林望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ風姿花伝、正式な書名は「花伝」。室町時代の申楽師であった世阿(法名:世阿弥陀仏)の、申楽(能)の奥義を後継に伝えるための書である。
本書は芸能の分野にとどまらず、現代におけるビジネスや教育の分野においても金科玉条のごとく通用する処世訓といえるだろう。
例えば、「第一」の書では、7歳の頃の教育について「さのみに、よき、あしきとは教ふべからず。あまりにいたく諫むれば、童は気を失ひて、能、ものくさくなりたちぬれば、やがて能は止まるなり」と記されている。つまり、これは良い、悪いなどと口うるさくいうと、子供はやる気を失うから、「心のままにせさすべし」、その子の好きなようにやらせるのが良い、と述べている。子供の可能性、長所を引き出す秘訣を、室町時代の先人がしっかりと教えてくれているのである。
また、「第三」の書では、「稽古は強かれ、情識はなかれ」、稽古はすればするほどよい、うぬぼれの心を捨てよと述べている。仕事もある程度慣れると、向上心を忘れ、惰性に走りがちだ。自分はこれだけ出来るとうぬぼれたら終わりなのだと教えてくれているのである。
このような古典は何度も繰り返し読むことによって、味わいが出てくるものなので、また読み返したいと思う。
古典に苦手意識がある人は、現代語訳の部分だけ読んでもよいかと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「習近平は毛沢東になれるのか」(室井秀太郎著、原書房)からの流れ読み。
本書は前著と同様、著者が中国駐在経験をもとに記した本である。どちらかというと本書の内容の方が整然として頭の整理には良いと思う。
中国共産党の「核心」として、毛沢東、鄧小平、江沢民に続き習近平は4人目に位置付けられた。
習近平は、若い頃、毛沢東の上山下郷(下放)で農村の暮らしを学び、また、地方書記時代には米国アイオア州でホームステイを経験している。地方幹部として実力を積み上げ、農村の暮らしや米国の発展を知り、また欧米や日本との対立と混乱という歴史を背景に、習近平の中華民族を復興させるという強固な意思を読み取ることができる。海洋強国を目指したスプラトリー諸島(南沙諸島)での動向や一帯一路政策、市場経済と社会主義の両立への挑戦は、中華民族の復興(中国100年の夢)に向けた取組に他ならない。
ただし習近平が「核心」とされたことは、「反腐敗」や「言論統制」という国内の規律保持もブレずにしっかり進めたことが大きいのではないかと思われる。
この先、トゥキディデスの罠による最悪の事態にならないことを祈りたい。