馳星周のレビュー一覧
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カータの闘病生活が事細かで目が離せない。生きながらえるだけの抗がん剤治療を拒否して自然療法食を探す妻と死ぬ間際迄側に寄り添う夫と軽井沢を選んだ2人は凄い尊敬できる。俺たちは群だ、家族だと言う所グッとくる そう自分には無いものだから。輸血に強心剤に点滴に、でもそれはカータが苦しみが終わらない意味だね、だから最後もカータの為にそれをしない選択した。妻に言われたのもあるけどここが正念場だった。カータには全てを差し出せるの言葉が沁みた。 馳星周さんの自民党は何一つせず 人災だと断言する声を上げるのがもっと広がって欲しい。原発は消えないし東京電力も畳むことなく大企業、処理水放出しても常磐モノと受け入れ
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日高の零細牧場で牧場主の強い思いを受けて生まれ、関係する人々の人生と夢を背負って走るカムナビ。
日本の競馬界では決して正統な優駿ではないが、重馬場には圧倒的に強く、凱旋門賞で2着となった血統。
この馬の癖の強さが、物語に拡がりと深さを加える。
生産者、馬主、厩舎の調教師や厩務員に騎手など、競馬関係者の馬との関わりや馬に掛ける思いが実感をもって伝わってくる。
レースの場面は臨場感に溢れ、GⅠや凱旋門賞の展開は手に汗を握る。
凱旋門賞の結末には意表を突かれたが、エピローグともども本書にはふさわしいと感じた。
父親のナカヤマフェスタ始めとする実在した馬たちも登場し、競馬ファンにはさらにリ -
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直木賞受賞作「少年と犬」を読んだあとソウルメイト、ソウルメイト2とこの本を購入して「雨降る森の犬」だけ読まずに本棚に眠っていた。「少年と犬」で犬本に夢中になって立て続けに読んだがこの本は五百頁あまりあり、ちょっと躊躇してたが一週間もかからず読み終わった。馳星周という作家はノワール小説で世に出たがその対局のような犬本で読者を幅広くつかんだ作家だ。読者の泣かせどころをこころえていて素晴らしいストーリーテラーです。
犬は未来も過去もなく現在を一生懸命に生きている。犬を愛らしく描いているのはあたりまえだけど、犬を育てると同時に、人は犬から育てられると書いてます。
登山のこと、料理のことなど馳星周 -
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競馬小説としては、早見和真氏の「ザ・ロイヤルファミリー」もそこそこ面白かったが、はるかに凌駕する競馬小説の傑作。ステイゴールド・ナカヤマフェスタという稀代の荒馬から誕生したカムナビの活躍を通して、馬を愛する日高の弱小生産牧場・居酒屋経営の弱小オーナー・預託を受けた二流調教師・定年間近な老練だが馬に恵まれない厩務員・ジョッキーとして目が出なかった調教助手・癖馬を御すことができる確かな腕を持つのに乗り馬に恵まれない二流ジョッキーの面々が、それぞれの夢を神馬カムナビに託して頑張る姿は美しい。競馬ファン以外には刺さらない内容かもしれないが、競馬ファンには終始納得感ある感動のドラマに仕上がっている。
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スリリングな歴史群像ノワール。単行本で一度読んだものを、文庫化を機に再読。大傑作『比ぶ者なき』の続編。前作の主人公藤原不比等の息子四兄弟、武智麻呂・房前・宇合・麻呂と長屋王の政争を描く。前記の五人に加えてさらに、聖武天皇、光明皇后、橘三千代、元正上皇といった面々が歴史のプレイヤーとなる。血こそ流れる分量は少ないものの、それぞれがそれぞれの思いと目的を胸に、嘘をつき、騙し騙されしつつ物語がダイナミックに動いていく、という意味ではこれもまた馳ノワールではないか。史実を元にしている上に、再読なので、事の顛末も結末も知っているのに、これからどうなるのか、これからどうなるのか、という興味、応酬される腹に