出口治明のレビュー一覧
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単に歴史的な事実をなぞるのなら、高校世界史の教科書や参考書でも事足りる。それはある時代に起きていた事実を「点」として捉えるということだろう。だから、教科書に書かれている歴史は、つまらないし、退屈で、本当に知りたいことが書かれていない。
歴史とは、全世界(地球規模と言ってもいい)で起きていた出来事とそれらの関係性が網羅され、例えばある時代にヨーロッパで起きた歴史的な出来事が、同時代の、あるいはその後の中国やアジアにどのような影響を与えたのかという関連を知ることだと考えていた。だからそうした本を読んでみたかった。そして、ようやくその希望を叶えてくれた一冊に巡り会ったのである。ゆえに、この本との出会 -
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かつて「歴史」という「教科」は、ただ歴史的事実を直線的になぞり、いつどこで何が起きたのかを記憶するという意味で、極めて無味乾燥なつまらないものでした。そもそも「記憶」する意味や理由が、まったく理解できません。つまり、歴史を学ぶことの意義を理解しないまま、ただやみくもに教科書の記述を憶えるだけのものであったと思います。
ということは、本書を読んで、大げさに言えば「初めて」歴史を学ぶことの意義を、少なくともその楽しさを知ることができたと言えるでしょう。
歴史とは、ただ直線的に過去に起きた出来事をなぞるものではありませんでした。歴史的事実が発生するのには、すべてその理由が存在します。同時に、ある出来 -
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私はこの本で初めて出口治明先生を知り、大ファンになった。
よく行く書店でふとこの本が目について、手にとってみたら、『西遊記』が成立した背景や中国の歴史から書かれていて、すごく興味がそそられたので購入。
日々なんとなくパラパラめくっていたけど、今回ちゃんと全部通して読んだ。
素晴らしいです。
出口先生、尊敬してやみません。
経歴を見るとビジネス畑の人としか思えないのに、なぜか歴史の造詣に深すぎるという不思議な人。
優しく丁寧にわかりやすく説明してくれるこの本で、すっかりファンに。
この先生についていけば、バラバラだった知識がつながって世界の歴史が体系的に、深くわかるようになるかもしれない、 -
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世界史の傑作本!
歴史を本書のように語るのは、学問ではない、科学ではないと言われがち。しかし歴史の本質は「人間の営み」なのだから本書の表現もありと思う。むしろ歴史の本質を知るためには本書のような理解が不可欠!
年号とイベントを記憶することが歴史ではない。
人間の営みについて、「なぜ?」「なるほど!」と理解を深めることが、歴史を学ぶ意義と思う。
本書では世界史の大きなイベントが、
①利害・お金で説明されている
②嫉妬心対抗心といった人間臭さで描かれている
③そしてまた「理念」と言う崇高なもので動かされるのも人間
これらすべてを「ファクトで実証する」ことは難しいかもしれないが、歴史は「ヒューマ -
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著者の仕事術の本は何冊か読んではいるものの、この夏に基本に立ち返りたいという意味も含めて読んでみた。
著者から薫陶を受けた考え方は今まで実践できているものもあり、実践できていなかったものもあり、結果としてはよい振り返りの機会となった。
「苦手な人とは淡々と付き合う」「仕事は6勝4敗でいい」「上司の指示を3つのポイントで点検する」この3つは特に自分の中では感銘を受けたところでもある。
「ニュータイプの時代(山口周著)」と比較し、実践的な内容が多い(現実感に合っている)のも本書の特徴である。両方を読んでみて特に矛盾を感じたところはなく、ともに良書である。
働く人すべてに読んでほしい本。 -
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「西遊記」全10巻を読み終えたので、こちらの本で旅を振り返ってみました。背景として中国の歴史を頭にいれて読むと、西遊記の世界がまた広がる感じがします。
遊牧民が作った唐の国。国を治めるために仏教の力を借りたこと。三蔵の旅は本当の話で17年かけてインドからお経を持ち帰ったこと。ちょうどそのころは、中国もインドも平和な時代だったから旅が可能だったこと。西遊記の話は、三蔵の旅の記録をもとに宋の時代に講談として語り継がれ、明の時代に現在の西遊記の形になったこと。なるほどなぁ。
仕事ができるようになるために本を読んではいけない。そんなことで仕事ができるようになると考えることは人生をなめている、という出口 -
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ネタバレ言わずと知れた保険会の風雲児、出口さんの手からなる歴史本です。
氏の歴史への造詣の深さは昔から有名で、どのような内容にまとめられているのか興味があり、購入しました。
章立てもなかなか独特です。
第1章:世界史から日本史だけを切り出せるだろうか
第2章:歴史は、なぜ中国で発達したか
第3章:神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか
第4章:中国を理解する四つの鍵
第5章:キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について
第6章:ドイツ、フランス、イングランドー三国は一緒に考えるとよくわかる
第7章:交易の重要性ー地中海、ロンドン、ハンザ同盟、天才クビライ
第8章:中央ユーラシア -
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紀元元年〜1000年の間における人類史の通史。
イエス誕生から、ローマ帝国の絶頂期と衰退、中国やペルシャなどの勃興、ヒンドゥー教や大乗仏教やイスラム教の興り、日本の誕生など、地球規模で文明の繁栄と衰退をまんべんなくバランスよくおさえてある。
1000年というスパンの中で1冊を割いているので、例えば宇宙誕生からの通史や文明史5000年間の通史と比べると、細かい事柄がより含まれているので密度が高い。
その意味ではある程度歴史の知識を得ることで益々面白く読める本と言えるだろう。
この1000年間の歴史の中で特筆すべきは、
ペルシャで大量に「翻訳」されて保存された古代ギリシャ・ローマの古典の数々