馳星周のレビュー一覧
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ほんと、イヌ好きにはたまらない。
あと、山好きにも……。
雨のあとの北八ヶ岳の森の香りには、生命の息吹きが漂う。
新芽を伸ばすコメツガやシラビソ。
木漏れ日と水滴をたっぷりと蓄え、いっそう青さを増す苔たち。
いく筋も、普段は枯れている沢からも流れ集り、森を潤す雪解け水。
森の中で、その重量感のある空気を胸に取り込みながら歩くと、不思議な一体感が生まれてくる。
そんな気分が、本を読んで見事に蘇るとは……まさかのことでした。
御泉水からの蓼科山頂上までの道のりはその通りで、「蓼科山荘」もよく雰囲気が出ている。
ずいぶん行ってないなあ〜。
「イヌは今を生きているんだ」
ヒトも同じ事……。
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ネタバレ人はここまで堕ちていく――未曾有の巨編が迎える衝撃のラスト。
毒ガス・サリン撒布計画を実行に移す――。教祖・十文字の反社会的なエゴは肥大化し、やがて侍従長である幸田のコントロールが利かなくなってゆく。若き幹部・太田慎平は信仰のために自らが犯した罪に苛まれ、苦悩を深める。一方、金蔓と見定めて彼らと手を組んだ警部の児玉は、権力者たちの暗闘に搦めとられていく。負の感情に囚われ、死臭を放ち始めた男たち。向かう先は天国か地獄か。未曾有の巨編が迎える衝撃の結末。
一気に読んでしまった。世代的にオウムという悲惨で凄惨な事件があったというが、それをモチーフにしているとは言え、ここまで愚かな事を行なってい -
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ネタバレ犬のエッセイです
自分が14年ともに暮らしたミックスの愛犬を虹の橋の向こうに見送ってから、しばらくこの手の本を読み漁っていました
うちの子は6キロ程度の子でしたが、それでもいなくなったあとのがらんとした感じはたまりませんでした
ましてやマージはバーニーズマウンテンドッグ
でかい
精神的に占める大きさはうちの子も変わらないとは言え、物理的なサイズ感は5倍?6倍?
喪失感も大きいことだっただろうと
病気がわかってからの著者夫妻のマージへの献身ぶりは、お金があるからできることだなと思いますが、それにしてもなかなか出来ることではなさそうです
幼少から一緒にいたマージが、日々弱っていく姿を見 -
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ネタバレ“カリスマ教祖”十文字源皇率いる〈真マントラ言の法〉。弁護士の幸田敏一は十文字と共謀し、教団ナンバー2の侍従長として勢力拡大を推し進める。組織に切り捨てられ左遷された公安刑事の児玉弘樹は、金の匂いを嗅ぎつけ、この新興宗教に接近する。教団に不利な行動をとる弁護士の殺害計画が持ち上がったとき、男たちの欲望は業火の火種となり、音を立てて燃えはじめた――。
出てくる登場人物がみんなすごいキャラをしていて面白い。主人公は元アカの弁護士で、新興宗教のナンバー2の幸田。彼はナンバー2の立場ゆえに金儲けに執着することになる。その金儲けをなくさないために、教祖の十文字を動かしてきたが、教団の発展とともにその -
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馳星周さんによる「ソウルメイト」シリーズの続編である「陽だまりの天使たち ソウルメイトⅡ」を前作に引き続き読んだ。
犬や猫を飼うということはその最期を看取る覚悟を持って始める必要があると、愛猫達を飼い始めた際に教わった。ただ可愛いからという無責任な理由で飼われ、挙げ句に虐待されたり捨てられるペット達の多いことも知った。更には幼犬、幼猫のうちに親と引き離され、仔犬や仔猫のうちでないとペットショップで買い手がつかず、売れ残ると店によって処分されることもあったという残酷な業界の闇も知った。その経験や知識を踏まえて馳さんの犬と人間をテーマとした作品群を読むと、馳さんの愛犬マージ《ソウルメイト》への愛 -
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7匹の犬と人間(飼い主やその家族など)との物語を描いた短編集。馳星周著「少年と犬 」を読み、同じ作者による他の犬と人間の物語を読んでみたくなり、「ソウルメイト」シリーズを見つけて読み始めた。
子供の頃、犬を飼っていたもののその後はペットを飼えない環境に暮らしてきた。今も管理規約でペット禁止のマンションに住んでいるが、内緒で3匹の猫を飼っている。猫を飼うのは初めての経験で最初は犬との違いに戸惑った。しかし、長年共に暮らす中で犬との共通性にも気付いた。今回『犬の十戒』を初めて読み、そのほとんどが猫に置き換え可能だと悟った。
7つの短編を読み進めるにつれて、犬と人間の心の交流に引き込まれていった。犬 -
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ネタバレ頑固な祖父と反抗的な孫。
あー先が読めるぞ。些細なことで孫が生意気なこと言って、爺ちゃんが怒鳴って、何日も口を聞かないとか…はいはい、幾度となく読みましたよこの展開…と思ってましたが大間違いでした。
頑固ではあるけどいつも悠のことを想ってる敬造、アイヌや敬蔵を嫌いだといいながらも感謝の気持ちを忘れない悠。言葉が足りなくともお互いが心の奥で想い合う所が、あぁ・・リアルな家族の形だなぁと感じた。
人は人を裁けないー。
雅比古は本当にはんかくさい事をしたけども、その答えに辿り着けたから”捕まるまで逃げる”のではなく”自首”を選んだのだろう。
最初から最後まで、3人が大好きでした。 -
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めっきり読んでいなかったが、最近妙に懐古的なので10~20代の頃ハマっていた馳作品を久しぶりに読みたくて、まだ未読の作品を。
ページを捲って即没入。
何も知らずに読み始めたのだけど、途中でやけにリアルな人間模様に「?」となって調べると
どうやら馳さんご自身の自伝小説に近い作品なのだとか。
新宿ゴールデン街を舞台に、北海道から出てきた小説好きの青年がディープなバーで働き始めてからの成長(?)記。
ミステリー要素を重ねつつも、実際に体験したからこそのリアリティに長けた描写が沢山。
呑み屋に生息する人間たち特有の濃くて浅い人間関係、強くて脆い精神。寂しい病。
飲み明けの空を眺める背徳感。
毎晩 -
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アイヌの老若男女血縁者3人が夫々の経緯から一緒に生活をする中、個々の想い、罪の償いで離れ離れとなるもお互いの気持ちとアイヌ魂を深めて心を通じ合い最後は、一緒に暮らすハッピーエンドで親族の繋がりを描く
北海道の屈斜路に住む無骨でアイヌ魂を継承する平野敬蔵は、若い頃酒に呑まれアイヌの生活スタイルから周りと上手く渡り合えず妹、娘と出て行かれ1人暮らしの中、娘夫婦の残された孫娘の悠を引き取り木彫りを生業として一緒に暮らす。悠はアイヌである事から虐められて育つ生活から高校その先は家を出てアイヌ差別の無い生活を望む。そんな2人の生活に突然、雅比古と言う東京から来た青年が訪れて木彫りの弟子を願い、通いでの