酒井昭伸のレビュー一覧
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【伝説とはいかにして生まれるか】
三部作を通じて独特のSFと宗教が入り交じった世界が作品いっぱいに広がる。
主人公ポールがいかにして砂の惑星から人々の信仰対象になって銀河を牛耳っていくのか。
作者の頭の中で考え出された緻密な世界が最初から最後までいっぱい。
設定を考え活かすのにどれだけの歳月を費やしたのだろうか。
映画化され有名になった本作。私も映画から入った。
映画では大筋を捉えているが細かいところまで説明しているとキリがない。いい感じに映像とセリフだけで本作を表現している。
土地名や惑星名、役職や原理などは下巻に載っているので全てを掌握しながらお話を読むのであれば2周することをオススメした -
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Posted by ブクログ
あー、「銀河帝国」の続編か。読んでねー。
と思って引いたんだが、「銀河帝国の崩壊」の、作者自炊完成版と言ったところだったのか。
アーサーCクラークは、名作2001年がイマイチと感じたこともあって敬遠していたのだが、面白かった。
全体に古い。だって、1950年代だもんな。
どこかで見たよなあってのも逆で、この辺の大家のアイデアを、昨今の作品が取り入れていると言うか、二番三番煎じで、どうオリジナリティを出すのかってのが、相場だろう。
かつて銀河中に覇を唱えた銀河帝国が崩壊して、地球に閉じこもって数十億年。
コンピュータによる完全管理社会と、仕組まれた異分子はマトリックス彷彿だが、仮想現実では -
Posted by ブクログ
スケールも設定も壮大なのに話としてまとまっているのが凄いなと感じた。
何百億年という歳月で起こる宇宙規模の変化に、ダイアスパーという不死を実現させた超科学のユートピア…。
主人公アルヴィンの冒険譚としてもとても面白く、たくさんのロマンが詰まってるなと感じた。
特に好きだった描写は人間のいない惑星で植物が独自の進化を遂げている描写が凄く禍々しくて想像が膨らんでわくわくした。
また、子どもほどの精神年齢の知的生命体ヴァナモンドも印象に残った。
「幼年期の終わり」でもそうだったが、クラークは幼稚な知的生命体描くのが上手だなと思った。
あと訳者のセンスなのかとても文章が読みやすい。 -
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デューン初期三部作の第二部。
第一部の広大な世界観や英雄譚は鳴りをひそめ、権謀術数の渦巻く淡々とした展開が続くばかり。冒頭の著者ご子息による前書きのせいもあり(正直、あの前書きはいらなかったなぁ。。)、なんだか読むモチベーションが上がらず、上巻は割りと読むのがキツかったです。ただ、下巻に入ってからは、鬱々とした雰囲気こそ変わりませんが、話がトントンと進んでいき、終盤の手に汗握る展開には、流石!と感嘆するばかり。
予知とは運命のようなもの。望まない予知、逃れられない運命に悩むポールの苦悩や計り知れず。しかし、最後にみた予知と異なる出来事は、ある意味ではポールの役割に終止符を打ちましたが、彼を運 -
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映画化もされている「デューン 砂の惑星」最初のシリーズが展開があり、世界観に惹き込まれる要素がたくさんあって面白かった分、その続編である「砂漠の救世主」上巻は、帝座についた主人公ポールの葛藤、ポールに対し謀をめぐらす関係者たちの会話や心情など展開はゆっくりでそれぞれの心情や状況にフォーカスをあてている。
ポール側にとっての行く末が明るくないことへの描写も多く少し暗い。前作のほうが変な高揚感があって読む手が止まらない感覚があった。
しかし前作でまだ生まれていなかったアリア(ポールの妹)が出てくること、そして思い出のダンカンが偶人(クローンという理解でいいのだろうか)として出てくること、前作で -
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ネタバレハイペリオンシリーズは、最近出会った中では珍しく最初だけ面白い尻窄み作品に該当しない作品のようだ。
レビューで絶賛されているのに釣られつい大人買いしてしまい、最初は良くても巻が進むにつれ面白さが減っていき大人買いを後悔する、というパターンが続いていたので嬉しい限り。
『ハイペリオン』の続編。と言うより、『ハイペリオンの没落』でもって初めて物語が完結するので、実質一作品だ。
『ハイペリオン』は巡礼者が一人一人物語を語るオムニバスのような作りだったが、本作ではそれをベースに前作では背景だった現在の時間軸でのストーリーが大きく動き出す。
『ハイペリオン』で別々に語られた物語が同じ世界の中で重なり合 -
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DUNE 砂の惑星の続編上巻。冒頭にいきなり作者の息子さんの言い訳的な解説文が入っていて面食らった。発表当初(1969年!)、この続編は英雄譚を望むファンの期待を裏切って大批判を浴びたそうだ。が、ちゃんと読んだらそんなに悪いもんではないんですよ、と息子が言っているわけだ。
実際読んでみると、息子の序文は全くの蛇足であるとわかるのだけど、確かにポール・ムアディップの帝位継承から12年後の物語は、帝位をめぐる権謀術数が主な場面であり、ほぼほぼ密室で会話する人々の裏の読み合いでページが埋められていて、映画で言えば5分くらいではないかと思われるシーンに、上巻の1/5くらいが使われる心の中の声のしつこい