馳星周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あー、泣いた。
今、泣いた後にこれを書いている。
とにかく最終章が泣けるのだ。
実は今朝の通勤電車の中で、会社に着くまでには読み終えられるな、と思っていたのだが、最終章が始まった段階で「いかん、これは落ち着いて読むべき。そして、多分俺は泣く」
と思い、帰りの電車の中も、夕飯を食べる最中も我慢して、子供や嫁さんが寝た後で最終章に取り掛かった。
案の定、泣いたw
解説の池上冬樹さん曰く、本書「雨降る森の犬」は「少年と犬」の助走だという。
ならば、そちらも読まねばならない、あっ、そういえば映画がそろそろ上映が終わるのでは、と気づき、検索してみたら、終わってた。。。
仕方ない。映画はU-NEXTに出てくるのを待つとして、まずは今週末に「少年と犬」の本を手に入れて、また泣こうと思うw
あ、一応書いておくと、泣かせっぱなしの物語では無いですよ。最終章以外は泣かせる訳ではないが、読み応え充分の本作ですv -
Posted by ブクログ
2001年12月17日に発売された週刊Gallopの真ん中見開き頁の写真についたキャプションは“黄金旅程、完!”
前日に香港ヴァーズを勝って遂にGⅠのタイトルを手にしたステイゴールド。その名に「黄金旅程」と漢字を当てる香港ジョッキークラブのセンスの良さと、それを使ってその競走馬人生と昨日の偉業を讃える編集部の発想にとても感じ入ったのを今でも鮮明に覚えている。(実際には、彼の旅路は種牡馬としても続き、この時点では“第一部、完”が正しかったのだが)
そのステイゴールドをモデルにしたエゴンウレアというサラブレッドと日高で馬産や競馬に関わる人々の物語。
ステイゴールドの猛々しさを表すエピソードも交えながら語られる話には、現役時代の走りとレースを知るだけに、殊更面白く読むことができた。
語りの中心は、装蹄師の傍ら養老牧場を営む平野敬。それに、彼の幼馴染で騎手として将来を嘱望されながら道を踏み外し故郷に戻って来た和泉亮介、門別競馬場の獣医・藤澤敬子が絡む。加えて、師匠である装蹄師の夫妻、馬主、調教師、騎手、厩務員、生産牧場の親子、育成牧場の社長・スタッフ…。
地方競馬を支えたり、胆振のグループを相手に日高からGⅠ馬を送り出そうと夢見て、日々を積み重ねる人々に胸がキュンとする。
狙うレースが定まり、まして鞍上にリーディングジョッキーを迎えるとなれば、レースはずっと先なのに今から胸がドキドキしてくる気持ちは、零細な一口会員でしかない私でもよく分かる。
こうした話には珍しく、人の都合で馬を走らせる競馬の在り様について再三に亘って触れられる。
とねっこに事故で死なれた牧場の子に『競馬なんて、なくなればいいのに』と語らせる場面もあるが、私のように土日に馬が走ることを見て心の安寧を保ってきた者からすると、競馬がなくなるととても困る。
サラブレッドが競馬のために生み出される経済動物であるという側面を持つ以上、その台詞はいささか感傷的に過ぎるという気はするが、ここまでお世話になっては、一部を除けば哀れな引退後の馬の行く末について、これもまた作中にあった『自分の責任を果たし、競馬と共に生きていく』という言葉は身に沁みた。
なので『月に千円でいいから引退馬協会かどこかに寄付をすればいい。それで、一頭の馬が救われる』とか言われると、馬券に回すお金から少しは工面しようと思ったのだった。
後半、八百長を巡ってハードボイルド調の話になってどうなることかと思ったが、その後にくる敬子との絡みも含めて蛇足気味。
確かに八百長があったことが発覚すれば競馬のイメージが悪くなるので『永遠に口をつぐむ』という気持ちは分かるが、あの解決法ではちょっと残念。もっとスキッと落とし前をつけて欲しかった。
描かれた八百長の方法も、本命馬がコケたからといって勝つ馬が分かるわけでもないので、割に合わないのではないかな。
終章、エゴンウレアがスタッドインした描写には、24年前に日高の牧場巡りの時に見た、ガスに覆われたイーストスタッドの景色を思い出した。(ステイゴールドは交渉決裂して日高には来なかったけどね) -
Posted by ブクログ
