馳星周のレビュー一覧
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ネタバレ和犬とシェパードの雑種犬・多聞を巡る7作の短編集。
表題作の少年と犬の舞台となる熊本まで、様々な人と出会いながら仙台から旅をする。その過程で、人々の孤独を癒やしていく多聞。旅路の果てで、多聞を待つ者とは…。直木賞受賞作。
これは良い本だ。
読み始めてすぐにそう思った。賢く、慎み深い多聞をすぐに気に入ったし、誰と出会っても西の方をじっと見つめるという謎がちょうどよく興味を引いて、先へ先へと読み進めたくなった。表題作「少年と犬」に辿り着く頃、私はどこに連れて行かれるのだろうとわくわくした。そして、それが幸せな結末であることを祈りながら読んだ。
「老人と犬」で、片野弥一が多聞は孤独と死の匂いを嗅 -
Posted by ブクログ
オウム真理教をモデルにした長編。
カルトに狂っていく人の怖さと、それに取り巻いて甘い汁を吸おうとする警察や国会議員達がみんな愚かでなかなかの大作だった。
乱暴にも感じる文章がより物語を荒々しく感じさせて、映画を見ているような感覚に…
高学歴で賢いはずの人々が、なぜ教祖を慕い狂っていくのか。以前森達也監督のオウム真理教のドキュメンタリー「A」「A2」を見たけど、松本サリン事件で容疑者とされた方へオウム幹部が会いにいく場面で、ぐだぐだとして謝罪もできずその方を苛々させるところを思い出した。上手く立ち回ることができない詰めの甘い行動が多く、社会で生き辛いから余計宗教にのめり込んでいったんじゃないかと -
Posted by ブクログ
中臣鎌足の子でありながら、父の死により後ろ盾を失った藤原不比等が主人公。 壬申の乱を経て激変する朝廷において、彼は類まれな知略と冷徹な意志を武器に、権力の中枢へと這い上がっていく。律令国家の完成と、藤原氏による千年続く繁栄の礎を築くため、天皇や政敵、さらには肉親さえも利用し、国家という巨大な装置を造り上げていく。。。特徴は、日本史上最大の政治家藤原不比等の生涯を野望のために歴史を捏造という新説に基づき、物語を構築した点。そして、ノワール小説の旗手である筆者が”政”のどろどろ感を圧倒的なリアリティにて表現した点かな。一気読みの5スターですよ~
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Posted by ブクログ
ネタバレ途中は長いなと感じたけど、読者に媚びない書き方が私は好きだったし読みやすい、感情移入しやすかった。自然なカキカタなのに、ドキドキハラハラした。
人間の前面に出てしまう欲望。でも、誰もが持つ奥底にある優しさ。身勝手さ、愛情。
終わりも淡々と終わっていって当たり前のことだと言わんばかりの淡々ぶりだった。
犬は人より寿命が短いというけれど、決してそうは言い切れないなと感じさせられた。そして、運命ははなから決まっている、と。ただ、何かの縁で、後押しでそれは変わることができるのだということも言っているような気がした。
とにかく、動物、犬の力はすごい。