市川春子のレビュー一覧
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ネタバレフォスフォフィライトは本当に幸せだったのだろうか。それだけが読者の、私の問い。
役割を持たなかった宝石が、奔走し、誰が為に戦い、結局を何を得られたのか。彼は利用されただけだったのではないか。
宝石たちが月でありのままに生きていた間、地上では1万年もの時を1人でじっと待つフォスフォフィライト。最期に月人たち、かつての宝石たちは彼に祈りを乞う。誰かの為になりたかった彼は、誰かの為になれたのだと思う。けれど、誰かに愛されたかっただけと気付いた彼は本当に幸せだったのだろうか。
人間がいなくなった地上には、純粋な知的生命体の石が生まれる。彼らと日々を過ごし、人間を語る神となったフォスは純粋な生を楽しんで -
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ネタバレ『宝石の国』完結巻。
ページを開いてすぐ、すかすかになってしまった登場人物紹介コーナーの空白が悲しい、と思ったけれど、読み始めてみると予想とは違い、呆れるほど穏やかで美しい最終巻だった。
神となったフォスは、人間の影響が宇宙に残ることを忌避しているけれど、「人間を内包していない」生命体への愛と期待は、言い換えるなら自意識の「かる」さへの憧れとも読める。今巻の冒頭で、フォスが初めて自らの持っていた望み(「誰からも愛されたい」)を自覚するけれど、数十億年スパンの物語であり、数々の死闘と決別、絶望を繰り返したハードな物語でありながらも、結局、フォス自身はシンプルに自意識に苦しめられてきたキャラクタ -
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ネタバレ「25時のバカンス」美しくて美しくて、市川先生の描く海が本当に好きです。最後に乙女さんが戻ってきてくれてよかった……。眼球を割れた脚から取り出すところで2人とも赤面してるのが可愛くて…
「パンドラにて」最後の展開が置いてけぼりな感じでした。これはまた読み直したいです。役目を終えてもまた次の役目を負う。形を変えて。
「月の葬式」これはまた市川先生らしい、リモコンって月を破壊する装置だったんですね。それを自分から捨てたという。月を破壊する見開きの描写がまた美しい。
市川先生のお話って、場面の切り替わりが、かなりわかりにくいんですよね。セリフも説明的なものではない。そこが、人なのに人じゃない感じのお -
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ネタバレ曲線が多いのでふわふわして見える。
人物の書き込みが少ない。それになんかシャープで洗練された、骨って感じの書き方でなんかかっこいい。いい意味で人間味を感じないというか。
筋肉とか自然物の描写が細かくて人物画とのギャップで謎のリアリティ?世界観?が生まれている気がする。
筋骨隆々って感じの男の人が出てこないのはなんでだろう。タイプじゃないのかな。セーラームーンとか少女漫画に出てきそうなくらい華奢な人物しかいない
個人的にはヴァイオライトが好き。
雷の化身的なにかが脆い人間を哀れに思って助けようとするけど、結局主人公はそれの輝きで焦げちゃうってオチ。
けっこうシビアな内容なのに会話がコ