あらすじ
父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルと自然との触れ合いが、二人の心を少しずつ癒していく。家族の問題を抱えた中学生と高校生が、道夫とワルテルと過ごすなかで自らの生きる方向性を見出していく、心に響く長編小説。
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Posted by ブクログ
馳星周は、犬と馬を書かせたら最強に面白い。
主役犬は、バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテル(牡)。
この犬が、めっちゃ可愛い!
主人公の女子中学生・雨音を従えて歩く姿とか、想像できてしまう。
やはり馳星周は描写が抜群に上手い。
山頂から眺める雄大な景色や、雨の落ちる様子、森の匂い、犬の目に浮かぶ感情も、ちゃんと読者に伝えてくれる。
そして今作は何よりも、道夫の料理がどれも美味そうなのだ。ソーセージとキノコのニンニクパスタも、ハムカツチーズカレーも、コーヒーもワインも、いちいち美味そう!
そう、これは「山岳グルメ犬小説」なのだ。
そりゃあワルテルだって、よだれダラダラだろうさ。
実際に馳が飼っていた犬と、姪っ子の関係を下敷きにしたとインタビューで語っていたけれど、最後の場面は涙なしで読めなかった。
犬を飼うことの責任と苦痛を誤魔化さずに描いていて、でもそれ以上に喜びがあるのだと、物語を通して教わりました。
Posted by ブクログ
良い話でした。最後泣けます。人間は先のことや他人の目を気にしながら生きてるんたけど、動物は今一番良いと思うやり方で生きている。たから真っ直ぐでブレない。納得しました。
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自分より遅く生まれてきて家族になり、やがて自分より先に逝く。教えてくれることが多く、逝ってしまった後の後悔も計り知れない。そんな経験があるが故に、最終の数ページでは感情を抑えることが出来なかった、、
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あー、泣いた。
今、泣いた後にこれを書いている。
とにかく最終章が泣けるのだ。
実は今朝の通勤電車の中で、会社に着くまでには読み終えられるな、と思っていたのだが、最終章が始まった段階で「いかん、これは落ち着いて読むべき。そして、多分俺は泣く」
と思い、帰りの電車の中も、夕飯を食べる最中も我慢して、子供や嫁さんが寝た後で最終章に取り掛かった。
案の定、泣いたw
解説の池上冬樹さん曰く、本書「雨降る森の犬」は「少年と犬」の助走だという。
ならば、そちらも読まねばならない、あっ、そういえば映画がそろそろ上映が終わるのでは、と気づき、検索してみたら、終わってた。。。
仕方ない。映画はU-NEXTに出てくるのを待つとして、まずは今週末に「少年と犬」の本を手に入れて、また泣こうと思うw
あ、一応書いておくと、泣かせっぱなしの物語では無いですよ。最終章以外は泣かせる訳ではないが、読み応え充分の本作ですv
Posted by ブクログ
少年と犬を読んでラストが切なかったので、この本は、犬との穏やかな日々を過ごす物語なのだろうと勝手に想像して読むことにしました。しかし、ラストでワルテルが弱って亡くなってしまいまた、号泣でした。私も犬を飼っているので後悔しないように犬をかわいがろうと思いました。
山の描写が多くて、山に登りたくなりました。若い頃八ヶ岳には、行った事がありますが、またどこか山に登ろうと思いました。信州の素敵な自然の描写に心癒されました。
Posted by ブクログ
久しぶりに馳さんの犬をモチーフとした作品を読んだ。改めて作者の犬に対する愛情を感じ感動した。
「ずっと一緒にいなければ、犬から教わることができない。 見返りなど求めずに家族を愛し、気持ちを汲み、辛い時や悲しい時には余計な言葉は口にせずにただ寄り添ってくれる。」
作品中の文章だが本当にそうだなぁと一人腑に落ちた。
親子関係に問題を抱えた少女が山の中に犬と暮らす伯父のもとに身を寄せることとなり、隣の別荘に住む少年と出会う。少年もまた、家族との間に葛藤を抱えている。その彼女、彼が山に癒され、犬に癒されて、成長していく姿に胸を熱くした。
最後の愛犬との別れの部分が切なくて、目頭が熱くなった。
登場人物達だけでなく読者も癒される作品だった。
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初めての馳星周さんの本でした。
主人公が中学生の女の子で本当に大人が楽しめる物語なのか、と疑いながら読み始めましたが、成長と家族の物語で夢中になって読みました。
犬や山、自然が好きな人にオススメです。
私は長野にドライブに行くのが好きで蓼科高原も女神湖も長門牧場も何度も行った事があるので、昔を思い出しながら楽しめました。
