林望のレビュー一覧
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平家物語の登場人物の「最期」のシーンをピックアップし、時には謡曲や後世の解釈に物申しながら、各人物の死に様を見ていく本。
タイトルの『往生の物語 死の万華鏡『平家物語』』とは上手く言ったものだなあと思いました。
開口に述べられているように、私も平家物語を読んでいた時に、これはなんと死の物語(筆者でいう「タナトスの文学」であり、だからこその生き様を照射している)だろうと思いました。華々しく簡単に死ぬなんていうことはできないわけで、その死ぬ時の苦悩や煩悶がリアルさがあって心をうつわけです。
また作者は現代語読んだあとに原文も読んで欲しいなあと言っているのだけど、忠度の章で、「見事な文辞の華を味 -
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能、というのはもっとお堅くて一方的なものだと思っていた。しかし観客やその日その場の雰囲気に合わせた演技をするのが良い、など書かれていてこれから初めて能を見に行く者としては少しホッとした。またいわゆる根性論のようなものではなく、柔軟で合理的な理論だったのが良かった。だからこそ、現代でも変わらず演じられているんだと納得した。また人間の本質を捉えるような文章も多く、考えさせられる。まさに人生論ともいえるものだと思う。
芸事に携わる者だけでなく、一般の人にも当てはめて言えるような言葉が多く、勉強になった。基礎がしっかりなければ何をやってもうまくいかない、というのはよく言われるが今回読んで改めて身に染み -
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ネタバレ風姿花伝、正式な書名は「花伝」。室町時代の申楽師であった世阿(法名:世阿弥陀仏)の、申楽(能)の奥義を後継に伝えるための書である。
本書は芸能の分野にとどまらず、現代におけるビジネスや教育の分野においても金科玉条のごとく通用する処世訓といえるだろう。
例えば、「第一」の書では、7歳の頃の教育について「さのみに、よき、あしきとは教ふべからず。あまりにいたく諫むれば、童は気を失ひて、能、ものくさくなりたちぬれば、やがて能は止まるなり」と記されている。つまり、これは良い、悪いなどと口うるさくいうと、子供はやる気を失うから、「心のままにせさすべし」、その子の好きなようにやらせるのが良い、と述べている。 -
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ネタバレ「習近平は毛沢東になれるのか」(室井秀太郎著、原書房)からの流れ読み。
本書は前著と同様、著者が中国駐在経験をもとに記した本である。どちらかというと本書の内容の方が整然として頭の整理には良いと思う。
中国共産党の「核心」として、毛沢東、鄧小平、江沢民に続き習近平は4人目に位置付けられた。
習近平は、若い頃、毛沢東の上山下郷(下放)で農村の暮らしを学び、また、地方書記時代には米国アイオア州でホームステイを経験している。地方幹部として実力を積み上げ、農村の暮らしや米国の発展を知り、また欧米や日本との対立と混乱という歴史を背景に、習近平の中華民族を復興させるという強固な意思を読み取ることがで -