馳星周のレビュー一覧
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アイヌの老若男女血縁者3人が夫々の経緯から一緒に生活をする中、個々の想い、罪の償いで離れ離れとなるもお互いの気持ちとアイヌ魂を深めて心を通じ合い最後は、一緒に暮らすハッピーエンドで親族の繋がりを描く
北海道の屈斜路に住む無骨でアイヌ魂を継承する平野敬蔵は、若い頃酒に呑まれアイヌの生活スタイルから周りと上手く渡り合えず妹、娘と出て行かれ1人暮らしの中、娘夫婦の残された孫娘の悠を引き取り木彫りを生業として一緒に暮らす。悠はアイヌである事から虐められて育つ生活から高校その先は家を出てアイヌ差別の無い生活を望む。そんな2人の生活に突然、雅比古と言う東京から来た青年が訪れて木彫りの弟子を願い、通いでの3人の生活が始まる。雅比古は、東北震災で母を亡くし東京で福島原発問題に不条理に憤りを持つ2人と知り合い東電社長を拉致するも意に反して殺してしまう。雅比古は自首する前に母の兄と思われる敬蔵に会いに行くも自分もアイヌの血が流れる確信を持つに連れ真剣に敬蔵の弟子となり継承したい気持ちが募る。最後は、逃げる共謀者を説得して共に捕まり5年の勤めを終えて敬蔵の待つ屈斜路に戻る。そこには、北大生となり卒業後は、あれだけ嫌っていた屈斜路に戻ると言う悠も居る。 -
Posted by ブクログ
馳星周とは、彼が未だ実名の坂東齢人であった数年間に、交流をさせて頂いた。馳星周を当時ぼくはバンと呼び、十歳ほど年下の彼は、ぼくをシュンと呼び捨て、本書の後書きにもある通り、タメ口をきいていた。真夜中まで続く延々酒呑みながらの彼とのチャットは情報量においても感性においても楽しく、ぼくを連日の寝不足に追い込んでいたものだ。
未だインターネット前のパソコン通信という時代。ぼくが冒険小説&ハードボイルドフォーラムのSYSOP(管理人)をやっていた頃のこと。オフラインと言って通信だけではなく現実に酒を飲んだり旅に出たりもしていた頃の話だ。
ノベルズライター時代の彼が、執筆作業に専念したいので半月ばかり都会の誘惑から遠ざけてくれと頼まれ、那須の山奥の温泉宿に置き去りにして来たこともある。当時の彼は、ノベルズ・ライターの他、ゴーストライターをやったりもしていたが、何より『本の雑誌』の書評欄で人気を博していた。
ぼくの管理していたフォーラムには、プロ書評家の関口苑生、本の雑誌での書評仲間・吉野仁がアクティブに関わっていたし、翻訳家や新進作家たちも、街で開催する宴に顔を出してくれたりと、それなりに中身もメンバーの内容も濃く、運営自体辛いことも多い代わりに、概ね楽しく貴重な出会いをいくつも経験をさせて頂いた。作家・香納諒一さんともこの頃からのおつきあいになります(ネット上だけですがいずれお会いしたいです)。
メンバーでは時に地方に出かけることもあったが、都内での飲み会がとても多く、二次会三次会と人数が減ると最後には日本冒険小説協会の運営とされるゴールデン街『深夜プラス1』に顔を出すこともあった。この店の店長が、かつて一世を風靡したトリオ・ザ・パンチのリーダーであり、この頃は『読まずに死ねるか』などのレビュー本でも知られた内藤陳である。
馳星周が深夜プラス1で働いていた本書の時代は、その数年ほど遡った学生時代である。その頃の実話にエンタメ度を加え、小説としていわゆる「読ませる」形でアレンジされたものが本作だと言ってよいだろう。いわゆる私小説である。ぼく個人としては、彼から聴いていた主観的個人史の一部がここで懐かしく開陳されているのを改めて読む、という不思議な読書体験を味わせて頂いたわけである。
