馳星周のレビュー一覧
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ネタバレ椿は過去バリバリのキャリア警視として活躍していたが、今は周りから煙たがれ公安の特別捜査係として窓際部署に追いやられた身、その部署に警視庁捜査一課から誤認追跡中の事故問題で宮澤が左遷され配属される。この事故で恋人の千紗の父親の浩介が植物人間となって負目を感じながら千紗と付き合う。
椿家は、代々東大出のエリートで日本中枢に人脈を持つ大金持ち、親父の源一郎、執事の渡会は妻と別れたトラウマで精神を病んだ椿警視に虐められ苦労する。そんな関係の中で田部総理の暗殺情報を掴む自称アンタッチャブル椿とその部下宮澤がその阻止に動く。その過程で椿が伝説のハッカー:ドラえもんとして名を馳せた過去を持ち、千紗の親父浩介が元CIA教育を受けた超一流のスパイ:覗き屋トムである事が判明しながら、IT技術を使い其々の思惑が絡みながら捜査が進む。一本ネジが外れた椿と千紗とのHに好じながら捜査一課への復職を願う宮澤コンビの動向が面白く一気読みする。最後は、首相で無く芳賀官房長官の暗殺で終えて警察内部人事にも大きく影響して惚ける椿は思惑通り警視正と出世を果たす。
奥田英朗の伊良部(医者)と重なる主人公の公安元キャリアの椿警視と平凡な宮澤コンビが織りなすおとぼけ小説で最後は、もしかして??と。。でもその想像を超えた結末でおとぼけが確信的な椿の人格に驚いた。馳さんの小説は大好きだがこんなコメディタッチの内容は初めてで次回作が楽しみだ。。 -
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犬好きは犬がもっと好きに、飼っていない人はすぐにでも家族に迎えたくなる。
千尋ちゃんの最期の日々を素晴らしいものにしたトイプードル。シロが連れてきたヤマネコをたまと名付けて一緒に暮らした永勝。盲目作家の心を徐々にとかしていく盲導犬ジョーヌ。母犬に噛まれて見た目はかわいそうなのに、笑顔で周囲を魅了していくアンジュ、。エマの安楽死を選択した家族。
私が一番好きなのは、何もかも失くして死に場所を探す男と出合ったフレンチブル。最初に名付けた「ぶひ子」はあんまりだと思うが、本当に命の恩人になるあたりは、あまりに小説的な展開ではあるけれど、ほっと気持ちがやわらいだ。
最後のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。亡くなった犬の魂について、こんなふうに考えれば、愛犬との別れを経験しても、心穏やかに過ごせそうである。 -
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然程、小説作品が多くはないかもしれない、古代史の世界を背景にした物語なのだが、巨大な野心を胸に大胆な活動を展開したという男の生き様という感である。
『比ぶ者なき』(ならぶものなき)という題名であるが、これは本作の主人公の名に由来するものである。「藤原不比等」という、「日本史の教科書で、とりあえずその名を視掛けたような?」という人物が主人公だ。「不比等」という名は「等しく比ばず」ということで『比ぶ者なき』(ならぶものなき)なのだ。
本作の始めの方で、藤原不比等は「史」(ふひと)と名乗っている。寧ろ不遇な状態であるが、大海人皇子(=天武天皇)の後継者と目された草壁皇子に仕えていた。この状況から、『比ぶ者なき』(ならぶものなき)となって行くまでの物語が本作だ。
古代史の世界を舞台とはしているが、理解者や敵対者との色々な交わりの中で「巨大な野心」を燃やす男の物語として、或る程度「普遍性」を帯びているのが面白い。そして、本作の中で明らかになる「巨大な野心」の正体が興味深い。 -
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馳星周『パーフェクトワールド 下』集英社文庫。
下巻。結末は少し呆気なかったものの、ストーリー、登場人物の造形は非常に面白い。登場人物の誰もが心に闇を抱え、一人としてまともな人物が居ないのだ。最初から『パーフェクトワールド』など実現出来ないことは解り切っているのだが…
いつの時代も政治家は民意を無視し、国民からむしり取った税金を浪費し、さらには良からぬ方法でその富と権力を増大させるという構図は全く変わらない。アメリカに長らく統治された沖縄は、返還ではなく、日本政府によるアメリカからの買取りという無惨な事実、沖縄のリゾート開発に群がる輩…沖縄に派遣された公安警察官の大城は一度道を踏み外したことをきっかけに、どこまでも堕ちていく。