あらすじ
捨てたはずの故郷に戻り、父が大金を持っているとの噂に踊らされた男。呆けて我がまま放題の母と猫の世話に煮詰まっていく女。売りつけられたスクーターに乗り、愛犬と骨を掘り出してばらまく少年。好きな女の先輩を安物の車に乗せて旅立ったプー太郎。夫のDVに苦しめられ、死んだチワワの骨を抱え岬に立つ女。北海道の風土に閉ざされた人間の闇をえぐる全5話。新境地を拓いた傑作揃いの短篇集。
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Posted by ブクログ
……なんだろう
身をえぐられるような痛さを感じる読書
きれいごとなどない、そんなふうに突き刺さる
救いはどこだ、探るように読む
物語の片隅の、ひとことごとに
それすら物語に埋没して、暗闇を増す
これほどまでに、読んでいて響いた読書も久しぶりだ。
最近読んだこの作者のものは山と犬だっただけに、迂闊だった、が、これもまた読書の楽しみ
Posted by ブクログ
北海道を舞台にした5つの短編連作。これは、物語の中であって欲しいと願う。だが、DVや介護問題、家族の崩壊など、孕んでいて現実に有りうる話。目を背けてはならない!
事業に失敗し、死に場所を求め、捨てたはずの故郷に戻った男が聞いたのは、父が大金を持っていると云う噂だった。その父の愛人だった女は、戻りたくなかった実家に帰り、アルツハイマーの母と飼い猫の世話に明け暮れ、恋仲になった外国車のディーラーをしてる男に見捨てらる。その男の知的障害を抱える少年は、愛犬を連れ、世界の終わりだと云う荒れ地に骨をばら蒔く。少年にスクーターを無理強いして売りつけ中古車を買ったサッカー部のェースだった男は、訳ありの1つ上の先輩の女を乗せ函館へと旅つ。その途中で、彼の車におカマを掘られバンパーを傷つけられた男の妻は、幼馴染みであるもう1人の女と共に、夫からのDVに苦しめらていた・・・・・。
何れも結末は、辛い。