馳星周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かつて人だったもの達のゴミが不快この上ない。そんな言葉が印象的だった小説。
不幸を、戦争を、90歳になる私の祖母は何も話してくれない。機関銃で指先を無くし、マラリアの後遺症で毛の一本も生えなくなってしまった祖母は、過去を語ろうとしない。思い出すことさえ憚れるのだろう。
それでもいつだったか、私が確か小学4年生の頃に戦争について作文課題がだされた。その時に一度だけ聞いたことを覚えている。
目の前で幼かった弟の体が弾け飛び、下半身だけが地面に立ったまま残っていたこと。
マラリアに罹患した時、家族に迷惑をかけぬよう、自ら死体置き場に向かおうとしたが、肉の削がれた足では歩いけず、悔しい思いをした -
Posted by ブクログ
あー、泣いた。
今、泣いた後にこれを書いている。
とにかく最終章が泣けるのだ。
実は今朝の通勤電車の中で、会社に着くまでには読み終えられるな、と思っていたのだが、最終章が始まった段階で「いかん、これは落ち着いて読むべき。そして、多分俺は泣く」
と思い、帰りの電車の中も、夕飯を食べる最中も我慢して、子供や嫁さんが寝た後で最終章に取り掛かった。
案の定、泣いたw
解説の池上冬樹さん曰く、本書「雨降る森の犬」は「少年と犬」の助走だという。
ならば、そちらも読まねばならない、あっ、そういえば映画がそろそろ上映が終わるのでは、と気づき、検索してみたら、終わってた。。。
仕方ない。映画はU-NEXTに出 -
Posted by ブクログ
2001年12月17日に発売された週刊Gallopの真ん中見開き頁の写真についたキャプションは“黄金旅程、完!”
前日に香港ヴァーズを勝って遂にGⅠのタイトルを手にしたステイゴールド。その名に「黄金旅程」と漢字を当てる香港ジョッキークラブのセンスの良さと、それを使ってその競走馬人生と昨日の偉業を讃える編集部の発想にとても感じ入ったのを今でも鮮明に覚えている。(実際には、彼の旅路は種牡馬としても続き、この時点では“第一部、完”が正しかったのだが)
そのステイゴールドをモデルにしたエゴンウレアというサラブレッドと日高で馬産や競馬に関わる人々の物語。
ステイゴールドの猛々しさを表すエピソードも交え