ”と似たような位置付けのこの演出には、だからこそ何作もシリーズが続けていける側面があるのだと思います。

そんなこのシリーズ第4作は、〈プロローグ〉と〈エピローグ〉に挟まれた三つの短編が連作短編を構成しています。それぞれの短編には主人公となる人物が登場し、短い中にも起承転結をハッキリさせたコミカルでそれでいて町田そのこさんらしくシリアスな側面も併せ持つ物語が展開していきます。

 ・〈第一話 乾杯のリスタート〉: 『今日から、ひとりで生きていくと決めた』と決意を新たにするのは『夫の輝也から、一ヶ月前に突然』『離婚』を『申し渡された』主人公の日浦百合。『1LDKのマンション』へと引っ越した百合ですが、『離婚』したことを両親に話すことができない今を思います。『いつまで、両親の顔色を窺って生きて行かなければいけないんだろう』と、思い悩む百合。そんな百合は『気付いたときには、過保護や甘やかしというレベルではなくなっていた』という両親との関係性を振り返ります。『わたしは親が作った道を親の望んだように歩んできただけだ』と思う百合。

 ・〈第二話 前編 ヒーローになりたかった男〉: 『ひとびとを夢中にさせるヒーローになりたかった』と『子どものころから』『決めていた』のは主人公の秋吉舞人。『しかしヒーローになるための特別な事態は、起きなかった』と『二十四歳になったいま』を思う舞人は『誰かを助けたくて作業療法士になった』ものの『ただの、普通の人間』のまま生きています。そんな舞人は『交際三ヶ月目に突入した河西ナミから』『もう別れたい。無理』という起点の後別れることになりました。そんな出来事から一週間後、『高校時代の友人の高木』から『着ぐるみのバイトをしないかと』誘われます。

 ・〈第三話 後編 ぼくたちの友情と、ヒーロー〉: 『門司中央高校の入学式で、舞人と高木は出会った』と過去を振り返る舞人。『入学後すぐに行われた新入生歓迎スポーツ大会での』連携を機に関係を深めた舞人は、『勉強の仕方、教えてやるよ』と申し出た高木のお陰で成績をぐんぐん向上させるなど高木との繋がりを大切にしていきます。しかし、舞人は高木の『少し変わったところ』が気になりはじめます。『ぴしりと線を引いたように、距離感を保ってくる』高木は、『食事にはとんと興味がないよう』にも見えます。そんな中、舞人と高木の間にある問題が起こります。

このシリーズ第4作には、初めて〈前編〉〈後編〉と二つで一つの物語を構成する物語が含まれています。三つの短編が収録されているとは言え、後半の二つの短編は主人公も同じであり、実質的には短編と中編といった読み心地になるでしょうか?そんな物語はいずれも上記の通り、基本的には『テンダネス』の外の世界を舞台にしています。二人の主人公はそれぞれ『管理栄養士』、『作業療法士』であり、前作のような『テンダネス門司港こがね村店』の店員に光を当てるものではありません。そんな物語では、店長の志波三彦の存在もぐんと奥に引いてしまっています。決して表に大きく登場することはありません。その分、日浦百合と秋吉舞人の物語の存在が際立ちます。特に〈第二話〉と〈第三話〉は、〈前編〉〈後編〉でもある分、じっくりと読ませてくれる物語に仕上がっています。コミカルな短編集だと思ってこの作品を手にした方には、えっ!と驚きをもって読み進めることになる深みがこの作品にはあります。そんな物語で、志波三彦は物語がシリアスになりすぎないように、いわば”ピエロ”のような役回りでさりげなく登場します。シリーズ第4作ならではの安心、安定感のある物語の土台の上に、町田そのこさんらしい読ませる物語が展開するこの作品。今後も続編がさらに続いていくことを予感もさせるサクッと町田そのこさんの世界を味わえる、そんな物語が描かれていました。

 『どうなってるんだ、門司港。キャラが立ちすぎているひとばかりじゃないか』。

そんな言葉を体現する『コンビニ店長』志波三彦が相変わらずの人気の中に登場するこの作品。そこには、シリーズ初めての試みである〈前編〉〈後編〉仕様の作品を含む三つの物語が描かれていました。リアル世界に本当にあるかのように描かれる『テンダネス』の魅力が未だ翳らないこの作品。そんな背景の上に、主人公二人の読ませてくれる物語が展開するこの作品。

あっという間に読み終えてしまう物語の中に、独特な世界観に浸れる時間の喜びを感じた、そんな作品でした。

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

ばかばかしいのだが、やはり面白い。

テンダネスのキャラクター、アル・パカッションの中の人への採用のくだりやデビューイベントでの活躍など、わかっていても心が躍ってしまう。

町田そのこは楽しませ方を心得ている。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ


大好きなコンビニ兄弟シリーズ。
相変わらずおもしろかった❤️
ただもう少しツギくんファンからしたら
ツギくん出てきて欲しかったなー...
と個人的意見笑
けど お話的にはすごくおもしろったです!
ヒーローのお話よかったです♫

また続編楽しみですっ!

