町田そのこのレビュー一覧
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ネタバレ途中までは★5だけど、弥一と岡崎が出てきたことでショックすぎて★4にしました。電車の中でちょっと泣きました。
登場人物それぞれ糸が絡み合ってる状態を、ちゃんと時間をかけて話してやっと誤解が解けていく。でもそこまでがなかなかプライドとか気持ちとか色んな事が交差して難しくて、上手くいかなかったりもする。リアルでなかなか苦しい物語でした。
美保はやる事も発言も幼稚すぎてイライラしたし、彩子さんも言えないならいっそ美保を追い出しなよと思ったりもして、あれだけ皆に失礼な態度取っておいて散々振り回しといて甘えたいとか何を言っているの?自業自得だよねと腹立たしさも感じたり⋯。
聖子が最後子供たちを守る姿も本当に辛かったです。辛すぎて生きていて欲しくて読む手が止まらなかった。
そして認知症のリアル。勉強になりました。まだ認知症が身内にはいないが他人事ではない。現実を見せられたような感じです。これを私は出来る気がしないなというのが正直な所。
DV被害者の心境も私には想像がつかなかったのでこういう風に精神的に追い詰められるのか、こういった影響が出てくるんだと知ることが出来ました。
小説は色んな事や感情を教えてくれる。
やっぱり面白いなと改めて感じた小説でした。 -
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七十八で生き甲斐を見つけオシャレを始めた満江。
孫の高校生、詩乃は失恋をしたばかり。
何の取り柄もないと思う大学生の太郎。このコンビニでバイトをしているが、ある日、志波兄弟からご飯に誘われる。
中学の時カースト上位で女王だった美月。大事な親友と別れ、高校生となったが上辺だけの友人関係でモヤモヤした毎日。あるキッカケで中学の時と逆にいじめられる立場になった。そんな時に手を差し伸べてくれたのがクラスで浮いた存在の志摩。
少し非現実でリアリティに欠ける所もありますがそれが素敵な世界を演出して個人的にはありだと思っています。
特に前作では嫌な奴だった美月が逆の立場で登場したのは良かった。ラストも彼女の成長が見えたのも素晴らしかった。
前作で登場した梓も素敵に成長しているのが見えて嬉しかった。
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章ごとに違う人物の話に移り変わりながら、物語が進んでいく。視点は違っても、色々な部分で繋がりがあって、面白かった。
さすがにみんなすぐ人殺しすぎじゃない?この町殺人事件(未遂も含め)起こりすぎじゃない?とは思うけど、どの人物もそれぞれの苦悩を抱えていて、殺人を肯定はできないけど同情はする、複雑な気持ち。
あとは町全体として事件起こりすぎなので、噂話してるだけじゃなくて、ふつーに組織的に対策すべきでは?と現実的に考えてしまったw
環境の改善とか、助けを求める人が手を伸ばせる機関を用意すべきだなと思った。
それを個人で実行した正道はすごい。(可憐を救ったこと、NPOに就職したこと)
隆之と正道は血は繋がっていないけど本当によく似ていて、自分の経験した苦悩を単に恨むのではなく、感謝できる部分を見つけ、他の人を救おうと思えることが精神面でとても強いと思う。
正道の名付けエピソードはとてもよかった。 -
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ネタバレ毎度のことながら初見のファンタジーを読むのには勇気がいる。世界観説明の段階でダルくなって投げ出す未来が脳裏をよぎるからだ。結局その不安は杞憂でしかなかったわけだけど。
まだ上巻なので多くは語れないけど、ティーンが好みそうな立場の違いによる叶わぬ恋、ミステリー好きが好みそうな度重なる事件とその謎。この時点で私の心は掴まれた。
恋愛については正直どうでもいいとは思いつつも最終的にどういう形に収まるのか野次馬的な好奇心は拭えない。
一方で、物語の主軸であるヒロインの誘拐事件の謎も深まるばかりで迷探偵であるこの私の血が騒がないわけがない。
そんな中でまたもや起こる王女殺害事件。こんなのもうミステリー小説じゃん。
一度で二度美味しい。続きが早く読みたい。わたし、気になります! -
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大恋愛の話だった、と思う
平さんの波乱万丈な人生の中で、ずっと本当にいちばん大切にしたかった人は変わってなかったんだろうな、でもタイミングがうまく合わない、すれ違い、そういうもので思いが伝えられなかったりする。
でも、自分が大事にしたい対象が分かっていて、その人を思いながら生きていれば、いつか回り回ってその思いが届くこともあるのかもしれない。
