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全96ページの豪華詩集付き特装版。 金剛の兄機が紡ぐイラスト付きの詩集です。 イラスト、デザイン、テキスト、冊子の仕様決定は すべて作者が手掛けています。 ひとり地上に残されていた主人公・フォスフォフィライトのもとに、人間を祖とする月人たちがやってきた。フォスは祈り、月人たちは無に帰したとされる。さらに途方もない年月が過ぎたのち、フォスは新たな岩石生命体と出会い、幸福を感じるようになるがーー。強くてもろくて美しい、宝石たちの物語、完結。
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Posted by ブクログ
最高のラストでした。ありがとう、大好きです。大人になってから読んだ漫画の中で、いちばん心揺さぶられた作品でした。 フォスフォフィライトの、とても言葉では言い表せないほどのつらい経験が、このようなかたちで昇華されたことに救われました。全く先の読めないストーリー、諸行無常に変化し続けるキャラクターたち...続きを読む、主人公という概念に対する挑戦、洗練されたデザインの建築や衣装、ユーモアのある台詞まわし、書き出せばきりがありませんが、唯一無二の世界観に魅了されっぱなしでした。フォスの物語が終わってしまったことには寂しさを感じますが、円環の繰り返しだと思えば心の安寧が得られます。 カフカ的な不条理がなぜここまで主人公に降りかかるのか疑問でしたが、12巻で「すべてこのための物語だったのか」と頭を殴られたような衝撃と共に深く納得。さらに最終巻の13巻によって、世界の総括がなされ、救いもあり、また幸せそうなフォスフォフィライトに会えて、胸がいっぱいでした。「遊びをせんとや生まれけん」でしょうか、ここまで頑張ったのだから、たくさん遊んでほしいです。 特装版の付録も世界観を補強してくれる素晴らしいものでした。宮沢賢治の詩集と一緒に並べたい。 市川春子先生、長い間おつかれさまでした。素晴らしい作品を本当に本当にありがとうございました。
一巻から最終巻まで、読み終わるまでに時間がかかった。 この世界に入り込み、物語を理解しながら読むには集中力が必要で、絵の美しさでサラサラ流れで読んでしまうと、いまいち没入できず次の巻はまた今度読もうとなり、その時には一つ前の話がぼんやりしてしまっていた。 最後まで読み終え 上手く表現できないが、圧...続きを読む倒的な何かを知ってしまったような感覚。 なんとも言えない後味と余韻があって 一巻から読み直し。
あまりに永い歳月を紡いだ物語。 この最終巻が最も今の人間が描かれていたのではと思ったりしたけど、ホントにそうなのかは分からない。フォスの最期を見届けることができて良かった。
この浮世との折り合いをつけるにはどうしたら……と日々考えているなか、仏教をちょろっと学んだ者として合点の行く、容赦なく心に響く物語だった。人生の一冊です。いろいろあったが最後には本当に「ありがとう……」しか言えなかった。何かが軽くなった。 読後の感覚が火の鳥読んだ時と似ている。 SF大賞おめでとうご...続きを読むざいます! 兄機の詩集に揺さぶられまくっている 紙で欲しくなっちゃった 買わなきゃ
フォスフォフィライトは本当に幸せだったのだろうか。それだけが読者の、私の問い。 役割を持たなかった宝石が、奔走し、誰が為に戦い、結局を何を得られたのか。彼は利用されただけだったのではないか。 宝石たちが月でありのままに生きていた間、地上では1万年もの時を1人でじっと待つフォスフォフィライト。最期に月...続きを読む人たち、かつての宝石たちは彼に祈りを乞う。誰かの為になりたかった彼は、誰かの為になれたのだと思う。けれど、誰かに愛されたかっただけと気付いた彼は本当に幸せだったのだろうか。 人間がいなくなった地上には、純粋な知的生命体の石が生まれる。彼らと日々を過ごし、人間を語る神となったフォスは純粋な生を楽しんでいるように見えた。かつて人間を反故にしたコンピュータと出会い、まだ自分の中に人間が住まうことを恐れた彼は破滅する星に残ることを選ぶ。それでも、純粋に生きたかったフォスフォフィライト本体を連れ出したコンピュータは楽園へと辿り着く。そこではフォスをはじめとする石たちが、原初の動植物たちと優しい時間を過ごす。そしていつかコンピュータは息絶え、コツンと石に当たり砕けた彼の破片はどこかの星にいる孤独な石を照らす。 孤独だった彼は幸せになれたのだろうか、誰かが彼のために想い祈ってくれたのだろうか。
『宝石の国』完結巻。 ページを開いてすぐ、すかすかになってしまった登場人物紹介コーナーの空白が悲しい、と思ったけれど、読み始めてみると予想とは違い、呆れるほど穏やかで美しい最終巻だった。 神となったフォスは、人間の影響が宇宙に残ることを忌避しているけれど、「人間を内包していない」生命体への愛と期待...続きを読むは、言い換えるなら自意識の「かる」さへの憧れとも読める。今巻の冒頭で、フォスが初めて自らの持っていた望み(「誰からも愛されたい」)を自覚するけれど、数十億年スパンの物語であり、数々の死闘と決別、絶望を繰り返したハードな物語でありながらも、結局、フォス自身はシンプルに自意識に苦しめられてきたキャラクターであると言えるのかもしれない。 他者や他者からの評価を求める欲望、その「重さ」から離れたい、というのが主題と言えば、随分こじんまりとした話だけれど、そう読めるとしたならば、岩石生命体たちの会話でしめられる最後はすっきりと爽やかで軽やかな読み心地だった。 特装版の詩集、『無機物の意思受容』も発想が本編とリンクしていて面白い。ただ、最終ページの水色の石は誰なのだろう。単にひとつだけ色味のある石があったというだけなのかもしれないけれど、フォスの欠片が話した言葉だとしたらいいな、とそんなふうに思わされる。
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