あらすじ
『不夜城』『夜光虫』の衝撃から20年
究極のクライムノベル誕生!
台湾のプロ野球で八百長に手を染め、罪から逃れるために次々と殺しを重ねた加倉昭彦。居場所を失い、顔も名前も変えて過去を抹消、逃れ着いたのはサッカーの地イタリアだった――。イタリアの黒社会では、殺し以外の仕事なら何でも請け負い、いつしか「暗手」――暗闇から伸びてくる手――と呼ばれるようになっていた。そんなある日、サッカー賭博の帝王・王天から、ロッコに所属する日本人ゴールキーパー・大森怜央に八百長をさせろとの依頼が舞い込む。計画実行に向けて着実に準備を進めていく加倉だったが、大森の姉の写真を目にしてから過去の記憶がよみがえり、計画の歯車が狂い始める……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これは素晴らしい。馳さんの暗黒系、でも舞台は海外なので、後ろめたさも少ない。恋愛要素も大きく、相乗効果でスリリングな展開。「夜光虫」の続編らしいけど、大丈夫です。
Posted by ブクログ
また同じように女で狂って殺しまくってしかも最後ばれて中指立てられるのにめちゃくちゃおもしろい。
感情とか打算とか駆け引きとかイタリアのうまそうな飯とかを織り交ぜながら書き出す疾走感、不夜城のような没入感がある。これだよこれこれ。これが馳星周
Posted by ブクログ
刮目せよ!
これこそが馳星周だ。
暴力と嘘に塗れただけのノワール小説ではない。
嘘に嘘を重ねて築き上げた人間関係、愛を求める男と女の恋情。
心を深く抉られる。
決して気持ちの良い読後感では無いが、それがかえって気持ちを揺さぶる。
デビュー当時のような作品だが、流石に年月を重ねて表現も重さを増した。
久しぶりにヒリヒリする作品だった。
Posted by ブクログ
馳氏2作目。『四神の旗』は歴史物だったからほぼ違う作者の作品のようなイメージで読んだ。(実際には本作の方が先に読み始めたのだが)
初めて読んだノワール小説。どう読むべきか最後まで分からなかったが、現実には体験し得ない世界だからこそ、悪役目線で大森を痛めつけてほしいという気持ちで読んでいた。ただ、結末はバットエンドにはならず、期待は裏切られた。
序盤は物語はゆっくりで少し退屈だったが、終盤の殺人の過程はスピードアップして引き込まれるものがあった。この緩急が人物の心情を体感させ、迫力を倍増させることに成功していると思う。
本作は続編物らしく、前作を知っていると確かに面白いのだろうと思う。なぜ元プロ野球選手がこんなに殺しに強いのかは本作だけだと解せないので。ただ、遡って読むかは微妙。
Posted by ブクログ
細かい評価は3.6ってところで、四捨五入して4.0にしました。馳星周さんの作品を読むのは2020年に直木賞を受賞した「少年と犬」以来。「少年と犬」は自分の中では結構好きだったので、そういう意味では安心して読めました。
だけど「少年と犬」とは全く違った作品の雰囲気にびっくり。裏社会を舞台にしたかなりダークな作品に仕上がっていました…サッカー賭博での八百長なども全く知らない世界だったので、社会の深淵を覗き込んだような思いがしました。
特に魅力的だったのは、主人公「暗手」が巧みに大森に八百長をさせるように罠に嵌めていく場面。
馳さんは昔そっちの人だったの、、?と疑ってしまうほど迫力満点です。
ただ、アクション映画などを好んで見ない私からすると銃撃戦のシーンや、馬兵との戦いのシーンなどはイマイチ刺さらなかったかなぁ……
マフィア映画が好きな男性などからしたら、この作品は刺さりまくりだと思います。
Posted by ブクログ
あの女を手に入れろ、とささやく頭の中のもうひとりの自分自身。これもまた「夜光虫」でおなじみのシークエンス。最高だ。
どんどん逃げ場がなくなり愛するものからも憎悪の目で追い詰められる暗手に、感情移入しつつ、最後のページまであっという間に読んでしまった。
まさに馳ワールド、素晴らしい。
やはり馳先生はノワールですよ、ノワール。