馳星周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近読んだ小説の中で、トップクラスに壮絶な描写、そしてラストでした。謀略&バイオレンス&セックスのどストレートなノワール+ハードボイルドサスペンスと思って読み進めていたら、ラストでこんな感情になるとは思いもしませんでした。
小説の舞台となるのは歌舞伎町。中国や台湾のマフィアが暗躍するなか、繰り広げられる追走劇と策略。
主人公となる劉健一は、自身の生き残りをかけてかつての相棒を探し出し、組織に差し出さなければならなくなる。そこに夏美と名乗る謎多き美女が絡んできて、話はどんどん加速していきます。
健一と夏美。互いに孤独を抱え惹かれあいながらも、一方でこれまで育ってきた境遇や、そしてそれぞれの事情ゆえに、相手を信じ切れず常に疑心暗鬼の状態。しかし健一は夏美を切り捨てた方が楽と、頭では理解しつつも夏美の孤独を自分に重ね、切り捨てられない。
二人の関係性は自分の中では、ルパンと峰不二子に近いものがあったような気がします。この女性にこれ以上関わらない方がいい、と頭では理解しつつも惹かれざるを得ない。ルパンの場合はそれがコミカルに描かれているけど、この不夜城はそれがより壮絶に、より切なく、より狂おしく描かれている印象です。
性描写がけっこうキツイ部分が多く、今までの自分はあまりそういうのは好きではなかったけど、この小説に関してはそれに意味が感じられた気がします。
激しく、オーバーな描写はこの手の小説ならではの、読者へのサービスかとはじめは思っていました。しかしその激しさが、魂のぶつかりあいであり、健一と夏美、お互いがそれぞれを渇望する、その感情、情欲の強さを表しているように、後半は思えてきました。単に体の関係を超えた、精神の強い結びつきがここで表現されています。
想い人であり、命を預けあう相棒、パートナーでありながら、一方で常に裏切られるのではないかという不安が付きまとう二人。そんな二人に迫るマフィアたちとタイムリミット。二人が迎える運命は……
それまでの性描写であったり、バイオレンスな部分であったり、そしてラストの展開と、なかなかに忘れがたい作品になりそうです。 -
Posted by ブクログ
馳氏の学生時代、「ハードボイルドだどッ!」で売れっ子芸人となった内藤陳氏が経営していた酒場「深夜+ワン」で、夕刻から朝方までアルバイトをしていたことは有名な話だ。
私も学生時代に先輩に誘われて3〜4回ほど足を運んだ記憶があるが、独特ともいえる雰囲気に馴染めず、その後新宿は遠のいた。
私がゴールデン街へ出掛けた10数年後に、馳星周氏はこの地で酔っ払い相手にアルバイトに精を出していたのだろう。
この物語を読む前までは、馳星周氏と内藤陳氏が店内で酒を飲み交わしながら、和気藹々と文学論などを語り明かしていたのだろうと想像していたのだが、実際には大いに異なっていたようだ。
内藤陳氏の酔っぱらい加減は半端ではなく、酔った上での無理難題に対し、馳氏は終始我慢、忍耐、許しの精神でアルバイトに励んでいたようだ。
アルバイトを辞めた後、ゴールデン街の他の店には顔を出していたみたいだが、内藤氏が経営する酒場「深夜+ワン」には、一度として顔を出さなかったとのことだ。
馳氏の自伝の要素以外にも殺人事件などが絡み、小説としても楽しめる内容だった。
馳星周ファンには必読の一冊となる。 -
Posted by ブクログ
登場する公安警察官の大城くんが、ヤバい。
上巻でも凄かったけど、
下巻に入ったらますます危険な人物に。
殺しも、クスリ漬けも、なんでもあり。
大城くんと関わる人物、
大城くん自身も、
どんどん闇に墜ちていく。
大城くんと対極にいるのは、
自らの信念のために死を厭わない熱い男・平良くん。
最後のシーンが強烈。
後戻りできない世界にとうとう踏み出してしまった。
理想だけでは生きていけないのが人間。
ついつい欲が出てしまったり、
現実と折合いをつけなくてはいけなかったりする中で、
理想とどんどんかけ離れていく。
パーフェクトワールドは、どこにも、ない。
小説の世界とはいえど、
沖縄が抱える矛盾や苦しみって、実際に今も続いてるんだろうな。
と想いを馳せました。