町田そのこのレビュー一覧
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古民家をリノベして、囲炉裏のある遺族控室で、家族葬専門の斎場。暖かな炎を囲んで故人を偲んでもらえる、こんな斎場で俺もおくられたいなぁ。
そうだ、もし、俺より先に妻が逝ったら、焼き上がったばかりの妻のお骨をひとつ、そっと掴んで口に入れて、気がふれるまで哭こうと決めた。
古い価値観を脱ぎ捨てられずにいる登場人物に地団駄を踏みながら、こいつわからんやっちゃなぁ、と読み進めたが、俺もその中のひとりで、今を生きていることを言い当てられているようで情けなく、読後は撃沈感も。
もがいて、先が見えず答えなくても前に歩き出していいという、励ましも貰えたかな。
刺さった一文
▪時分の満足する枠のなかに相手を -
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どんなひとでも、人生で、1つや2つ澱のようなものを抱えている。(その澱は、人それぞれであって、独特なものである)実社会では、そのような経験はひた隠しにしながら生きていくものであり、他人の人生の澱に触れる事はなかなかにない。そういう意味では、他人のそれに触れることができる作品でありました。
特にこの作品では、女性、それもある程度大人になった女性を主人公にした5つの短編で構成されているため、男性として読むと、近しいその年代の女性(私で言うと、妻)が腹のうちに抱える毒のようなものを見させられ感じ入ることで、相手に対して思いやれる気持ちが形成された。
ただクジラたちでもそうであったが、ファンタジー要素 -
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迷い、悩む時。
言葉は重さが増す。
“好きなように言えばいい”
そう言えるほど振り切ることはできなくて…
『ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?』
…なんて縁起の悪い話、言葉だろうか。
心に重くのしかかり、黒く暗く塗りつぶしていく。
責任を持たない第三者は事実を面白おかしく主観的に脚色する。
外側から見た時と内側から見た時。
他人から見た時と自分から見た時。
180度見方が変わる。
無責任な人の言葉に心を踏みにじられないで。
形骸的な言葉に負けないで。
自分が感じることに素直に生きて、言葉にする。
そして放す〈はなす〉。
ここは私が感じる『幸せの家』な -
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小さな町の廃校が決まった小学校。
最後の秋祭りに集まった人たちの連作短編集。
結構好きでした!!
それぞれの登場人物たちにはあまり惹かれなかったのだけど、校舎やそれにまつわる過去の思い出、ドヴォルザークの「家路」。
そんな小説全体の空気感が好き。
自分も夕方、校舎の窓から秋祭りの風景を眺めながら「家路」を聞いているように心持ちになりました。
ただ、登場人物の区別がつきづらい。
話数が進むたびに、前話でどんな風に見られている人だったかを読み返す必要がありました。
一番癖が強くてイラッとさせられる杏奈視点の話も読んでみたかった。
しかし終始魅力的に描かれていたこうちゃんが、最終話であんなこと -
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ネタバレ一つの家(建物)に住んだ色んな人々の物語。
どんどん過去に遡っていくことで、不幸の家と呼ばれた家のルーツが解き明かされて行き、また各章に前の住人について出てくるため、章は分かれているが一つの物語として楽しむことができた。
物語を通して、周りから見える姿と当人たちの気持ちには大きな乖離があり、自分が幸せと感じるなら、周りの目を気にする必要も周りからの評価も関係ないんだなと感じました。
1章に出てきた譲と最終章のゆずくんが繋がっているのに、伏線としてとても感激しました。
不幸の家なのに過去の住人が笑顔で帰ってくるわけがない。もし自分が笑顔で過去を振り返れるなら自分は幸せものなんだなと思いました。 -
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海を見下ろす住宅地の「うつくしが丘」にある、築25年の3階建一軒家を舞台とした5つの家族の短編ストーリー。
この家はなぜか「不幸の家」と呼ばれている。
なぜ不幸の家と呼ばれているのか。本当に不幸の家なのか。
この家で暮らした家族を遡り、不幸の家と呼ばれるに至った理由を紐解いていく。
住まう家族の形は様々で、美容院を営む夫婦、大学受験を控えた長男のいる4人家族、行く場を失った女性とシングルマザー、不妊治療に苦しむ夫婦、家に執着する女性と交際相手のシングルファザー。
どの形も悩みを抱いているけれど、側からは見えない幸せを見つけて「不幸の家」を後にして未来を歩んでいる。
次の章では前の住人の暮ら -
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ネタバレ捨てられた娘と捨てた母の物語。
元夫のDVから逃れられない千鶴。自分を捨てた母と再会する機会ができ、それをきっかけに母親の所有するシェアハウスに逃げることになります。
自分の不幸は母親のせいだと思っていた千鶴。
「不幸を親のせいにしていいのは、せいぜい未成年の間だけだ」と言われ、ハッとします。
自分が不幸のどん底にいると、つい、自分だけが不幸で世の中は不平等だと思ってしまいます。でも、周りをよく見ると、気付くことはたくさんあります。
親子だって別々の人間。
一見身勝手な母親でも、母親側の気持ちを読めば、その気持ちも痛いほどわかります。
娘には自分の人生を生きていってほしい。
自分の母のこ