馳星周のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
蒼き山嶺 馳星周さん
1.購読動機
山を見たかったからです。
身体の都合もあり、久しく山から遠ざかっています。
そこで、山を舞台にする小説に出会いたく、手にとりました。
------------
2.馳星周さん
初めましてです。
2021年に出会えてよかった作家さんのお一人となりました。
登場人物が少ないこと。だから、ストーリーに入りやすいです。
------------
3.「蒼き山嶺」
山岳の描写が力強く、美しいです。
光が差し込む。
吹ぶく。
雪解けの音が聞こえる。
五感に訴求してくる文体の臨場感。
巻末に、馳さんご自身が軽井沢に転居してから、登山に魅了されたとの談話がありま -
Posted by ブクログ
馳星周『神の涙』実業之日本社文庫。
個人的に馳星周と言えば未だにノワール小説のイメージが強いのだが、最近はハートウォーミングな動物小説や社会問題への怒りを描いた小説などでも多くの傑作を書いている。
本作は差別を受けるアイヌ民族や福島第一原発事故の犠牲者といった弱い立場の人びとの存在を背景に家族小説という新たな分野に挑んだ作品である。非常に面白く、結末には感動した。
ある日、北海道の屈斜路湖の近くで孫娘の悠と二人でひっそりと慎ましく暮らすアイヌの木彫り作家・敬蔵の元に尾崎雅比古と名乗る若い男が現れ、敬蔵に弟子入りを志願する。最初は頑なに弟子入りを拒む敬蔵だったが、やがて雅比古の弟子入りを許 -
Posted by ブクログ
愛犬との日々を過ごす7つの短編物語、其々の人と犬との繋がりを描き、飼い主/愛犬が先立つ話は私も過去2匹の愛犬を亡くした経験から心に沁みる。愛護団体の神が絡んで保護犬を譲り受けたり等々関係を持ち、ペットショップのなり初めが無いのは良い。全ての話が、保護犬が飼主の愛情を受け又、見返りなど無く純粋に飼主を幸せにする犬の話。
「人間は、過去の事を悔やみ未来の事を思い悩むが、犬は過去も未来も関係なくただ懸命に今を生きる」
・トイプードル編:
白血病の少女と愛犬の話(涙)
・ミックス編:
妻に先立たれた男と愛犬の話
・ラブラドールレトリバー編:
目が不自由な物書きと愛犬の話
・バセットハウンド編:
仔犬 -
Posted by ブクログ
ネタバレ椿は過去バリバリのキャリア警視として活躍していたが、今は周りから煙たがれ公安の特別捜査係として窓際部署に追いやられた身、その部署に警視庁捜査一課から誤認追跡中の事故問題で宮澤が左遷され配属される。この事故で恋人の千紗の父親の浩介が植物人間となって負目を感じながら千紗と付き合う。
椿家は、代々東大出のエリートで日本中枢に人脈を持つ大金持ち、親父の源一郎、執事の渡会は妻と別れたトラウマで精神を病んだ椿警視に虐められ苦労する。そんな関係の中で田部総理の暗殺情報を掴む自称アンタッチャブル椿とその部下宮澤がその阻止に動く。その過程で椿が伝説のハッカー:ドラえもんとして名を馳せた過去を持ち、千紗の親父浩介 -
Posted by ブクログ
犬好きは犬がもっと好きに、飼っていない人はすぐにでも家族に迎えたくなる。
千尋ちゃんの最期の日々を素晴らしいものにしたトイプードル。シロが連れてきたヤマネコをたまと名付けて一緒に暮らした永勝。盲目作家の心を徐々にとかしていく盲導犬ジョーヌ。母犬に噛まれて見た目はかわいそうなのに、笑顔で周囲を魅了していくアンジュ、。エマの安楽死を選択した家族。
私が一番好きなのは、何もかも失くして死に場所を探す男と出合ったフレンチブル。最初に名付けた「ぶひ子」はあんまりだと思うが、本当に命の恩人になるあたりは、あまりに小説的な展開ではあるけれど、ほっと気持ちがやわらいだ。
最後のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。