馳星周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中臣鎌足の子でありながら、父の死により後ろ盾を失った藤原不比等が主人公。 壬申の乱を経て激変する朝廷において、彼は類まれな知略と冷徹な意志を武器に、権力の中枢へと這い上がっていく。律令国家の完成と、藤原氏による千年続く繁栄の礎を築くため、天皇や政敵、さらには肉親さえも利用し、国家という巨大な装置を造り上げていく。。。特徴は、日本史上最大の政治家藤原不比等の生涯を野望のために歴史を捏造という新説に基づき、物語を構築した点。そして、ノワール小説の旗手である筆者が”政”のどろどろ感を圧倒的なリアリティにて表現した点かな。一気読みの5スターですよ~
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Posted by ブクログ
馳星周は、犬と馬を書かせたら最強に面白い。
主役犬は、バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテル(牡)。
この犬が、めっちゃ可愛い!
主人公の女子中学生・雨音を従えて歩く姿とか、想像できてしまう。
やはり馳星周は描写が抜群に上手い。
山頂から眺める雄大な景色や、雨の落ちる様子、森の匂い、犬の目に浮かぶ感情も、ちゃんと読者に伝えてくれる。
そして今作は何よりも、道夫の料理がどれも美味そうなのだ。ソーセージとキノコのニンニクパスタも、ハムカツチーズカレーも、コーヒーもワインも、いちいち美味そう!
そう、これは「山岳グルメ犬小説」なのだ。
そりゃあワルテルだって、よだれダラダラだろうさ。
実際に馳が飼っていた犬と、姪っ子の関係を下敷きにしたとインタビューで語っていたけれど、最後の場面は涙なしで読めなかった。
犬を飼うことの責任と苦痛を誤魔化さずに描いていて、でもそれ以上に喜びがあるのだと、物語を通して教わりました。 -
Posted by ブクログ
かつて人だったもの達のゴミが不快この上ない。そんな言葉が印象的だった小説。
以下、私のおばあちゃんから聞いた戦争の話。
不幸を、戦争を、90歳になる私の祖母は何も話してくれない。機関銃で指先を無くし、マラリアの後遺症で毛の一本も生えなくなってしまった祖母は、過去を語ろうとしない。思い出すことさえ憚れるのだろう。
それでもいつだったか、私が確か小学4年生の頃に戦争について作文課題がだされた。その時に一度だけ聞いたことを覚えている。
目の前で幼かった弟の体が弾け飛び、下半身だけが地面に立ったまま残っていたこと。
マラリアに罹患した時、家族に迷惑をかけぬよう、自ら死体置き場に向かおうとしたが、肉の削がれた足では歩いけず、悔しい思いをしたこと。腐敗した人の足は嘔吐するほど臭かったが、人の焦げる匂いは香ばしくもあったということ。死体をひっくり返しながら母を探したこと。片目から蛆の湧きでる憎き日本兵の手当をしたこと。親友の食糧を奪って空腹を満たした時の絶望的な罪悪感が今でも自分を苦しめていること。死んだ人間の下に隠れていれば、アメリカの機関銃は撃たないという戦争ライフハックも自信たっぷりに教えてくれた。
そんなに苦しめられた戦争だけど、味覚は昔を懐かしむらしく、賞味期限一ヶ月過ぎたドロドロの牛乳が、蒸しただけの泥芋のツタが、今でも好きなことも。
ウクライナの戦争のニュースが流れるたびに、過呼吸になってしまう祖母は今だに80年前の戦争に縛られて生きている。
孫である私の顔を見るたびにお腹空いていないか聞いてくる祖母に、さっきも食べたよと呆れた顔を見せた自分は、絶望的な空腹を味わったことのない幸せクソ野郎だった。
戦争時代に比べれば今は幸せなんだから文句は言えない、なんて説教じみた事は1ミリも思ってないが、私たちはやはりあの時の苦しみに想いを馳せておかねばならない。
まぁそんなこんなだが、祖母は韓国ドラマにハマって偽装恋愛を楽しんでいる模様。楽しそうで何よりなのでNetflixを入れといた。
沖縄の戦争。沖縄の苦しみ。
ぜひ皆さんにも読んでほしい。
内容も話の展開も面白く読めるので、祖母の話しを抜きに本書の小説としての面白さだけで星は評価している。