”理解に深さを求めるなら、向き合って詳らかにしなくてはいけない”
そうだよなあこれが一番難しい
あとやっぱ噂話とか、人から聞いた話とか、そんなものが1番信用ならないな、酷い言われようだった平さんがこんなに素敵な人だったんだもの
罪悪感に苛まれて自分の人生を自分のものとして生きられない人をただ見ることしかできないのは辛いよね、、と思ったりした -
Posted by ブクログ
ネタバレ解説
・町田そのこさん。WEB本の雑誌の連載「作者の読書道」でのインタービュー : 「私、読み終えた後に「明日も頑張ろう」って思ってもらえるものを書く、というのが原点なんですよ。私が氷室冴子さんの本でいただいたものを、自分の本で誰かにお返ししたい、とまで言うのはおこがましいかもしれないですけど、私の本を読んだ後に「明日も、ちょっとだけでも頑張ろう」って思ってもらえたら。
・町田作品には本屋大賞受賞作「52ヘルツのクジラたち』や「星を掬う』のような必涙作品もあれば、『コンビニ兄弟』のようなコミカルで笑わせる小説もあるが、どの作品にも共通点がある。ひとつは、時に今この社会のどこかで誰かが実際に体験しているような厳しい現実が盛り込まれること、もうひとつは、そんな現実と向き合う姿を描いて、最後には必ず読者の背中を押してくれること。本作もまた、間違いなくそんな一作なのである。
〜読んでて元気をもらった、心が温かくなったところ〜
第一章 終わりの家
・「もしかしてと想像を巡らすのはとても楽しい遊びだけれど、わたしは面白い空想で楽しみたいものだわ。種を明かせば、とても他愛ないことなのよ。枇杷の薬効を求めて、病人が訪ねてくる。薬を自宅の庭にも欲しいと思って種を植えても、枇杷の成長は早くて十三年。その間に死ぬ人も出てくるでしょう?そういうことよ」「たった、それだけですか」
美保理は思わず、呆れた、と声に出した。言い方ひとつの問題ではないか。
「たったそれだけ。そういうことって意外と多いのよねぇ。一生乗り越えられないだろうと思ってた問題だって、あるとき急にぱっと拓けたように解決することだってある。それって見る角度とか自分の心持ちとか、こんなことで?って笑えちゃうような比細な理由だったりするの。この年になっても、いちいち驚いちゃうのよねえ」
・「やっぱり。椋本さんって、舌の教育を受けていない方なのよね。分かりやすくて濃い味を大量に食べることが何より素晴らしいと思ってる。たくさんの手間と食材を使った料理を味わって、その料理にどんなドラマがあったのか、どんな技巧が凝らされたのか、そんな風に料理を楽しむことを、可哀相なことに教わってないのよ」
本当に、残念な方なの、と信子は心底隣れむように言った。舌に載せるものを吟味する、ってことができないのよねえ。
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「誰にどんな事情があるのか、どんな理由でそうしたのか、そんなことは簡単に分かるものじゃないのよ。自分がまずたくさん経験すること、そして何度となく想像を巡らすことでようやく、真実の近くまで辿り着くことができるの。それを怠ってる人に、そういう適当なことを吹聴されたくないわ!」
だからあの人って嫌い!子どものように言い放って、信子は唇を尖らせた。
「じゃあ、『不幸の家』って、嘘ですか?」
倉子のあまりの変わりように失念しかけていたけれど、大事なことだ。美保理がおずおずと訊くと、倉子は少し考えた後に「少なくとも、わたしはそんな不愉快な呼び名は知らないわ」と苦々しげに言った。
「枇杷と一緒よ。強い言葉ばかり独り歩きしたのね」
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「それにねえ、あなたはしあわせがどうこう言うけれど、しあわせなんて人から貰ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作りあげたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんて、もったいないわよ」
「いつだって自分・・・・」
第四章 夢喰いの家
・「いいきっかけにはなったと思う。幸太郎と、新しい模様の紐を編んでいけるもの」「はあ、ヒモ、ですか?」
意味が分からなくて首を傾げると、信子が腰に巻いた飾り紐を摘んでみせる。
「これと同じってこと。ひととひととの繋がりって、一本の糸じゃないのよ。いろんな縁が交差して絡み合って、独自の模様を作りながら太くなっていくの。わたしは今日、幸太郎と新しい思いを繋ぐことができたと思うの」
するりと紐を解いて、信子は忠清に手渡す。色味のうつくしい組紐は、間近で見ればずいぶん使い古されているのがわかった。色が褪せている箇所もあれば、切れている箇所もある。けれど、組み上がった紐は強い。「夫からの贈り物なの」と信子が笑う。
