馳星周のレビュー一覧
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然程、小説作品が多くはないかもしれない、古代史の世界を背景にした物語なのだが、巨大な野心を胸に大胆な活動を展開したという男の生き様という感である。
『比ぶ者なき』(ならぶものなき)という題名であるが、これは本作の主人公の名に由来するものである。「藤原不比等」という、「日本史の教科書で、とりあえずその名を視掛けたような?」という人物が主人公だ。「不比等」という名は「等しく比ばず」ということで『比ぶ者なき』(ならぶものなき)なのだ。
本作の始めの方で、藤原不比等は「史」(ふひと)と名乗っている。寧ろ不遇な状態であるが、大海人皇子(=天武天皇)の後継者と目された草壁皇子に仕えていた。この状況から、『 -
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馳星周『パーフェクトワールド 下』集英社文庫。
下巻。結末は少し呆気なかったものの、ストーリー、登場人物の造形は非常に面白い。登場人物の誰もが心に闇を抱え、一人としてまともな人物が居ないのだ。最初から『パーフェクトワールド』など実現出来ないことは解り切っているのだが…
いつの時代も政治家は民意を無視し、国民からむしり取った税金を浪費し、さらには良からぬ方法でその富と権力を増大させるという構図は全く変わらない。アメリカに長らく統治された沖縄は、返還ではなく、日本政府によるアメリカからの買取りという無惨な事実、沖縄のリゾート開発に群がる輩…沖縄に派遣された公安警察官の大城は一度道を踏み外したこ -
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ソウルメイトⅡです。
著者の馳さんの飼っているバーニーズは以前飼っていたうちのワンコと出身犬舎が同じだったので、犬舎が主催する集まりやドッグショーで馳さんご夫妻とはご一緒したことがあり、勝手に親近感がわいてます☆
病と戦う少女と家族に寄り添うトイプー、
妻に先立たれた老人と一緒にネコを育てるミックス、
視力を失った偏屈な男に尽くす盲導犬のラブ、
愛犬の死から立ち直る前に母が次の犬を迎え、心をひらけないでいる娘に天真爛漫に笑顔を振りまくバセット、
安楽死を選択せざるを得なかった家族と、それでも最後まで幸せだったフラッティー、
ホームレスで自殺を考えていた男の再生のきっかけを与えた -
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不夜城サーガ、いや、劉健一サーガ堂々の完結。面白かった!特にラストで自分と同じ男を作り上げようとする健一の暗い情念が明かされる展開がクソ熱い。いつのまにか無双のフィクサー然とした健一に違和感感じつつも引き込まれて読んだ。年末年始の休みにずっと不夜城シリーズ読んでて気分はすっかり流氓、歌舞伎町。流氓ノワール物ってジャンルがあるのかわからないけど、一つの金字塔だと思う。
ところで、三作目から突然阿なになに(阿基とか)ってニックネーム使い始めたのが違和感あった。なんで前二作では使わなかったのに、と言う違和感。
それと、人名の中国語読みは数回のルビじゃ覚えられないから適当な日本語読みで読むんだけど