河野裕のレビュー一覧
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水谷さん、佐々岡、七草の心情にそれぞれ共感するところがあった。
水谷さんに共感したのは、相手が欲しい答えをしゃべろうとし、愛想笑いもする。そして出来ない人に期待はないけど、「なんで出来ないんやろな。」って思う。
佐々岡には、自分がやる善意などがその人の為ではなく、ただ自分の中にあるヒーロー像というか、カッコつける部分が出てるだけで、自分のためにやっているようなもん。でもそれは悪いことではないし、むしろ良いことやけど、本当に相手を思いやった行動ではない。どこかフェイクな行動。
七草には、物事や人間関係であったりするところに深い関心がなく、全てのことから一歩引いて俯瞰してるような、人間的には -
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◎時任と堀の攻防、魔女を手放した理由、七草と真辺の捨てたものとは
「心を穿つ新時代の青春ミステリ」である「階段島」シリーズの第5弾。
今回は謎めく郵便配達員・時任の物語が中心に構成され、現実世界に戻った七草も登場する。
前回までのおさらいになるが、七草が現実世界に興味・関心を寄せる理由は一人ぼっちでいる少年・相原大地が、現実世界の本人から捨てられてしまったことに起因する。大地は何を捨てざるをえなくて階段島に送られてきたのか、ということを、トクメ先生(現実世界では大江先生)へのアポイントをとることで解決に導きたいという意図があった。
しかし、七草がそこで現実世界に戻ってしまうことは堀や真辺に -
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河野裕の魔女と思い出と赤い目をした女の子を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの2冊目でした。
時間を戻すことができるリセットの能力を持つ春﨑美空とリセットを越えても記憶を保持できる浅井ケイとの二人はいつも一緒に行動しています。
浅井ケイの中学時代の後輩、岡絵里は浅井ケイに勝ちたいと言うことだけで、咲良田の超能力管理局の中枢に近い「魔女」に会いに行こうとします。
浅井ケイは「魔女」と岡絵里を管理局から守ることが出来るのでしょうか。
コンピューターゲームでは、物語の序盤で敵として登場するメンバーが次々に仲間になっていき、強くなったパーティーで終盤に待ち受ける悪の帝王を倒す -
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河野裕の猫と幽霊と日曜日の革命を読みました。
サクラダリセットの1冊目でした。
主人公浅井ケイが住んでいる咲良田にはいろいろな超能力を持っている人がいます。
世界を最大3日戻すことが出来るリセットの能力、一度経験したことは絶体に忘れない能力、日時を指定して相手にメッセージを送ることができる能力、猫と情報を交換することが出来る能力、5分間だけに限定されるが他の能力を無効に出来る能力。
この物語はそのような能力を持った高校生たちの物語でした。
河野裕らしく複雑に絡み合った物語でしたが、面白く読みました。
読み終わって思ったのは、ゲーム機でのリセットや、カードゲームでの矛盾したカード能力間で -
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時間SFミステリ青春風味として安定の仕上がり
SFというところには難点があって『タイムリープ』と「リセット」までは良いが
今回の未来視は作者もテトラポットで書いているのだろうけれど
明らかにパラドックス
『月見月理解』がミステリではない程度に本作もSFではないか
しかしそれはそれとして
理詰めというよりゲーム小説的にそれっぽく収まっていて素敵
どんな「能力者」でも現時点で得られた情報から正しくあるべく
選択を常に繰り返し続ける
将棋のような「ゲーム」と違って何手先まで未来を読んでも
自身の諦めという敗北までは行き着く処はない
「私が愛しているのは、ただの石ころなのかもしれない」
個人の観測では -
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記憶を保持する能力が欲しい。
その昔、自分のおこづかいからごく初めのころ買った『フォーチュンクエスト』の2巻か3巻において、すべてを忘れられなくなり他人を避けて暮らしている人物、という話が語られていた。
楽しいことも悲しいこともみな忘れることができず、いつまでも覚えていなければならない。それはとてもつらいことである、と。
当時、なるほどそれはつらい事だと同意した。印象的だった。そして今でも覚えている。(今ならインデックスさんを今を昔と思うころに思い浮かべるかもしれないがどうだろう)
しかし、今は思う。辛い苦しみも、恥ずかしく思い出したくもないことも、思い出せなくなるのは嫌だ。
いやむしろ、全 -
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同時発売『サクラダリセット』最終巻と
どちらを先に読むか悩んでこちらから読む
作者の作品が同じ月に2冊も読めるとは幸せすぎる
しかもどちらもぶ厚くて素晴らしいな
とか思っていたが
良く見ると紙質が悪くなって厚くなっているだけだった
見返したら先月の『問題児』もそうだった
いままでわりと良い紙を使っていたスニーカー文庫だけに落差がすごい
そのわりには先月気付かなかったわけだが
『サクラダ』完結月までは良い紙を使って欲しかったかも(後はどうでも良いのか)
でこの作品だが
死神ものの一冊完結連作短編
学校の演劇部が採用しそうな教科書に載りそうなくらい上品上品質だが
これならより巧みに書ける作家はい -
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文語口語違いの問題かもしれないが「てよだわ言葉」に違和感を感じるし
難易度でというなら濃淡度とか高低度とかいうべきでないかとか
どおでも良いことを思うくらいことばにこだわっている感じの文章と
当たり前で無垢な願いが、彼の本質だ。
サクラダリセット。聖なる再生。正しい方法での、世界の改変。
を衒い韜晦なく実行しようとするだけでなくしてしまうという内容が
奇妙な「透明な」味わいという名前の味である
作品全体を通してみると「マンガの(重要)『封神演義』みたいな」ファンタジーバトル小説なのだが
そうでない変なところに入っているという異で
『円環少女』などと同じく中高生向け娯楽小説であるライトノベルとい -
ネタバレ
不思議だがいいと思う
自分が恋した相手には変わってほしくない。でも自分は変わって行くだろうし、相手も変わって行かざるを得ないだろう、ということに対する矛盾や葛藤、苛立ちみたいなものがとぉっても回りくどく、とぉっても丁寧に、とぉってもめんどくさく描かれている。
恋をしているとき(もしくは「これが恋かも?」と気付きつつあるとき)にこんなにも理性的、客観的に自分や相手のことを考えられるとは思えず現実味がないが、その非現実的な部分がこの作品の世界観や雰囲気にうまく絡んでいて惹かれる。
常に淡々と漂うネガティブな空気も好きだ。
『逆上がりは、できるようになった?』
何だ?何だ?何だぁ?