河野裕のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
千年を越える神を巻き込む恋物語の設定だが、すでに終わった恋の話。
とある男女の恋に、神が嫉妬し呪いをかけた。
これから先、二人は転生を繰り返す。
女は今までの記憶を持ったまま生まれ、男と出会うと記憶を失くす。
男は、女と出会えば今までの記憶を取り戻す。
そうして男と女はこの千年、出会っては別れを繰り返してきた。
そして現世、神戸にて千年の記憶を持つ杏は、ルームメイトの盗み屋・祥子に、ある古書の盗みを依頼する。
その書物「徒名草文通録」をめぐり、人と神との思惑が交差する。
最初の「この物語は、始まっているどころか、すでに終わっているのかもしれない」の意味を読み違えてい -
Posted by ブクログ
誰かひとりが命を投げ出せば世界を救えるとして、そのひとりが死んでしまう必要なんて、なにもない。怖ければ逃げ出せばいい。(217ページ)
.
特別な力を否定して。
悲しみを受け入れて。苦しみに耐えて。できないことは、できないと割り切って。限られたものから最良を探すのが、頭の良い方法なのかもしれないけれど。理性的で、優秀な人間のやり方なのかもしれないけれど。
でも、本当に悲しいとき、それを受け入れるのが正解なのか。
全部、諦めろというのが、正義なのか。
たとえば能力で救われた人に、やっぱり間違いだったから、もう一度苦しめというのが正しいのか。
(248ページ) -
Posted by ブクログ
階段島の物語、完結編。
階段を登るイレギュラーな存在、大地。
わがままな魔女になると決め、これまでになくルールを破りながら、それでも優しい堀。
大地のためにどこまでもどこまでも魔法を繰り返す真辺由宇と、それを寄り添って見つめる七草。
読み進めていくと、失くしたものを思い出すような気分になる。
今までのどの本より心に残る言葉が多い最終巻。
「綺麗なものは綺麗なまま扱うのがいい。そうできないのは、子供じみたプライドでものの見方がひねくれているだけだよ」
「私ひとりでみつけられるものよりも、きみとふたりでみつけたものの方に、価値があるに決まってる。だから、無敵だよ」
「私の絶望は、きみがい