馳星周のレビュー一覧
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とても良かったです。自分は犬が好きなんだと改めて思わせてくれたからです。
犬を飼うとなったら、その犬種の特性をしっかり理解しておくことがものすごく大切なんだと痛感しました。
わからないところは、調べながら読み進められてとても楽しく読めました。
ジャーマンシェパードやバーニーズマウンテンドッグには惚れ込んでしまいました。特に好きになったのはボルゾイです。気高く高貴。プライドが高いところはあるが、本作でもあったように飼い主をイジメから守るという優しさも兼ね備えている。動画で何度もみてしまいました。
特に感動した話は、やはり最後のバーニーズマウンテンドッグのカータの話です。組織球性肉腫、いわゆる血液の癌。死因は異なりますが、去年亡くなった愛犬と重なり、目頭が熱くなるどころの騒ぎではありませんでした。ボロボロと泣きました。
馳さんの犬に対する愛が伝わってくるような作品でした。
読めてとても良かったです。 -
Posted by ブクログ
競馬の疾走感、手に汗握る展開。文章で読みながら、自分がその場にいて、カムナビを応援しているような感覚に陥った。
友人が競馬ファンというのと、馳星周さんの作品だというので読むことにした作品。
知っている馬の名前が出てきて、まさかこれノンフィクションか!と思って、カムナビという馬については調べないようにしていたので、最後に「本作品はフィクションです」と書かれていたときにはびっくりした。
それほどリアリティのある作品だった。
馬のこと、調教のこと、競馬場のことなど、知らないことがたくさんあったけれど、あまり気にならずに読めた。新しい世界を知ることができたと思う。作者さんの心配りがありがたい。
大きなテーマとしてはやはり「夢」かなと思ったが、競走馬の行く末やほかの出来事も考えると「生き方」や「生と死」などもテーマに絡んできていたなと思う。
人が夢を見て、夢に懸けて生きることの素晴らしさやその情熱を感じることのできる作品だった。 -
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馳氏2作目。『四神の旗』は歴史物だったからほぼ違う作者の作品のようなイメージで読んだ。(実際には本作の方が先に読み始めたのだが)
初めて読んだノワール小説。どう読むべきか最後まで分からなかったが、現実には体験し得ない世界だからこそ、悪役目線で大森を痛めつけてほしいという気持ちで読んでいた。ただ、結末はバットエンドにはならず、期待は裏切られた。
序盤は物語はゆっくりで少し退屈だったが、終盤の殺人の過程はスピードアップして引き込まれるものがあった。この緩急が人物の心情を体感させ、迫力を倍増させることに成功していると思う。
本作は続編物らしく、前作を知っていると確かに面白いのだろうと思う。なぜ元プロ野球選手がこんなに殺しに強いのかは本作だけだと解せないので。ただ、遡って読むかは微妙。 -
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ネタバレ飲んだくれの母のもとに生まれ、自転車競技選手となる夢を諦めさせられ、工場で働く17歳の青年「潤」。「ぼくはどうして生まれてきたの?」。神様にその答えを問うために、二つ玉低気圧が近づく豪雪の中、御嶽山の山頂を目指す。一方、潤の母「恭子」に、潤が自分の息子であると聞かされた男「孝」は、御嶽山の山岳信者たちを運ぶ強力(ごうりき)として、潤の捜索を行う。
孝は、雪に包まれた御嶽山を捜索する過程で、不幸な潤の身の上を思い、潤の父となる決意をする。しかし、そんな決意も虚しく、潤は、雪の中、低体温症となり逝ってしまう。
御嶽には、神様がいることを信じ、山を登る潤に対して、孝は、神の存在を信じない。数年前に起きた御嶽山噴火の際には、多くの罪のない人々が死んだ。もし、神がいるのであれば、どうして彼らは死ななくてはならなかったのか。そして、神様の存在を信じる潤は、なぜ残酷な母のもと苦しい生活をし、死ななくてはならなかったのか。孝にとって、山で起こる全ての神秘的な体験は、科学的に説明のつく自然現象で、神が起こす奇跡ではない。
潤は、最期にあって、朝日に照らされ、黄金に輝く朝靄と「霧虹」と呼ばれる白い虹に、神を見る。そして、「ぼくはどうして生まれてきたの?」という問いに、神様からの答えが聞いた。
「この日この時ここにこうしてあるためだ。」
それは、消え行く意識の中で聞いた幻聴に過ぎなかったのかもしれない。しかし、潤は、この幻聴に「ありがとう」という言葉を繰り返し「至福」を感じて死んでいく。
出会ったこともない、たった二人の人物が、同じ雪山に、ただ同じときにいたというだけの物語である。それは、神様がいると信じられたからこそ、幸福の思いを抱いて、死ぬことができた青年と、その死を不幸に思い、救えなかったことを悔いる男である。
孝は、頑なに神を信じなかった。しかし、一つだけ科学的には説明のつかない出来事に出会う。死んだ潤のもとへと誘った、いるはずのない「ライチョウ」である。
ライチョウは、神の使いだったのか。もしそうだったのだとしたら、噴火により大勢の命を奪ったのと同じように、潤が死んでしまってから孝を巡り合わせるそのライチョウは、御嶽の神は、徹底的に残酷だと思う。
どうしても、ただただ、潤が痛ましく見えてしまう。ぼくにとって、この物語は、神も仏もいない、ただ、人を襲う自然の脅威たる山の姿を描く山岳小説だった。 -
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藤原不比等の四人の息子たちの物語
奈良時代の話
物語は藤原不比等が死去し、聖武天皇が即位するかしないかのあたりから始まります。
澤田瞳子さんの月人壮子を以前読んでいて(本書よりも少し後の話)少しだけ(ほんの少しだけ)予備知識がありましたが、現代の日本人達とは全く名前の音が異なり、中国の武将の方が覚えやすいと思える登場人物達の名前・・・
私の勝手なイメージでは藤原不比等は絶大な力を持っていたが息子達は四人でなんとか頑張って藤原氏を盛り立てていたのではと思いきや本書は全く異なる、権謀術数ひしめく宮廷劇!!!
誰が誰の仲間で誰を信じられるのか?
物語のスピード感はドロドロしした煮え切らない前半と、吹っ切れた途端に豪速球の後半でした!!
前後逆にはなりますが、同作者の『比ぶ者なき』も読みたいと思います!!!