町田そのこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
クジラは通常40ヘルツ未満の周波数で鳴き交わし、仲間とコミュニケーションをとるという。しかし、この世には52ヘルツという孤独な周波数でしか歌えないクジラが存在し、その声は誰にも届かず、傍を通っても気づかれることはない。そんな切ない逸話になぞらえて、本作では人々の抱える様々な形の孤独が繊細に描かれている。
誰からも愛されず、信じていた人からも引き離され、諦めの中に沈む孤独。愛する者からの否定に苦しみながらも、存在を認めてほしくて心を殺す孤独。あるいは、愛は確かに存在しているのに、ありのままの自分を受け入れてもらえない孤独。形や大きさこそ違えど、どの孤独も、私たちが一度は抱いたことのある痛みではな -
Posted by ブクログ
聞き取れる周波数で伝えられるものだけを、聞くことができる。
聞こうとすれば良いのか、クジラのように生まれた時からそれしか聞こえないのか、わからない。
ひとつだけ分かるのは、伝えなければ伝わらないということ。
わたしはひとりが好きで、ひとりでどう生きるかばっかり考えてしまうけれど、人はひとりでは生きられない。
だからこそ、伝えることを怠ってはならない。
この情報に溢れる社会でも、誰かの伝えたいことを受け止めたいと思えたなら、受け止めていきたい。
貴瑚ちゃんの半生は決して平坦な道のりではなかったし、彼女の未熟さゆえに招いたこともあったかもしれないけれど、それでも「大好きなひとを恐ろしいひとに変 -
Posted by ブクログ
こういう怪異譚みたいなものも書くのだということを感じ、それが面白かった。
冷静に考えたら、私は町田そのこの作品をこれを含め4冊しか読んでいないのだ。でもしょっちゅう本を目にするので勝手にもっと読んでた気になっていた。
ホラーや怨念とか呪術要素と、瑞々しい主人公たちの真っ直ぐな気持ちや行動がアンバランスな気もするし、そういう存在こそが呪いを打ち消す光なんだろうなと思った。
登場人物のキャラクター性であったり、とんとん拍子に捜査が進むところなどがエンタメ的でアニメや映画と相性良さそうだなと思う。
表現方法は違えど現代においてアニメも小説も同じジャンルな気がする。文脈が同じというか。
中高生に読んで -
Posted by ブクログ
これは優しくて心が癒される連作短編集です。町田そのこさんは「倒叙(とうじょ)」という手法を巧みに用い、「呪われた」家に住んだ5つの家族の、いわゆる「不幸」の真相を一層ずつ解き明かしていきます。
世間の目には破綻や敗走に映るものも、実は彼らが人生の泥沼でもがき苦しんだ末に、自分に正直に生きようとした勇敢な選択だったのです。悲しみ、喪失、裏切りといった一見マイナスな経験も、すべてこの家で成長の糧へと変わっていきます。彼らが家を去るのは逃避ではなく、本当に自分に合った新しい生活へと踏み出すためなのです。
「幸福に模範解答などない」――この本はそう気づかせてくれました。社会が求める完璧な期待に応え