あらすじ
彼の名は藤原不比等。自らの野望のために一三〇〇年の間、日本人を欺き続けた男――。ノワール小説の旗手が放つ、衝撃の古代歴史巨編
万世一系、天孫降臨、聖徳太子――すべてはこの男がつくり出した。藤原史(のちの不比等)が胸に秘めた野望、それは「日本書紀」という名の神話を創り上げ、天皇を神にすること。そして自らも神の一族となることで、永遠の繁栄を手にすることであった。古代史に隠された闇を抉り出す会心作。
感情タグBEST3
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藤原氏繁栄の祖となった藤原不比等(史)の一代記。
天智天皇に仕えた父中臣鎌足の死後、壬申の乱により権力の座についた天武天皇政権では冷遇されていたが、第二皇子である草壁皇子に仕えていた縁で登用され、持統天皇政権以降、その政治手腕と皇室との姻戚関係により絶大な権力を持った。
天皇の承継ルールを作り神格化、蘇我馬子の功績の聖徳太子へのすり替えなどが不比等の手によって行われたことは知らなかった。
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ホントに馳さんの本⁈ってなるけど、面白い。
人の名前が難しくって誰が誰か分からなくなるのは自分の頭のせいなのでしょうがない。
不比等はホントに、名前をもらったとしたら他人がそう思ってしまうほど、自分でつけたのだったらそれだけ、怖い人だったんだろうなぁ
「政とはなにかを成すためになにかを譲る。その繰り返しなのでございます」
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歴史小説だけれど、難しい説明文はあまりなく、ストーリーがほぼ会話で進んでいくのでとても読みやすかった。これがハードボイルドの印象の強い馳星周の作品だなんて!この本に出会えて良かった。続編もあるようなのでそちらも楽しみ。
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藤原不比等…飛鳥の世にもこんな人が。世の中権力者の都合ばかり、自分の一族の繁栄の為に利用できるものはなんでも利用する。しかも騙しのスケールは国家レベル
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ふらっと入った本屋で平積みされてたのを直観で購入。こいつぁ大当たりだった!
読んでて日本史の記憶がふわっとよみがえる瞬間が何度もあり、更に調べたくなる欲求を抑えながら読みました笑
いやぁ、書くのがうまいってことだよね。
読者の知識レベルはバラバラだろうに、それでもあっと言わせる感じは読み応え抜群です。
あとがきの対談で続編書きたいって言ってたけど、こっちこそ続編読みたい!!
特に長屋王、これからどう動くよ。(ざっくり覚えてるけど笑)
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馳星周の北方謙三化といえば怒られるか。
藤原不比等という、教科書では父である鎌足や子孫の道長よりマイナーな存在である人物が、実は古代史を塗り替えた張本人であるという説をベースに、物語を構成。とても面白かった。里中満智子「天上の虹」を読み返してみたくなる。
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然程、小説作品が多くはないかもしれない、古代史の世界を背景にした物語なのだが、巨大な野心を胸に大胆な活動を展開したという男の生き様という感である。
『比ぶ者なき』(ならぶものなき)という題名であるが、これは本作の主人公の名に由来するものである。「藤原不比等」という、「日本史の教科書で、とりあえずその名を視掛けたような?」という人物が主人公だ。「不比等」という名は「等しく比ばず」ということで『比ぶ者なき』(ならぶものなき)なのだ。
本作の始めの方で、藤原不比等は「史」(ふひと)と名乗っている。寧ろ不遇な状態であるが、大海人皇子(=天武天皇)の後継者と目された草壁皇子に仕えていた。この状況から、『比ぶ者なき』(ならぶものなき)となって行くまでの物語が本作だ。
古代史の世界を舞台とはしているが、理解者や敵対者との色々な交わりの中で「巨大な野心」を燃やす男の物語として、或る程度「普遍性」を帯びているのが面白い。そして、本作の中で明らかになる「巨大な野心」の正体が興味深い。
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藤原不比等、権力を得るためにはどんな手も使う嫌らしさあふれて恐ろしい‥
持統天皇も「春すぎて 夏来にけらし 白妙の‥」の百人一首の札のイメージとはかけ離れたお人柄‥
『日本書紀』がこのように成立した説があることも知り、すごくおもしろかったし、古代史に人間味を感じるストーリーでした。
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最初、文庫本で600ページ弱という分厚さに戦いたが、読み進むうちに、政の中での権謀術数の凄さに、全くページ数の多さを感じることはなかった。と言っても、休み休み読んで、3日かかったけど。続編の「四神の旗」を先に読んでしまっていたので、少しワクワク感がなかったのが、やや残念ではある。
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強烈なリーダーシップで大和朝廷を動かしていった藤原不比等の権謀術策を、見事に描いた一冊。
まるで囲碁将棋のように詰めていく恐ろしさは、一周回って見事と感じさせる。
政治家の見本のような人物。
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日本史で真っ先に学ぶ時代だし、残された資料が乏しいこともあってか覚える事項も少ないから、比較的記憶に残りやすい天皇黎明期の物語。なるほど、タイトルは不比等由来って訳か。天皇制にとって都合よく捏造されたという日本書紀の解釈も、かなりの説得力あり。そういった常識をひっくり返される爽快感と、テンポの良い展開に、ついつい頁を繰る手が止まらなくなる。それは間違いないんだけど、でも何というか、登場人物たちの薄っぺらさはどうにかならんものか。主役たる不比等も含め、こんなにも裏表のない人たちばかりじゃ、予定調和の展開にしかなりゃしない。ちなみに腹黒さと裏表は別問題で、不比等の腹黒さとかなかなかのものなんだけど、それもとことん腹黒いというだけ。歴史小説である以上、予定調和は当たり前、ではなく、自由度の高い時代を書いているんだから、そのあたりは作者の匙加減一つだろうし、人物像も作者の手一つでしょ。”不夜城”も確か、ちょっと不全感が残ったような記憶があるけど、自分にはこの作風が合わないんだろう。
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馳さんの本は初めて読みました。歴史の教科書などで名前だけは知っていた藤原不比等。その人物像を興味深く読ませてもらいました。ぜひ続きを読みたいです。