アジア屈指の大歓楽街――新宿歌舞伎町。様々な民族が巣喰うこの街で、器用に生き抜いてきた故買屋・劉健一。だが、かつての相棒・呉富春が戻ってきたことから事態は一変した。富春は、上海マフィアのボス元成貴の片腕を殺し逃亡を続けていたのだ。健一は元に呼び戻され、三日以内に富春を連れてこいと脅される。同じ頃、謎の女が、健一に仕事を依頼してきた。彼女が売りたいと口にした意外なものとは――。生き残るために嘘と裏切りを重ねる人間たちを濃密な筆致で綴った危険な物語。
Posted by ブクログ 2021年01月16日
20年以上前、映画になった頃に読み、このたび文庫本をもらったので再読。そう、初読の印象を思い出した。この主人公、大変自虐的なのだが、畳みかけるように各方面の動きを読んで手回しをする様からして、大変な賢さを持ち合わせており、実はこれにより辛いのではないかな、と。そして女はいたたまれない環境で愚かで哀し...続きを読む
Posted by 読むコレ 2014年03月05日
再読。僕的には怖い位に「読ませてくれる」作品です。
言うなれば鯛焼きの薄皮一枚剥がしたら鯛の形をしたあんこが出てきたというような…とにかく最初から最後まで退屈な部分がない一冊です。
小説が実生活では得られない体験をさせてくれると言うのなら、僕がまず踏み入れたいと望むのがこのワルの世界という奴でし...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月23日
★3.5、おまけで。
何の気なしに手に取って再読、こんな救いない話でしたか。でもこの暗さ、嫌いじゃないです、当方。
が、万人受けする作品ではないなと思うし、何より時代が遠くなったという気がする。
他の街、他国等々との競争力の低下、コンプライアンスという良くも悪くも清廉性の訴求に伴い、新宿という街の活...続きを読む