椹野道流のレビュー一覧
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購入済み
安定のシリーズ
いくつもシリーズものがある速筆多才の作家だが、流石に熟知の専門職ものだけあって、雰囲気に借り物感がないのが良い。
同時に、長年の従事の中から感じ取ったであろう感触がテーマとなっていること、これに敢えて東洋格言・禅公案から採取した表題を付していることも、「死の不可思議」との遭遇~すれ違い感の醸成に向いていると思う。
人物造形はお手の物だし、表層の言語活動と深層の心理の距離感を示す独話と会話が、敢えて描写のおどろおどろしさを相殺す専門の日常」の描写に成功していることも熟達の筆致のなせる技。
ただし、プロット構成はこの作家にしては単純ないし簡素で、ミステリーとしてはシンプル、だから読みやすいと -
Posted by ブクログ
文庫本の裏表紙の説明に『家族の絆に涙が溢れる第19弾!』と書いてあって、え~、泣けるって書いてあるとかえって構えて泣くもんかと思っちゃうなあと感じつつ読んだ。結果、一番じーんとする場面でロイドの奇妙な泣き声にコケッとなった。もう~。
印象に残ったのは、夏神さんの師匠船倉さんが話したという「罪も恩も天下の周り物」という話。自分が辛く悲しい経験をし、罪の意識を感じている時には、償いや恩返しを世間様に返すように、誠実に一生懸命に生きることがいつかは回り回って伝えたい人に伝わるということ。昔はこういう話をおじいちゃんやおばあちゃんが良くしてくれたなあと思う。
海里兄弟の絆を深めることになった方位磁石と -
ネタバレ 購入済み
素敵!
何て素敵な、祖母姫(お姫様の様な、おばぁさま)との、ロンドン旅行の想い出!80歳を過ぎて、認知症も、まあまあ進んでいて、頑固でわがままという祖母を連れて、お姫様の様な旅行をしたいという彼女の夢を叶えるべく奮闘する孫と、それを助ける周りの人達(一流のCAさんだったり、一流ホテルのドアマンや、専属のバトラーだったり)が、とても素敵で、感動してしまった。
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Posted by ブクログ
このシリーズも17冊目になり、なんだか味わいが深まってきたなあと思った。夏神と海里とロイド、海里と李英、倉持夫妻と海里、それぞれの人間関係の深まりを感じた。海里と李英は先輩後輩という少し距離のある関係から、お互いの嫌な部分も含めて理解が深まり、いいライバルのような関係になった。倉持夫妻と海里は、倉持夫妻が息子を亡くしているという悲しい過去に今まで触れることができないでいたけれど、今回の出来事を通して、息子さんの死による痛みをずっと抱えて生きていかなければいけない二人の傷口にそっと手を添えることができた。苦しい、くやしい、悲しい、腹立たしいといった負の感情を見せられる相手ってなかなかいないものだ