河野裕のレビュー一覧

  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    〈それは、アズ・テイルズのような未知ではなかった。ごく当たり前の物理現象に過ぎなかった。地球は丸く、落日とは地球の陰に太陽が隠れる現象だ。だが観測者の位置が変われば――たとえば急速に高度を上げれば、地球の陰に隠れた太陽がまたみえる。原理としては、塀の向こうを跳びあがって覗きみるのと変わらない。〉

     17世紀後半のイングランド、ケンブリッジ大学でアイザック・ニュートンに師事した数学を愛する若き学者のオスカー・ウェルズは、現王の反乱軍を鎮圧するために赴いた戦場にて、『怪物』に命を救われる。二者はやがて友情を深めていくが、オスカーは自身の知られざる秘密を知るとともに、時代の激流に飲み込まれていく。

    0
    2024年12月22日
  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    美しすぎる物語
    私は世界を司るルールよりも
    その美しさを表現する言葉の方が美しいなと感じた
    最初は感情移入できるか分からない雰囲気だったが、いつの間にか溢れてくる感情に戸惑った。
    突飛な展開があり想像のつかないストーリーと、タイトル、表紙からは想像できない哲学的愛の物語
    初めて読むジャンルの本だったが、改めて自分は読書が好きだと気付かされた
    またこんな本に出会いたい

    0
    2024年12月20日
  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    河野裕作品は初でした。
    絶妙に史実を織り交ぜつつヴァンパイアというファンタジーの生き物と人間の友情の儚くて切なくてとても美しいお話でした。

    作中に出てくる「怪物というのは、無知につけられた名前なのだと思う。知らないことを、知ろうともしないまま、ただ恐れている言葉」という台詞は現実を生きる人達にも刺さるというか、言える言葉だよなぁと。無知であることの怖さというか…だからこそ知的好奇心が旺盛で知ることを幸せだと言えるオスカーはアズを最期まで"怪物"とは呼ばなかったしそう呼ぶことを拒んだし、オスカーの強さでもあったんだろうなぁ

    0
    2024年12月01日
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新潮文庫創刊10周年の記念カバーにて販売されていたので、手にとってみました。 学園物の推理小説と思いきや、ある若いカップルの純愛を描いた恋愛小説とも取れる内容でした。 自己を犠牲にしても相手の全てを守ろうとする主人公と、その気持ちに応えたいと思う不器用な彼女。 すごく爽やかで心温まるラストシーン。 続編がある様子なので機会があれば読んでみたいと思います。

    0
    2024年11月16日
  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    終盤は、泣きそうだった。

    学問の未来のために命を差し出そうと決めたオスカー。
    「世界はこんなにも魅力的な未知で溢れているのに、どうして。どうして僕は、死ななければならないんだろう」

    この国の未来よりオスカーひとりを生かそうと決めたアズ。
    「私は、また救えないのか。」

    美しい未知に手を伸ばしたくて仕方がない人間への敬愛にあふれた物語だった。
    私たち人類は確かに、無数の今を越えて、遠い未来まで進み続けている。

    0
    2024年11月06日
  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    17世紀イングランド。無血革命に繋がる時代、永遠を生きるヴァンパイアと、学者の青年オスカーの友情のお話。

    学問というものへの見方がかわる。
    すごく尊くて美しい物語だった。
    ヴァンパイアの名前が、もう素敵だ。アズ・テイルズ。
    特にエンディングが素晴らしく美しくて好き。
    オスカーとの約束通り、75年後のハレー彗星を確認するアズの姿が、自然と浮かび上がってくる。
    本当に綺麗な画が頭に浮かぶ。
    ハレー彗星の夜空を見上げながら、愛した友人と人間への賛美を語るヴァンパイアの結末、美しいの一言だった。

    0
    2024年11月05日
  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    学問の世界ってこういう未知の存在が介入していないと説明できないんじゃないかっていう発見が度々ある。帯にもあるが、科学小説でありファンタジー小説。珍しい組み合わせに感じるけれど、思えば学問はいつだって超常的な物事と隣合わせかもしれない。

    0
    2024年10月28日
  • 彗星を追うヴァンパイア

    Posted by ブクログ

    ファンタジー作品だけれど、現実の世界にも続くようなところもあって…。
    とても不思議な感覚で一気に読めた。

    0
    2024年10月24日
  • 昨日星を探した言い訳

    Posted by ブクログ

    眩し過ぎて目を背けたくなるほど純度の高い青春物語に、少しのファンタジー要素。ふたつの掛け算が、現実社会にもある社会問題の気配や、中高生ならではの背伸びや真剣さを引き出していて、厚みがあった。

    でも大部分は、甘酸っぱいキラーワードたちにアワアワとなったり、二人の青春的盲目全力疾走に狼狽したりしながら、顔を覆った指の隙間から文字列を追うような気分で読み終えた笑
    疲れた。

    0
    2024年10月08日
  • 凶器は壊れた黒の叫び(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    ついに第四弾!物語はかなり核心に近付いてきて、難しいけどやっぱりとても面白い!
    この人の文章と発想力好きすぎて速攻読み終えた
    天気を「空の青をそのまま絵の具にして「八月」と名前を付けたくなるような、隅々まで晴れ渡った日だった。」って表現するなんて天才じゃない?好きすぎる

    0
    2024年03月28日
  • さよならの言い方なんて知らない。2(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    『さよならの言い方なんて知らない。2』の概要と感想になります。