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直木賞受賞作「少年と犬」を読んだあとソウルメイト、ソウルメイト2とこの本を購入して「雨降る森の犬」だけ読まずに本棚に眠っていた。「少年と犬」で犬本に夢中になって立て続けに読んだがこの本は五百頁あまりあり、ちょっと躊躇してたが一週間もかからず読み終わった。馳星周という作家はノワール小説で世に出たがその対局のような犬本で読者を幅広くつかんだ作家だ。読者の泣かせどころをこころえていて素晴らしいストーリーテラーです。
犬は未来も過去もなく現在を一生懸命に生きている。犬を愛らしく描いているのはあたりまえだけど、犬を育てると同時に、人は犬から育てられると書いてます。
登山のこと、料理のことなど馳星周はかなりよく極めてこの小説のなかに散らばめてかいてます。心暖まるいい本でした。
Posted by ブクログ
犬と共に生活をしている自分からすると、こういった話にはとことん弱い!笑
「人間は過去と未来に囚われて生きていて、犬は今、その瞬間を生きている。」
「見返りなど求めず、家族を愛し、辛い時や苦しい時は余計な言葉をかけず、ただそばにいる。」
「人が動物と暮らすのは別れの悲しみよりも一緒に暮らした幸せの方が大きいから。」
心に刺さるメッセージばかりだった。
山や自然の描写も素晴らしく、将来的にこんな暮らしをしてみたいなぁ、登山してみようかなぁ、と思わせる内容だった。
面白かった、⭐️5つ。犬大好きだなぁ。
Posted by ブクログ
こんなに本で泣いたのは南極物語以来のような気がする。ワルテルが雨音を妙子から守るところ、そしてワルテルが逝ってしまうところ。涙がとめどなく溢れて、視界がぼやけて鼻が詰まってもう苦しかった。
雨音は絵を描くこと、道夫と正樹は写真を撮ること、それぞれの目で見た景色をカタチは違うけどモノとして残すことにやっぱり魅力を感じる。
素敵な景色をカタチあるものとして残したい気持ちもあるけど、それよりも息することさえ忘れたこの空間に私も存在していたという証を残したい。
そんな素敵な記憶をたとえ忘れっぽい気質でも忘れたくない。
Posted by ブクログ
いわゆる普通の家族と比べると、それぞれ何かが足りなかったり、問題を抱えているものの、山・森・空気・雨など自然に囲まれた立科で生活をするうちにお互い支え合っていることに気付き、成長していく。そしてそれを繋ぐハブとなる存在が、バーニーズマウンテンドッグのワルテルだ。
人間達の状況や気持ちを機敏に感じ取り、いつも寄り添ってくれる優しい犬。
登場人物はそれほど多くないのに、徐々に気持ちを開いていく雨音、正樹の様子がとても微笑ましい。
血が繋がっていることや一緒に暮らしていることだけが家族じゃない、とあらためて考えさせられる。お互いを気にかけて、大切に想っているかが大事。
自然の描写や、個人的には料理の描写(鹿肉カレーたべてみたい!)が素晴らしく、場面場面を想像しながら、登山もいいなあと感じた。
作者のワルテルに対する愛情も伝わってきて、ラストは潤んでしまった。問題を抱えていても、悲しいことがあってもそこから学び、前に進む勇気をもらえる、心温まる小説。今をしっかり生きよう。
雨降る森の犬
素敵な本でした。私も犬や動物は好きなのでタイトルと表紙の絵に惹かれて読みはじまったのですが、犬の持つ癒しの力と言うか安堵感がとても伝わってきました。
6年前に飼い犬を亡くしてから悲しみのあまり次の犬を飼うことができずにいましたが、また飼いたくなりました
Posted by ブクログ
確か、初めて読んだ馳作品。
ばっかみたいに泣いたのを覚えている。
『不夜城』を書いた人と同一人物とはとても信じられない。暖かくってもう。優しく生きようと思える。
Posted by ブクログ
少年と犬が最初の出会いだった。同じ位いやそれ以上に入り込める物語 雨音のお母さんがどれだけヘンかと予想してたら正樹と同じ意見で自分の言動のおかしさに気づかないで、娘も彼氏も両方愛してると断言する 正樹の親父は酷かったが描き方も外野からで上手だね、家を出て現在ではアメリカにいてワルテルとお別れ出来ないが 道夫に正樹に家族になれたあの瞬間が響いた。山家になるとは、道夫とたくさんの山に登る素敵だな、パスタもカレーも伝わったしお題の雨降る森が 2人がワルテルを弔って行く場所 問題提起して逃げずに解決するって事
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ほんと、イヌ好きにはたまらない。
あと、山好きにも……。
雨のあとの北八ヶ岳の森の香りには、生命の息吹きが漂う。
新芽を伸ばすコメツガやシラビソ。
木漏れ日と水滴をたっぷりと蓄え、いっそう青さを増す苔たち。
いく筋も、普段は枯れている沢からも流れ集り、森を潤す雪解け水。