特に本書でも肝となる部分は、本人からことある毎に繰り返し聴いていた通りだった。酒乱の店主に辟易して苦しんでいた学生バイトである主人公が、店を引けてから毎夜のように逃げ込んで助けられていたおかまバーのママとの優しい時間の物語である。
実際のリリーのモデルとなったおかまバーには、最初はぼくも当のバンに引っ張られて訪れた。「深プラのバイトで精神的にまいっていた自分は、ここでいつもママに救ってもらっていたんだよ」と酔って話すバンと、自衛隊上がりと称する外見筋肉オジサンなママの優しい母性? が、妙に親密でいい空気を作っていたことが、何よりも忘れ難い。本書ではその時間を何度も再体験させて頂けるのでかなり嬉しい。
そういう意味でぼくはこの作品に対しては、一気読みに近い懐かしさと、今は全く交流がなくなった天上びと直木賞作家・馳星周が、今もこの頃を懐かしんでこんなにあたたかい物語を紡いでくれている事実に、改めてほっとため息を吐きながら、抱きしめるように大切にこの本の一ページ一ページを味わわせて頂いた次第なのである。
個人的過ぎて、あんまりブックレビューになっていませんがご容赦! そして、ゴールデン街を過ぎていったあのいくつもの夜たちに乾杯! -
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馳星周の自伝的小説!
舞台は新宿のゴールデン街、時代は古き良き時代の昭和末期!!!
こんな街で呑んだくれることが出来たら!
こんな店で小説のことを語り合えたら!
こんな人達と毎日出逢えたら!
どれだけ人生を謳歌しダメ人間(必ずしも悪い意味でなく)に成っていくんだろうなぁと思いました。
大学の合格とともに北海道から上京してきた坂本は新宿ゴールデン街の伝説の酒場【マーロウ】でバイトをしている!?
店主の斉藤は一時代を築いたコメディアンで今は書評家、シラフの時は良い人だが酒を飲むと人を傷つける権化と化す。
そんな酒場でバイトする主人公の坂本、同僚の田丸、オカマのリリー、憧れのホステス葉月と、マーロウに通う常連達の日常青春小説かと思いきや・・・殺人事件!?
でも、間違いなく泣ける青春小説!
昭和生まれの今に少しだけ疲れているサラリーマンに是非読んでほしい一冊!!!
作中の『自分の嫌いな人に自分が似てくる・・・』
認めたく無いけど心に刺さる。 -
Posted by ブクログ
馳星周『ゴールデン街コーリング』角川文庫。
時代と共に人も変われば、街も変わる。寂しさもあるが、それが時の流れというもの。珍しいというか、まさかと驚いた馳星周の自伝的青春小説である。この時代の雰囲気や熱気を知る人間には懐かしい小説だった。
『マーロウ』の店主・斉藤顕のモデルは、内藤陳で、主人公の坂本俊彦が馳星周ということになる。何故か作家の船戸与一、本の雑誌の目黒考二が実名で登場するのが面白い。
新宿ゴールデン街にある日本冒険小説協会公認酒場を自称するバー『マーロウ』。コメディアンで書評家の斉藤顕が店主を務めるこの店で北海道から大学入学で上京してきた坂本俊彦がアルバイトを始める。
酒乱の斉藤顕に手を焼き、ゴールデン街の放火未遂事件と親しくしていた常連客の突然の死、失恋や新しい恋などなど様々な甘酸っぱくて、ほろ苦い青春が描かれる。
恐らくこの小説に描かれている時代に自分は本の雑誌の事務所を訪ねている。就職活動で上京した折りに、当時は本の雑誌を愛読し、雑誌編集にも興味を抱いていたので、アポなしで事務所の見学に押し掛けたのだ。事務所のホワイトボードには沢野ひとし画伯の絵が描かれており、ちょっと感動したものだ。
その時、事務所に居た学生バイトらしき男女が居たのだが、冷たい眼で自分を見られたことが未だに忘れられない。しかし、程無くして、目黒考二さんが現れると冷たい眼の学生バイトを尻目にデビュー前の群ようこさんが自分を目黒さんに紹介してくれたことに感謝したものだ。
本体価格800円
★★★★★