馳星周『黄金旅程』集英社文庫。
馬の装蹄師を主人公にした競馬小説。ミステリー・サスペンス要素もあり、ディック・フランシスの競馬ミステリーのような趣きもある。しかし、あくまでもミステリー・サスペンスの要素は味付け程度で、気性が荒いが故に勝ちに恵まれない超一流の資質を持つサラブレッドをGIレースで勝たせようとする人びとの夢を描いた物語なのである。
感動の結末。まさか競馬小説で感涙するとは予想もしなかった。
かつて騎手を目指しながら挫折し、装蹄師の道に進んだ平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいた。その牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたが、浦河出身の天才騎手だった亮介が覚醒剤所持で刑務所に収監されたこともあり、敬が譲り受けることになった。
過去から多くのサラブレッドを育て来た浦河の牧場には、GIレースで勝てる馬が居なかったのだが、敬は以前、装蹄した栗木牧場生産の尾花栗毛馬のエゴンウレアにその可能性を見出していた。敬がエゴンウレアの筋肉に触れた瞬間に超一流の資質を秘めた馬であることを確信したのだが、余りにも気性が荒い上にプライドも高く、調教に手を焼き、これまで勝ち鞍が無かったのだ。
敬は、刑務所から出所したばかりで、借金を抱える幼馴染の亮介にエゴンウレアの調教を任せるよう馬主に薦める。
そんな中、敬がその馬主と競馬場で会った際、レースで馬が突然興奮し、暴れ出すという不思議な出来事に遭遇する。敬と付き合い始めたばかりの獣医師の藤澤敬子がその馬の血液検査をしたが、薬物などは検出されなかった。その後、敬子は、1人の厩務員のが犬笛で馬を操り、興奮させていたことを知る。その厩務員は八百長に加担し、ヤクザからの借金を帳消しにしようとしていたのだ。敬子からその事実を聞いた敬は裏で糸を引くヤクザの尾行を始めるが、逆に気付かれて拉致され、殺されそうになる。
様々なトラブルが起きる中、エゴンウレアが出馬するレースの日も近付き、亮介による最後の調教も終わる。エゴンウレアに人生を託した浦河の人々の想いで奇跡を呼び起こすことが出来るのか……
本体価格1,050円
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Posted by ブクログ
昔競馬のテレビゲームをやっていたこともあり、購入。
面白くて一気に読んでしまった。
気性が荒くなかなか本気を出さないエゴンウレア。
だけども、刑務所から出所した亮介、主人公の敬、そして「地元からG1馬を」と他の牧場や競馬場関係者達の熱い想いや努力によって、エゴンウレアが再び輝く姿は胸を打たれるものがあった。
敬はもともと騎手の夢があったが、装蹄師になり、亮介はトップジョッキーから、トレーニングセンターで調教師の調教をする際の馬乗りに。2人とも夢を諦めざるを得ない立場になって、第二の夢を見つけて、それを実現させる姿も、「自分も今後新しい目標ができて、それに向かって突き進んでいくことがあるかも知れない」ということを感じさせた。
あとは、北海道の地域性とか、のどかな風景が自然と浮かぶような文章で、来年の夏に北海道にいって、牧場を巡ろうと思った。良い本だった。 -
Posted by ブクログ
久々に、またしばらくして再読したいと思う、面白い小説に出会えた。
人間サイドからの身勝手な話ではあるが、競走馬は色んな人の思いや願いを乗せて走る。その罪深さについては、筆者も作中で何度も言及している。
その走りで人は喜んだり、胸を熱くしたり、明日への活力を得たり、また、人生を変えるきっかけを得ることもある。もちろん、逆もまた然り。
馬の走りに思いを乗せる人間の熱さ、ピュアさ、そうした、どうして競馬が面白いのか、どうしてファンたちが競馬に魅了されるのか、というひとつの答えのようなものが本書には描かれており、たいへん面白い作品でした。
主人公に「主人公感」を与えるためにヤクザとの絡みがあったり、美人とのセックスがあったりと、そこは蛇足かなとは思いました。
しかし全体的にはすごく良かったので星5つです。