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

やっぱり一瞬で読み終わっちゃうほど面白い!
それぞれの話の心情が良いんだよなぁ。
すでに5巻早く出ないかなぁって思う。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

大好きなシリーズ第四弾!
今回も面白かったです。
特に舞人と高木の友情に、舞人の熱い心に最高!となりました。
志波店長、相変わらず初めましての方を魅了する。笑
志波兄弟、みな魅力的すぎないか?!
だって妹さんは高木くんの想い人♡
志波店長の魅力ある存在、私もお会いしてみたい(笑)。

これからも追い続けたい作品です。

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2025年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回も辛い思いをした人がやってくる。
毒親のせいで離婚に至ってしまった女性。ここで素晴らしい新たな生活を送ってほしい。
そしてヒーローになりたかった男とその友人の友情物語もいいっ!なりたかったヒーローとして活躍してほしい。そして二人の友情もずっと続いてほしい。
そんな人々を優しく包むコンビニ&;周囲の人々。本当にいい環境です。

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

待ち焦がれていた『コンビニ兄弟シリーズ』第四弾。

「乾杯のリスタート」
「ヒーローになりたかった男」
「ぼくたちの友情とヒーロー」
三話収録。

終始軽快なタッチで綴られているけれど、毒親を絡めた一話はなんとも切ない。
悲しみを乗り越えた彼女が素敵な居場所に辿り着く事が出来て良かった。

二話と三話は連作形式。
二話を微笑ましく読んでいると、三話で明らかになる真相に涙が込み上げる。
高木を思う舞人の優しさに胸が一杯。

今回、推しのツギ様の出番が少なかったのは残念だけど、北九州・門司港の小さなコンビニに集う人達の温かさに癒される。

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

シリーズ4作目。
子どもの頃から親に束縛されてきた百合の話と、テンダネスの着ぐるみの中の人になることになった舞人の話。
特に舞人の話の第3話が良かった。これは完全にヒーローだわ。自分のためにここまで一生懸命になってくれる友達がいるって、本当に幸せなこと。
大人になってからもその関係性が続いていることに、嬉しくなってしまった。
今回はコンビニ自体やミツ、ツギの出番が少なかったので、次作以降はもうちょっと増えるといいなぁ。

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2025年01月22日

Posted by ブクログ

さら~~~っと読めるけど特に印象に残らない。くすっと笑えるんだけどね。
私はやっぱ日常系よりミステリーの方が好きかも。
シリーズで追ってたけど次は買わないかな。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

四作目ともなると「………」
しかし第二話の「ヒーローになりたかった男」は良かった。なんなら泣けた 笑

高木と舞人の友情に涙した
うん。こういうストーリーは好きだ
高木君の「人生の夏休みを楽しむつもりだよ」という
言葉に、悲しい気持ちなったが「楽しめ!楽しめ!楽しいことはいっぱいあるぞ!」と心の中で呟いた

やっぱり一作目の「コンビニ兄弟」が一番面白かったな、、が独自の感想です!

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

ヒーローになりたかった男は面白い。このまま貫いてほしい。店長とファンクラブの絡みがもう少し欲しかったな。

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

「コンビニ兄弟」だから、ミツとツギをストーリーに絡めて出したような感じがしたくらい、彼らの出番が少なくて寂しい。ツギなんて、赤じいよりも目立たず…。プロローグのドタバタは、その世代の子たちの言葉も意味も分かるけど、表現とテンションがあまりにも若過ぎて、読んでいてちょっと疲れてしまった。
舞人くんの、牛丼特盛を掴んで泣きながら訴える場面。想像するといじらしい。そして泣ける。元カノの舞人を突き放したセリフ群は、血も涙もない冷淡さを感じて苦しくなるが、その苦しさに触れておくことは大人への過渡期には絶対に必要だと思った。その後の舞人と高木にも、続刊で時々会えたらいいな。この作品は、読み進めるうちにそういう「また会いたい」キャラがどんどん増えていく(だから、ミツやツギの出番が減り、存在感が薄れがちになるのかな)。
テンダネスのイートインスペースのようなハートフルな場所があちこちにあれば、「みんな」、もっともっと生きることが楽しく、嬉しくなるのにね。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

このシリーズは続くのなら「今回は、どうなるのかな」と思って読む作品の一つになった。
今回は極端に志波兄弟の出番が減って、店員さんやコンビニに集まって来る人達の物語だった。

店長の三彦が霊に取り憑かれるという設定は、この物語に相応しくないと思うが、除霊のために長男の一彦が少しだけ登場してきた。
オカルトチックな話になるなら読みたくないので、長男が主役の話は無くてもいい。

店長もツギさんも樹恵琉も脇役で登場すればいいので、このシリーズはもう少し続きそうな感じだ。
これで終わりでもいいが、安心して読めて読後感もいい感じなので、また1年後くらいの続編を期待しましょう!

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2025年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連作短篇3篇
前編後編と続いたヒーローを夢見る少年がそのまま大人になった舞人の物語が良かった。また、店長の長男さんがさりげなく登場。店長の除霊何うまくいってこちらも良かった。
志波家の兄弟に興味は尽きない。

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2025年01月27日

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