馳星周のレビュー一覧
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物語は、新興宗教〈真言の法〉を立ち上げた教祖・十文字、その教団運営を取り仕切る弁護士の幸田、18歳で十文字に傾倒し出家した青年・太田、そして左遷された公安刑事・児玉。
彼らそれぞれの視点を往復しながら、教団と社会が不可逆的に崩壊へ向かっていく過程を描いていく。
宗教組織としての基盤は、教祖の薬物中毒、選挙活動への介入、弁護士一家殺人事件など、すでに脆く揺らいでいる。
そこへ、教団を資金源として利用する警察官、その資金を上納させる政治家が絡み合い、権力者たちは自らの都合で教団をコントロールしようとする。
しかし、教祖の反社会的な意識は次第に狂気を帯び、物語はあのサリン事件へと突き進んでいく。
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Posted by ブクログ
カリスマ教祖"十文字源皇率いる、〈真言(マントラ)の法〉。弁護士・幸田は侍従長の高位にあり、外界との交渉を担っている。組織に罪を背負わされ失脚した児玉警部補は、この新興教団に目をつけた。ここは金のなる木だ、と。両者の間に奇怪な盟約が結ばれる。教祖が敵対する弁護士の殺害を命じたとき、黙示録の扉は静かに開かれた――。欲望と狂気に憑かれた男たちを描き切る、群像サスペンス。
この作品は長編すぎて、とてもレビューできそうもないので、まずは書籍の紹介をお借りします。
紹介文にあるように、本作は明らかにオウム真理教を思わせる設定で進む。もとはヨガ教室にすぎなかった新興宗教が、どのようにして信者 -
Posted by ブクログ
平安時代に最盛期を迎える藤原一族。彼らの成り上がりを描くシリーズ3作目の主人公は藤原仲麻呂。祖父・不比等譲りの才覚、他人を敵と味方にはっきりと区分する非情さ。徹底した合理主義を持ち、天皇も凌ぐ絶対的な権力を追い求める。
一方、仲麻呂と対照的に描かれるのが阿倍内親王。権力よりも、女としての平穏な人生を夢見る。が、母親の光明皇后と仲麻呂の重圧が彼女を苦しめる。人生をあきらめていた彼女だが、母の死と僧・道鏡との出会いをきっかけに自立し、仲麻呂に正面から立ち向かう存在へと成長する。
最高権力者になったはずの藤原仲麻呂だが、その没落も早く、その最期は実にあっけなく、あっという間だった。結局は人情のな -
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やはり馳星周はノワールが良い。元々「不夜城」で驚異の新人ノワール作家として鮮烈なデビューを果たし、その続編「鎮魂歌」でイメージが定着した。なので「少年と犬」のような作品で直木賞を受賞した時は大いに驚き、またそれを読んで内容の素晴らしさにまた驚いたが、何度も直木賞候補に挙がっている実力の持ち主だと考えれば当然かとも思う。
本作は「夜光虫」から十数年ぶりの続編らしいが残念ながら「夜光虫」はまだ読んでいない。それでも主人公のキャラクターや背景は十分理解できたし、後半の圧倒的なバイオレンスにはページを繰る手が止まらなかった。
才能ある作家には色々なジャンルで挑戦してもらいたいが、それでも馳星周には全作