森の中で、その重量感のある空気を胸に取り込みながら歩くと、不思議な一体感が生まれてくる。
そんな気分が、本を読んで見事に蘇るとは……まさかのことでした。
御泉水からの蓼科山頂上までの道のりはその通りで、「蓼科山荘」もよく雰囲気が出ている。
ずいぶん行ってないなあ〜。
「イヌは今を生きているんだ」
ヒトも同じ事……。
さぁ、もう少し今を楽しみますか。
Posted by ブクログ
とても温かくて、優しくて、最後は涙を流してしまいました。
舞台は、信州、立科。
中学生の雨音。
雨音の伯父、山岳写真家の道夫。
道夫の家の、隣の別荘に出入りする高校生の正樹。
そして、愛犬ワルテル。
ワルテルが可愛いくて、意地らしくて、愛らしい。そして、とっても温かくて賢い。
そんな三人と一匹の家族の物語でした。
ずっと積読状態だったのですが、もっと早く手に取れば良かったと思ったほど、心あたたまる素敵な作品でした。
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雨音、ワルテル、おじさん、正樹
この四者のお互いの関係性が時に繊細で危うく、時に強固であたたかい。
雨音とワルテルをおじさんと正樹が写真におさめるシーンは、私の頭の中の想像ですら、なんて美しいのだろう、と感じました。
そして、命あるものの生と死があります。
見送ることができるのは幸せなことですが、覚悟は必要です。
ただ、覚悟をしていても悲しい。
でもそれでいいんだ、とおじさんでさえ悲しむ姿を見て私は救われました。
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犬は今を生きている。その通りだと思う。人間みたいに損得を考えたり、自分を装ったりしない。だからこそ一緒にいると心が安らぐし、人も成長できるのかもしれないと思った。
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悩みを抱えた人間が犬と触れ合うことによって生き方が変わったり大切なものを見つけいく様がとても心を打たれてました。人間が再生されていくのは、動物の存在だったり家族の絆だったり大自然だったり、外部だけれど身近な存在なのだとこの小説を読んで考えさせられました。山に対する尊敬や犬に対する愛情をたくさん感じられた作品でした。
Posted by ブクログ
「馳さんの、山が良いんだよな~」と痛感した作品、②犬系×③山系。主人公の少女と、バーニーズ・マウンテンドッグの、交流と成長の物語。良いです。泣けます。
Posted by ブクログ
2024.03.10〜03.14
自然豊かな信州で、自分を見つけるお話。
私も、犬を飼いたいと思った。1日1日を一生懸命に生きる。目の前のことをおいかける。そんな姿を見ながら、暮らす。大変なことも楽しいこともひっくるめて、人生の色が濃くなる気がする。
Posted by ブクログ
家族とのわだかまりを抱えた中学生の雨音は都会を離れ、蓼科に住む伯父のもとに身を寄せる。そこには、ワルテルという犬がいて…。犬が導く喪失と再生の物語。
Posted by ブクログ
なんかこの話ズルいわ~(・ε・` )「感じ悪いなぁ(-"-;)」と思っていたワンコとどんどん仲良くなって、最後にあんなんなったら絶対泣いちゃうじゃん(T0T)
Posted by ブクログ
この作者が主役として描く犬は、凛凛しくてキャラが立っている。凛々しい犬を読みたいときは、馳星周と思う。森での犬との生活も、活き活きと描かれていて魅力的。シーンとしては、鹿の角をおやつに食べるシーンが好き。
Posted by ブクログ
この人の作品を読むのは、少年と犬に続いて2冊目。
少し、長くてくどい所もあったけど、主人公の女子中学生と母親、男子高校生、おじさんとの関係がありきたりな展開にならなかったのがすごく良かった。
Posted by ブクログ
中学生という思春期真っ只中の雨音の成長と犬の関わり、そこに兄のような存在となる正樹、伯父の道夫との日々の物語。父親が亡くなり母親との関係に行き詰まり、東京から長野に住む処を変えて彼女の暮らしは変わるけれど性に合っていたのかすぐにn馴染み、すくすくと成長しいく。何気ない日常や食事も美味しそうな香りが想像できる。バーニーズマウンテンドッグ、大型犬で世話は大変そうだけれど家族のような存在が羨ましい。著者の犬の物語は他にもあるようなので読みたくなった。
Posted by ブクログ
人間は面倒くさい。
そう思っていた主人公が
―全部間違っていた。
と気づく物語。
*
うちは猫を飼っていますが、本書を読むと犬を飼いたくなります。自分は犬派なんだと思います。←
でも、あんなに大きな存在が恐らく自分より先に亡くなることを考えると、とても飼う勇気が出ません…。
「犬ってそういう存在なんだよ。死ぬとか生きるとか関係なくさ、ただ愛してくれるんだ」(本書より)
『少年と犬』でもそうでしたが馳先生はラストで泣かせにきます。注意が必要です。