「幸太郎と思うような関係が築けなくて苦しんだ時期があったのよ。わたしは幸太郎の産みの母ではないでしょう。どうやって母子の関係を築いていけばいいんだろう。そもそも、そんなことできるのかしら......。わたしは本当に勝手でね、自分のせいで複雑な関係になったというのに、その扱いに困って夫に泣きついたのよ」
容子に幸太郎を返すべきなのか、それとも自分がいなくなればいいのか。泣く妻に夫は、ー本の組紐を渡した。
「繋がりなんてのは、最初は細く頼りないものなんだ。一本一本糸を手繰り寄せ、それを組み上げながら太く確かなものにしていく。幸太郎との繋がりの糸を探しなさい。全く無い、なんてことはないはずだよ。あのひとはそう言ったのよ」どんな此細なことでもいい。これも、あれも、と糸を見つけては自分の中で紐を編んでいった。編まれていく紐を思い浮かべるだけで気持ちが落ち着いた、と信子は穏やかに言う。
「わたしはいまも、幸太郎との紐を編んでいるの。きっと、一生をかけて編み続けるんだと思う。今日みたいに悩むこともあるけど、でもその分だけ紐が強くなるんだってじてる」忠清は、手の中の紐を見る。
「あなたたちも、そうよ。自分たちなりの糸で、自分たちだけの紐を編み続けていく。それが、一緒に生きていく、ということだと思うのよ」
あるだろうか。蝶子と、自分との間にまだ編める糸はあるだろうか。太い繋がりに変えることは、まだできるだろうか。
顔を上げると、倉子は恥ずかしそうに「偉そうにごめんなさい」と言う。こんなこと言えるほど幸太郎と上手くいっていないのにね。年寄りのおせっかいだと、思ってちょうだいな。
「いえ・・・・・・ありがとうございます」
ふたりでもう一度やり直すことができるだろうか。紐を握りしめて、忠清はじっと考えた。
エピローグ
・「すみません、怪しいですよね。実はオレ、以前ここに住んでいたんです」男は頭を下げ、昔住んでいた家を見てみたくて来ました、と微笑む。
「外からも見えましたが、裏庭の枇杷の木、驚くほど大きくなりましたね。嬉しいなあ」美保理は笑みを作って、「いつごろ、ここに?」と訊く。
「二十四年前です。まだこのあたりは開発途中で、空き地ばかりでしたよ。バス停留所の前は畑しかなかったのに、コンビニやカフェができていて驚きました。ずいぶんお洒落になったもんだ」
「そんなに前なんですか。あ、もしかして、一番最初の居住者さんかしら」男は「たぶん」とはにかむ。
「実は枇杷を植えたのも、オレなんです。あの当時友達だった奴が苗をくれたんですよ。大きくなったら一緒に実を食べよう、って」
「へえ。枇杷」
譲も、桃杷が好物だ。そして二十四年前あたり、譲もここにいたはずだ。確か、夏休みだけだと言ってたっけ。
「少し裏庭を見せてもらっても構いませんか?あの枇杷には、思い入れがあって」美保理が頷くと、「ありがとうございます」と頭を下げて店を出て行った。
やっぱりあれ、嘘だったのね。しみじみと、美保理は思う。この家に住み始めたとき、ここは『不幸の家』と呼ばれていると聞いた。倍子がそんなことはないと断言してくれたお蔭で気にしないようにしてこられたが、やはりあれは嘘だったようだ。今の男性は嬉しそうに笑っていたではないか。不幸になる家であれば、笑って戻ってくる住人がいるはずがない。
「お待たせ。お茶請けはパウンドケーキでいいよね・・・・・・どうかしたの?」降りてきた譲が、ぼうっと立っている美保理を見て首を傾げる。美保理は譲に、今、裏庭にいるはずの男の話をした。
「あの枇杷の木を植えた?」
譲は驚いた声を上げつつ、何だか微妙な顔をしている。どうかしたのと訊けば、「何か、このへんがもやっとしたんだよね」と胸のあたりを撫でて曖昧に言う。
「というより、枇杷の苗っていうのにひっかかるものがあったっていうか」まあいいや、と譲は頭を掻き、「裏庭にいるんだね。様子を見てくるよ」と言った。
「変な感じの人じゃなかったけど、念のためにお願い」譲が外に出て行くのを、見送った。
数分後、裏庭で笑い声がおきた。
解説
・家族の形も含め、人間関係はそれぞれが独自のもの。それは、他の事柄に関しても言えるだろう。たとえば、どんな場所に住み、どんなふうに暮らしていくかもまた、紐を一本一本手繰り寄せるように個人個人がひとつずつ選んで編みだしていくものだ。うまくいかない時、編み続けようとする努力は大切だが、どうしてもそぐわない時は手繰り寄せた紐を手放す勇気も必要だと、本作は教えてくれている。作中、断ち切られる関係も描かれるし、そしてなによりこれは、一度はここに住むと決めた家を出ていく人たちの物語なのだから。
著者が主人公たちの暮らす場所を丁寧に描くのは、それがいつも、居場所を探す人たちの物語だからだろう。本作でも他の作品でも、人々は、時には途中で居場所を変えて、自分がどこでどのように暮らしていくのか決めていく。