    ネタバレの境界線が未だに分からない本シリーズですが、青崎有吾さんの裏染天馬シリーズ並みに飽きることなく読み終えました。
    本作はアクション映画の撮影現場に居合わせたかの如く、一つ一つの描写がイメージしやすく、そして何より鳥肌が立つような知略に興奮しました。早く次回作を読み進めたくなります。

    簡単な概要です。
    ※前作未読の方はご注意下さい。

    とんでもなく臆病な香屋歩(かや あゆむ)は前作で同級生のトーマと再会を果たし、トーマが架美崎という戦場の半分の領土を占める「平穏な国」に所属していることを知る。そして「平穏な国」と同等の権力

    0
    2023年12月15日
  • さよならの言い方なんて知らない。8(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遂に最強陥落。最期も駅に向かおうとするのは本当に月生らしかった。そしてヘビが厄介すぎる。ずっと読んできていたせいかカエル側の肩を持ってる。トーマの過去が気になる。恣意的に混濁症状を起こすって倫理的に良くない気がしてる。ユーリイが敵対するのか?あれは…『殺すことにした』は洗脳によってなのか他殺なのか…。さらにエピローグであった少女が気になる。キーパーソンなのか情報開示のモブなのか。続きが気になるよね。

    0
    2023年12月13日
  • 愛されてんだと自覚しな

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とても驚きました。面白かったです。

    主人公の岡田杏が1,000年間転生し続けていると知り、読むことを決めた本ですが、徒名草文通録を巡る物語がとても魅力的でした。この物語の中に登場する様々な神様も自然と人間の日常に溶け込んでいて、正に平穏で満ち足りた、ただの日常のお話でした。
    登場人物の中にいる浮島龍之介のモノローグ的な部分でのとある言葉が特にお気に入りです。その言葉はこの物語の中核を担うような言葉だと感じましたし、浮島龍之介自身がその言葉を体現するような人間でした。とても好感を持てましたし、その言葉がより一層好きになりました。
    最後は読者の前提をひっくり返してきて、とても驚きました。また、タ

    0
    2023年10月31日
  • さよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    ネタバレの境界線が分からないので詳細は伏せます。

    タイトルと装画の印象から淡い青春小説かな?と思っていたのですが、近未来的な三国志という例えがしっくりくる作品でした。特に最後の三行は衝撃ですね。

    本作『さよならの言い方なんて知らない。』の感想になります。

    河野裕さん初読みの本作はシリーズ8巻まで書店で見かけるものの、インフルエンサーの方々で絶賛の声を聞かないのですが私は絶賛します!!
    これは今の時代にテレビアニメ化していたら大ヒットする完成度だと感じますし、推し活したくなるキャラクターが多い印象です。(私は今のところ、秋穂がお気に入りです。)

    本シリーズも続編を追いかけていこうと思いな

    0
    2023年10月13日
  • さよならの言い方なんて知らない。2(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    架空の世界におけるルール設定と、そのルールを活用した駆け引きの構想は常に自分の想像を上回っています。
    これだけの展開を最新から想定してシリーズを書き始めたとしたら驚異的な才能だと思う。

    0
    2023年09月26日
  • 君の名前の横顔

    Posted by ブクログ

    ファンタジー要素もあるけれどファンタジーかと聞かれたらファンタジーではないと思う。家族愛と名前の物語だった。血のつながりを呪いのように感じているのはとてもわかる。家族という容れ物を薄っぺらく思いながらも縋る気持ちもわかる。河野先生のなにかを失う物語は切なく悲しいけどうつくしい。「正しさ」というものを信じられる。

    0
    2023年09月24日
  • さよならの言い方なんて知らない。7(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    戦闘がなくても面白いです!相手がどう出るか読み合いの頭脳戦は健在で今回も驚く展開でした。次最新刊読むのが勿体ないくらい楽しみです。

    0
    2023年09月24日
  • さよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    星5では表現できないほど好きです!先の展開が読めなくて夢中で読みました。個人的にそこまでハマる登場人物はいないのですがとにかくお話が面白い!!ただ続刊で主人公の香屋歩を警戒しだす人達にそうでしょそうでしょ〜と謎の優越感が出るほどには好きになってました。近くの本屋さんが宣伝されてて出会えたことに感謝です。

    0
    2023年09月18日
  • 愛されてんだと自覚しな

    Posted by ブクログ

    【ネタバレ無】【感想】
    ハラハラ!ワクワク!が持続して没頭!!
    輪廻転生のファンタジーでありながら現代を生きる様はリアル。

    神戸/姫路/城崎。
    舞台が身近で現実世界としても想像できる〜!

    巻き起こる思惑バトル。輪廻とのつながり。
    現代の出来事と輪廻の出来事を行き来して読者の頭も縦横無尽。
    好き!!

    日本神話も関連するので神社巡りが好きな方はよりなじみ深く感じられそう。
    とはいえ当然本書にはその知識がなくても楽しめるし、むしろ神話エピソード調べてみよっかな、と世界観に引き込まれる。
    それくらい登場する神様の性格も魅力的。

    世界観の設定=制約が序盤でさらっと潔く描写されるので、世界観を咀嚼

    0
    2023年09月09日
  • 凶器は壊れた黒の叫び(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    「もしすべてを見通す神さまが名言集を作ったなら、その大半は白紙なんじゃないかと僕は思う」

    何を言うかではなく何を言わないのか。

    余計な一言を1番言いたくなるときに言わないのが大切なんだろうなきっと。

    0
    2023年08月26日